世界をめぐる、銀白の翼
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第七章 C.D.の計略
戦慄の魔獣
これまでの、仮面ライダーディケイドは―――――
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突如として現れた仮面ライダーディライド・京鏡花。
その出自等謎の多く残るそのライダーシステムだが、士たちの懸念をよそに、彼女自身はいたってまともであった。
昨今の仮面ライダー襲撃事件。
しかし、彼女の人柄を見てその可能性はゼロだ。
そして今日とて、彼女の面倒を任された門矢士は、仲間や彼女と共に、街に現る悪人、怪人の相手をこなしていくのであった。
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「だぁ!!」
「ぐぇっ!?ちくしょう、やれ!!」
「これでぇー」
《ATTCK RIDE―――》
「決める!!」
《―――Lightning Sonic》
吹っ飛ばされたギャングだかマフィアだかの風体の男。
見るとその手にはナイフが握られており、ナイフにはめられたマテリアが光り輝く。
マテリアはクラウドのいた世界のものだ。
それに魔力を込めることにより、様々な効果の魔法を発現させることが出来る。
そして、今回男はすでにそれを発動させおり、その男の命令通りに地を蹴り駆けだしてきたのは
「鏡花ちゃん!!」
「気を付けろ、そいつは召喚獣だ。炎の魔人イフリートだな」
他の悪漢どもを相手するディケイドにクウガ。
二人の声を聴き、ディライドはさらに蹴りに力を籠める。
「じゃあつまり、遠慮なくぶっ倒しちゃてぇ・・・・」
ピッピッピ
《Charge―――ATTCK RIDE―――Mighty Kick・Rider Kick・Rider Rocket Drill Kick》
「いいわけね!!」
ゴッ!!!
「へぇっ!?――――ぎぅぇえええええ!?」
バガンッ!!と、ものすごい音がした。
いや、実際にはさまざまな音と震動があたりに響いたが、その一撃の強さにもはやただその音としか表現しようのない轟音と化していた。
ディライドのキックによって、召喚獣・イフリートは成す術もなくチリと化し、その余波で近くにいた主犯格の男も轟沈した。
そのに握られたナイフからコロコロとマテリアが転がり落ち、バキンと砕けて粒子と消える。
最近では様々な世界の犯罪者が出てきており、こんなのものその一種だ。
だが、やってくるのはせいぜいが小物。
すなわち、元々の場所から逃げ出してきた格下も格下だ。
そんな輩がいたずらに新世界に進出したところでそこで潰されるか、若しくは
「やっりー!!どーよ士さん!!あたしってばやるでしょー!!!」
このように、新人育成のいい経験値稼ぎに使われるのがオチだ。
ここ数日、ディライドはディケイドの仕事の手伝いをしている。
蒔風から託されたということもあるし、彼自身も味方のライダーが増えることには大いに賛成だったからだ。
ディライドの登場から一週間。
Wが敗れてからだと、一か月と一週間。
もしもこのまま彼が再起不能であるのならば、いずれは誰かがあのマキシと対決しなければならない。
その時の戦力は、一人でも多いほうがいい。
「にしても、ディライドってホント強力なシステムだよな」
「ああ―――ま、俺にかかればあんなのチョロいもんだが」
「ホントかよ」
ディライドのシステムについて判明したことがいくつか。
それはアタックライドの「チャージ」と「ストック」だ。
チャージは先ほどの戦闘で見せた、要は重ね掛けだ。
さっきのキックを例に出すと、最初のブレイドの技に、後からではあるがクウガ、アギト、フォーゼのキックを加えた一撃にしている。
一撃にまとめて打ち出す、という上では恐ろしい威力が見込めるが、その分反動は大きく、変身者の負担も大きい。
そしてストック。
これは一発一発は普通に出すが、ストックしておくことで技を次々と発動させることが出来るものだ。
さっきのキックをもしストックにしていたら、四大ライダーキックを連続で放つことなる。
「いやほんと、鏡花ちゃんが敵にならなくてよかったな、士」
「まあ・・・な」
だが安心はできない。
これまで襲われたライダーの数を鑑みるに、新顔のウィザードまで全員に対応するライダーが現れるとみていいだろう。
自分に対するのがこれだとして、残るライダーは4人。
マキシは置いておくにしても、後ブレイド、フォーゼ、電王、ウィザードの前に、敵が現れる筈だ。
そして今朝、気になる情報が一件あった。
間違いなく次の動きだ。
「士・・・心配なのか?」
「・・・なにがだ」
「鏡花ちゃんが、敵になるんじゃないか・・・・って」
鏡花がバイクから降り、スタンドを立てるユウスケが聞く。
当の本人はそんなことはどこ吹く風、コーヒーくださーい、と写真館の中に駆け込んでいってしまった。
「・・・・」
「士。俺にも経験がある。だからなんか・・・わかるんだ」
仮面ライダークウガ・小野寺ユウスケ
門矢士の仲間としては、一番の相棒と言ってもいいかもしれない彼だが、そんな彼でもディケイドの敵になったことがある。
世界の破壊者として全ライダーを敵にした際のディケイドと戦った時。
そして、大ショッカーの手先として洗脳された時。
ユウスケが危惧しているのは後者の場合。
「今回の事態には間違いなく裏で糸を引いている黒幕がいる。それは間違いない。それくらい、俺にもわかる」
そいつが、鏡花に対して何か手を伸ばしてくるのではないか。
ユウスケはそれが心配なのだ。
「もしも、そんな奴がいて・・・あの子の笑顔を消すようなことがあるのなら・・・」
誰かの笑顔を守る。
それがクウガという戦士の使命だ。
「士、本当に大丈夫だと思うか?」
「フッ、ユウスケ」
ポン、とユウスケの肩に手を当て、士が笑う。
その笑いに、ユウスケもきょとんとしながら士を見た。
「いいか?こういうのもなんだが、俺だって大ショッカーの首領としていた男だぜ?あのシステムは、一回しっかりと調べたっての」
そう、士は一度あのシステムを調べている。
名前やテクノロジーのどちらをとっても、どうしたって大ショッカー製だ。
そして元とはいえその首領をしていた門矢士。
それがシステムをチェックしたのだ。間違いなく、あのシステムの不備で京鏡花が洗脳されることはない。
「だから安心しろ。他の誰かが直接手を出さない限り、アイツが俺らの敵にはならねーよ」
「・・・そっか」
そういって、ユウスケを安心させる士。
心配も晴れたのか、明るい顔で写真館に入っていく二人。
そう、士自身も気づいていない。
その一連の言葉は、まるで自分を言い聞かせるかのような語りであったことに。
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その夜、とある一軒家に対し、怪電波が飛ばされた。
受信した家は―――――いうまでもない。
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翌朝
「さて!!今日も張り切っていきましょう、先輩!!ししょー!!」
「いや、今日はいい」
「あらー!?」
ガチャバン!!と勢いよく写真館を訪れる鏡花。
今日は土曜日。
朝からやる気満々だぜ!!と意気込んできた彼女だが、いきなり出鼻をくじかれてしまった。
「えー?なんでなんでー!?」
「あぁもうやまかしい!!お前こないだのライダー検定落としたろーが」
「うぇ!?うっそだー!!とことん見直ししたもん!!絶対合格だってー!!」
説明しよう。
ライダー検定とは、門矢士考案の仮面ライダーに関する知識検定だ。
ディケイドやディエンド、そして彼女のディライドは、他のライダーの力を使うことで真価を発揮し、強大な戦闘力を得るシステムだ。
その関係上、他のライダーの能力や力、技など、頭に入れておかねばならない情報は多岐にわたる。
それを確かめるためのテスト。それがライダー検定だ。
つい先日受けたそれを、彼女は完ぺきと言って提出したものの、どうやら届かなかったらしい。
「いやいやいや!完璧だから!!だったらどこ間違ってたか教えてくださいよ!!」
「悪いがその暇は今はない。今からお前のドライバーもシステムチェックするし」
「へ!?ドライバーまで!?」
そういって、よこせと手を出す士。
助けを求めるようにユウスケ、夏海に目をやる鏡花だが、しょうがないよと頷くだけの二人。
しかし、当の鏡花は納得いかない。
試験は家に帰って見直して、そりゃ二、三問は間違えたけどその程度で合格ラインを下回る筈がないくらいの出来だった。
システムチェックだって、出会って最初に渡した時に徹底的にしたはずだ。こんな一週間程度の短期間で二回目をする意味がわからない。
「なんでですか?」
ジトッとした目で、理由の説明を求める鏡花。
ドライバーも両手で抱えてしまって離さない。
「・・・・・・はぁ・・・」
「士、やっぱ話といたほうが」
「・・・そうだな。聞き分けのないガキじゃないんだし」
なにおう!?と粋がる鏡花。
だが、理由を教えてくれるのならばいいだろうと、警戒を少しだけ退いた。
「いいか?昨晩・・・・」
ドォン―――――!!!
「「「「!?」」」」
ガラガラガラッ!!!
どこか遠くから、爆発音が聞こえた。
直後、写真館の背景ロールが降りてくる。
なんだ?!と驚愕する一同だが、士の携帯が震え、見てみると蒔風からのメールが入っていた。
曰く
「フロニャルドで謎の怪物が暴れている。現地員では手が付けられない」
とのこと。
あの野郎、丸投げもいいところである。
だが背景ロールが強制的に降りてきたところを見ると、これは世界そのものからの救難信号である可能性が高い。
ならば、それを無下にするわけにもいかないだろう。
「行くぞ!」
「よしっ!!」
「いや、鏡花はここで待機だ」
「え?」
立ち上がる士、ユウスケ、夏海。
だが鏡花はここで待てと、士が止めた。
何故?
そう聞く前に、士が答えた。
「こんな状況での呼び出しだ。敵がどんなのかわからない。だからお前はここに残り、もしもの時には「EARTH」に連絡してほしい」
「そ、そんなの」
「たのむ、お前が最後の生命線になるんだ!!」
「おぅっ!?」
パシン!と両手を合わせる士。
まったく頭を下げないあたり彼らしいが、それでも彼が頼むという態度をとるということはそれなりに重大な意味があるのだろう。
そう思って、鏡花はよし分かったと胸を張る。
「任せなさい!!鏡花ちゃんが最後の砦として、ここに残ってますよ!!」
「ああそうだ、あとお前は絶対に戦闘に出るなよ?」
「え!?そこまでお預け!?」
「そゆこと。じゃあ行くぞ!!」
「終わったら呼ぶからさ」
「お留守番、お願いします!!」
そうして飛び出す三人。
ポツンと残る一人。
「まあまあ、一緒に彼らの帰りを待とうじゃないか」
そういう栄次郎に連れられ、クッキーづくりに誘われる。
これでいいのか?
遠くから轟音が響く。
本当に――――いいのだろうか?
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これで、出てこざるを得まいて。
この世界の地脈。その淀みから生まれし魔獣と、魔化魍のハイブリット。
そこにこの、我が魔力が注ぎこむことにより――――
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「な、なんだあれ!?」
「さあな・・・だがただの魔物ではない・・・ってことだ」
怪物は、巨大な紫の体躯をした魔獣であった。
体長は地上4メートルほど。
四足歩行の獣が、二足歩行したかのような体躯をしている。
頭に山羊のような捻られた角、尻尾はなく、足は蹄だ。
右手はごつい五指が揃っており、棍棒が握られている。反対の左手はゴツイコブで、こちらも鈍器になっている。
魔獣は現在、森とも林ともつかない木々の中に立っており、咆哮を上げながら前進を続ける。
その怪物の姿を、上空からクウガゴウラムとその背に乗ったキバーラ、そしてブレイドジャックフォームにフォームライドしたディケイドが発見した。
すでに空中には隣国であるパスティヤージュ公国の空中騎兵が飛び交い、怪物の進行先にはビスコッティ共和国の砲撃隊が隊列を成している。
だが見ると戦況は芳しくなく、すでに空中騎兵はいくつか落とされており、砲撃隊からも煙が上がっている。
そしてすでに突撃した後なのか、怪物の進行跡を見ると、運び出されるガレット獅子団の戦士の姿があった。
「クソッ!!!」
それを見て悪態をつくクウガ。
クウガゴウラムの羽根が展開し、勢いよく突進していった。
キバーラが地上に飛び降り。ゴウラムはそのまま魔獣の足元に飛来する。
そして、魔獣の片足に突撃し、その一撃を以ってなんと、魔獣の片足を浮かせるまでした。
片足立ちになる怪物。
そしてその片足のひざ裏に、キバーラの渾身の一撃が叩き込まれた。
キバーラの必殺技・ソニックスタッブが叩き込まれ、ガクンとバランスを崩して大地に倒れ込む魔獣。
その姿に、周辺の兵士たちは歓声に沸いた。
「「EARTH」だ!!!」
「仮面ライダーが応援に駆け付けてくれたぞ!!!」
「ライダー殿、かたじけない!!!」
周辺から声がし、ディケイドも地上に降り立ちビスコッティの砲撃隊を背に立つ。
魔獣が咆哮する。
自分の目の前に立つその戦士に対し。
そして、それにこたえるようにディケイドも叫んだ。
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えとけ!!」
そうして駆けだすディケイド。
デカい敵なら、それ相応の戦い方がある。
マシンディケイダーを呼び出し、それに跨って草原を駆ける。
怪物の振り下ろす棍棒を回避し、その衝撃で盛り上がる大地をジャンプ台にして飛び出した。
アタックライドで呼び出したG4の装備・ギガントミサイルを構え、次々に発射して怪物の胸元に攻撃を加えていった。
だが聞いていないのか、怪物は左手のコブで叩き潰そうと、外からの大ぶりでディケイドに襲い掛かる。
その一撃をマシンごとインビジブルのカードで離脱し、その場から消えるディケイド。
空振りした怪物は、後頭部に突っ込んできたゴウラムの一撃でつんのめり、何とか踏みとどまり振り返るも、今度は目元をキバーラの剣が切り裂いた。
目元をやられて頭を振る魔獣。
だが直後、自分の周辺に熱を感じた。
見ると、周囲360度―――どころではない。
ドーム状に自分を覆うように、ミサイルやビーム、砲撃が自分に向けられていた。
それを視認したのも一瞬だ。直後、そのすべてが自分に向かって突っ込んできた。
《ATTCK RIDE―――Clock Up》
アタックライドの効果が切れ、姿を現すディケイド。
一気にカードを使い、高速世界で動いた反動かフゥッ、と大きく息を切らす。
そして、これで決めると言わんばかりにケータッチを取出し、コンプリートフォームへと姿を変える。
「ユウスケ、行けるか!?」
「おう!!やってやるぜ!!!」
クウガゴウラムがライダーへと戻り、クウガがディケイドコンプリートフォームの効果によりライジングアルティメットへと強化変身。
両者ともに放つ必殺の一撃で焼き払おうとディケイドがカードを構えた。
だが
「ブロロロオロロロロロロロロロロロロロロロォォォオオウウウウウウ!!!」
怪物が咆哮を上げた。
その声の質は、先ほどまでの物とは違う、異常な殺意と異様な重圧を放つ。
その声に得体のしれない何かを感じるディケイド。
魔獣は大きく息を吸い込み、自らの身体に溜めこんでいく。
胸が大きく膨らんでいき、呼吸器の限界まで空気を溜めこんで行く怪物は、まるでこのまま浮くのではないかというほどにまでそれをチャージし―――――
「ヤバい!!!ダァッ!!!」
ライジングアルティメット状態からの、ゴウラム変形。
ファイナルフォームライド・ライジングアルティメットゴウラムとなったクウガが、怪物の横っ面に対して雷撃を纏った体当たりをブチかました。
「バォォォオオオオオオオロロロオロロロロロロロロロロロロロロロォォォオオウウウウウウ!!!」
直後、怪物が咆哮と共に「それ」を一気に吐き出した。
それは空気とも、音の塊とも取れないもの。
だが、圧倒的な破壊力を持ったそれは、クウガの渾身の一撃に砲口―――顔の向きを変えられながらも問題なく発射された。
それは渦を巻きながら放たれた巨大な砲撃。
本来ならディケイドごと、後方のビスコッティ共和国を飲み込むはずだったそれは、怪物が右を向いたことで見事に逸れ
ゴバッ!!!!
様々なものを巻き込みながら平原を飛び、遠方の山脈を抉り取った。
「な・・・・!?」
ここからでも見える、山脈の峰。
それの山の一つを消し飛ばし、山脈を左右に割ってしまったのだ。
こんな威力、まともに受けきれるわけがない。
ドォン!!と、螺旋に掻きまわされて地面に叩き付けられるクウガ。
怪物の顔面を弾いた直後にあれだ。巻き込まれたのだろう。
続けて放たれようとする咆哮砲。
見ると、さっきより左腕のコブが膨れている。
(そうか、そこはいわば火薬庫。戦闘中に少しずつ、あそこにも空気を溜めてたのか・・・!!)
だから、怪物はもう一発撃てる。
最後の一溜と言わんばかりに大きく吸い込むと、フルチャージには届かないだろうが十分に膨らんだ。
「クソッっ!!」
あれを倒すには、あの砲撃をどうにかしなければならない。
あれのチャージが終わる前に倒さねばならなかったのだ。
倒すのは難しくない。
たがそのためには、あの咆哮砲を生き延びなければ――――――!!!
《KABUTO!!KAMEN RIDE―――HYPER》
即座にカブトハイパーフォームを呼び出すディケイド。
すでに慣れた手つきでカードを取出し、腰のドライバーに装填。
ここをしのぐには、ハイパーカブトと共に放つ―――――
《FINAL ATTCK RIDE―――KA KA KA KABUTO!》
ハイパーマキシマムサイクロンしかない。
「バォォォオオオオオオオロロロオロロロロロロロロロロロロロロロォォォオオウウウウウウ!!!」
「ハァァアアアアッッッ!!!」
放たれる強力無比の砲撃。
チャージ時間が万全であれば、一撃で山一つ吹き飛ばすハイパーマキシマムサイクロンだが、その時間も短いこの場合では、ディケイドとカブトの二撃合わせて何とかといったところか――――――
「ガぁっ!!」
「ブォッ!?」
バァンッッ!!と、拮抗していた砲撃は空中で弾け、周囲のものをすべて弾き飛ばした。
衝撃に耐えられず、ディケイドは通常形態に戻り、ハイパーカブトも消えてしまった。
見ると、土煙が晴れつつある中には、巻き添えで倒れるキバーラや各国の兵士たちがいた。
「ブフー・・・・ブァァアァアアアア・・・・・!!!!」
その煙の向こうで、怪物の深い、そして大きな呼吸音が聞こえた。
(マズイ・・・次撃が来る・・・・)
このチャージ中に、なんとしても奴を倒さねば・・・・・
そのチャージ中にこそ、勝機があるというのに!!
「クソッ!!!」
溜まっていく「砲弾」。
土煙の中で、徐々に膨らんでいくシルエット。
同じ勢いで、士の中で焦りが膨らんでいく。
瞬間
《ATTCK RIDE―――Ride Booker》
「まさか・・・!?」
《Charge―――ATTCK RIDE―――MAXIMUM HYPER TYPHOON・SHINING CRASH・KISHIN KAKUSEI・OHRZE BUASH》
ザギン――――!!という音と共に、怪物と土煙、そして空間が切れた。
一瞬遅れて空間のみが元に戻り、土煙が吹き飛んで、両断された怪物が爆発し、消え去った。
その後には、ただ一人の装甲戦士が残る。
「鏡花!!!」
仮面ライダーディライド
その手には呼び出したのであろうライドブッカーが握られており、その刀身は炎が纏い、輝き、そしてエネルギーが螺旋で纏っていた。
それらが消え、剣そのものも消えると、ガクリとディライドが膝を着く。
突如のことで唖然とするも、周囲からは怪物が撃破されたことで歓声が沸き上がっていた。
その中で、ディケイド、クウガ、キバーラの三人がディライドに駆け寄った。
「大丈夫か!?」
「へ、へへー。たおしちったもんねー」
「バカ、なんで出てきた!!」
「へ?だ、だってヤバそうだし、出てくんなとは言われてないし」
待機って、ヤバいときに手で来る予備員でしょ?
そんな解釈をいう鏡花。
まあ確かにそういう意味の時もあるが、今回は相違があったらしい。
「あのなぁ・・・」
「あれ?あたしなんかやっちゃった?」
「・・・おい、何ともないのか?」
「なんとも」
鏡花の言葉に、ハァー、と安堵とも呆れとも取れる溜息をつく一同。
なになに?と置いてけぼりの彼女に、ユウスケが説明する。
「いやね?昨晩、君の家に何か変な怪電波が飛んだのをキャッチしたんだよ」
「ユウスケ。頭痛が痛いみたいになってる」
「うっさい。で、それでうちらも何かあったら大変だから、もっかい再調査しようと思ったわけ」
「ユウスケ。危険が危ないみたいになってる」
「うっさい。んで、今朝の朝、それしようとしたらこの事件で・・・とりあえず変身解かない?」
「ユウスケ。馬から落馬みたいになってる」
うっさい、と士からのツッコミに返すユウスケ。
それを見て、強化も納得がいったのか「あはは、そういうことですか」と笑いながら、変身を解こうとブレスレットに手を伸ばす。
が
「え?うそ、なにこれ・・・・アぁァァアアアアああああ!?」
ガクガクガクとディライドの身体が痙攣し、鏡花の悲鳴が上がった。
バチバチと頭部を電撃が軽く走り、ディライドが抱えていたキバーラを押しのけて三人から離れる。
「おい!!鏡花!!」
「マジかよ・・・最悪だ!!」
三人がディライドを止めようと手を伸ばす。
だが、それよりも早くディライドがインビジブルのアタックライドを発動させてしまった。
ディライドが、消えた。
この状況を目の当たりにして、楽観的な考えができるほど彼らもバカではない。
最悪なケースになった。
そう考えて、間違いない。
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「やあ士。苦戦したみたいだね?」
戦いも終え、宴に呼ばれたのも断り、急いで写真館に戻った三人。
「EARTH」に連絡しようと戻った彼らを出迎えたのは、三人座れるソファを一人で陣取っていた海東大樹だった。
「海東」
「ふふーん、調べたよ士。ディライドの事。聞いて驚けよ?あのシステム、実はあるコマンドを受信した後に変身すると、変身解除の時に変身者を束縛してしまうプログラムが埋め込まれていたんだよ!!あれ?そういえば、その例の子はどこに?」
「「「遅い!!」」」
パカーン!!と叩かれ、ソファから落とされる海東。
理不尽だ。でもしょうがない。
仮面ライダーディライド
一体誰が、何の目的で
あのシステムを作り、このようなことをしたて上げたのか
そして今、京鏡花は一体どこに?
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「おお、戻ったかディライド!!!」
とある、どこかの次元に存在する研究室。
洞窟の中に、機材を並べたそこに、灰色のオーロラをくぐってディライドが現れる。
「はてさて、今度はどうなるのか・・・・ディケイドVSディライド・・・か」
そういって、キーボードをたたき作業に入る老人。
白衣は汚れているが、その胸には大ショッカーのエンブレムが。
「果たして悪とは・・・・正義に常に敗れるモノなのか?」
いつもそう。
どのような組織も、どのような悪も、どのような能力も。
最後には正義に負ける。
果たして、それが世の常か?
「そんなはずがない!」
この世界には方程式がある。
絶対不変の数式だ。
そして現実は、それをもってしても決定することのできない不条理な変化の宝庫。
ならば、現実において絶対はない。
「諦めぬ限り・・・いずれ、な」
男はその果てを目指す。
いつか辿り着く、その場所まで
to be continued
後書き
あららららら!!
やっぱりこうなる!?
ディケイド勢、察知するも防げず!!
まあこうするためにあの怪物呼び出されたんだけどね!!
士
「いや待て、あんなの呼び出す、つーか作れるとか何モノだよ!?」
ユウスケ
「わかった!!あのイカレたマッドサイエンティスト!!あいつが送り込んだんだな!?」
士
「ユウスケ。車に乗車みたいになってる」
ユウスケ
「うっさい」
夏海
「えっとですね、手元の資料によると、違うみたいですよ?」
おいこらぁ!!
勝手に見んじゃねーよっていうかココ舞台裏設定だったの!?
海東
「何だと思ってたのさ」
「あとがき」の世界だとおもってた。
ユウスケ
「何それ」
確かに、魔獣送り込んでた怪しい奴と、最後に出てきた科学者は別人です。
面識はあるのかなー?ないのかなー?
っと、そんなこんなでディライド新判明の機能!!
チャージとストックです!!
チャージは一撃、ストックは連撃って考えればいいと思います!!
士
「ちなみに、一回で4つ溜められるそうだ」
ユウスケ
「あ、ストックもね。だから右手に4つ、左手に4つで合わせて8つだ!とかはできないよ」
夏海
「でも凄いですよね」
ユウスケ
「ああ・・・最悪、バーニングライダーパンチ、ライダースティング、マイティキック、ライダーキック(カブト)とかの連続攻撃が・・・」
夏海
「なんてこと・・・やっぱり彼女は「プロミス」ですね!!」
士
「おいこら」
今んとこチャージだけですが、ストックも使いたいですね。
士
「使いたいですねって、それ向けられんの俺なんだぞ!?」
ユウスケ
「ガンバ」
海東
「ガンバ」
士
「くたばれフレンズ」
夏海
「次回。ディライドVSディケイド!!」
ではまた次回
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