| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「冬寂月」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

十二




 月もなく

  冷ゑし夜闇に

    そぼ降るは

 音なき影と

    見えぬ雪かな



 今日は月もなく…本当に真っ暗な夜だ…。

 風も冷々とし、闇が部屋の中まで流れ込んでくるかのようで…。

 寂しさは想いを呼び…逢えぬ人の顔を心へと浮かび上がらせる…。

 あの人と在れた故郷…記憶の雪が、まるでこの闇の中へ想いと共にそぼ降っているようだ…。



 忘れじの

  時そありてや

    秘めにける

 哀れむものは

   世にはあるまじ



 忘れることなど有り得ない…そんな時間があるからこそ、想いを秘めて行くしかないのだ…。

 こんな私を哀れむ者などこの世にはないのだから…一人、歩み行くしかないのだ…。


 たとえ…あの人に忘れられようとも…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧