儚き想い、されど永遠の想い
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117部分:第十話 映画館の中でその七
第十話 映画館の中でその七
それを話してだった。
「間違いなく」
「そうですね。そうなりますね」
「そして大きな騒ぎになります」
また言う彼だった。
「御互いの家全体での」
「大変なことになりますね」
「はい、しかしです」
「しかし?」
「このままではどうにもなりません」
義正は話を本題に進めた。
「ですから。ここはです」
「公にすべきですか」
「少なくとも今のままでは同じです」
誰にも言えない、秘密の関係ならというのだ。
「それではです」
「公にするしかないですか」
「前に出ましょう」
彼は言った。
「そしてそのうえで、です」
「そのうえで、ですか」
「幸せを手に入れましょう」
そうするとだ。彼は真理に言った。
「是非です。そうしましょう」
「しかしそれは」
真理は義正に対してだ。逡巡を見せた。
その逡巡を顔に見せながらだ。こう言うのだった。
「一歩間違えれば」
「はい、私達の仲が大変なことになります」
「そうなりませんか?」
「下手をすればなります」
義正もそのリスクはわかっていた。認識していた。
しかしだ。それでもだとだ。彼は言うのである。
「ですが。その危険はです」
「その危険は」
「私が打ち破ります」
真理に対して言ったのだった。
「それが目の前に来たらです」
「そうしてなのですね」
「二人で向かいましょう」
真理への言葉を続けていく。
「それでは駄目でしょうか」
「いえ」
真理はだ。少し間を置いてだ。
そのうえでだ。微笑んでだ。義正に話したのだった。
「八条さん。いえ」
「いえ?」
「義正さんがそう仰るのでしたら」
彼の名前を呼んでの言葉だった。
「私もです」
「共に来て頂けるのですね」
「義正さんが打ち破られるのなら」
そのだ。危険をだというのだ。
そしてその義正に対してだとだ。真理は彼に話すのだ。
顔はこれまで以上に真剣なものになっている。そのうえでの言葉であった。
「私はです」
「貴女は。いえ」
義正もだ。ここでだった。
己の言葉を一旦引っ込めだ。こう言ってみせたのである。
「真理さんは」
「その義正さんを支えたいです」
彼女はだ。そうしたいというのである。
「義正さんが前を進まれ危険を打ち破られ」
「そして真理さんはですね」
「その義正さんを支えたいと思います」
「そうして頂けるのです」
「その後ろから」
義正が前で真理は後ろだった。二人は補完になっていた。
「そうして頂けるのですか」
「それでは駄目でしょうか」
「駄目な筈がありません」
こうした否定の言葉をだ。義正は今出したのだった。
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