儚き想い、されど永遠の想い
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115部分:第十話 映画館の中でその五
第十話 映画館の中でその五
「そうなるのです」
「恋愛は悲しい結末だけでなく」
「幸せな結末もあるのです」
「では、です」
「はい、それでは」
「私達もでしょうか」
真理はこう義正に尋ねた。
「私達もそうなるでしょうか」
「喜劇になりたいでしょうか」
義正は真理に尋ねた。
「そうなりたいでしょうか」
「結末は」
真理はその問いにだ。
少し考えてからだ。こう答えたのである。
「そうなりたいです」
「喜劇の結末にですね」
「やはり。幸せになりたいです」
そうなりたいとだ。真理は答えた。
「是非と言ってもいい位にです」
「それではですね」
「はい、では喜劇に」
「喜劇の結末を」
こうした話をしてだ。そうしてであった。
義正はだ。意を決した顔になってだ。そのうえで。
真理にだ。こう提案したのである。
「この映画の後で、です」
「この後で、ですか」
「詳しくお話をしたいのですが」
そうしたいとだ。真理に話すのである。
「宜しいでしょうか」
「あのことで、ですね」
「はい、あのことです」
それが何かはだ。もう二人の間では言うまでもなかった。
そしてだった。義正はさらに話すのだった。
「場所を換えて。そのうえで」
「お話をして」
「決めたいのですか」
「はい」
真理は義正のその言葉に頷いた。これで決まったのだ。
二人はまた映画に集中した。確かに滑稽な喜劇だがそこに人間や文明の悲しみを表現したチャップリンを観てからだ。二人はだ。
喫茶店に入った。あのマジックである。そこでこの日はピアノの曲を聴くのだった。
真理はだ。まずはだった。
今の曲は誰の曲かをだ。義正に尋ねるのだった。二人は今二人用のテーブルに着いてだ。そのうえで彼に対してそれを尋ねたのである。
「この曲は」
「今かかっている曲ですね」
「はい、これは誰の曲でしょうか」
こう義正に尋ねるのである。
「ピアノの曲なのはわかりますが」
「モーツァルトです」
「モーツァルトですか」
「はい、彼です」
「そうだったのですか」
「モーツァルトは多くの作品を残していまして」
義正はそのモーツァルトについてここから話した。
「その中にはです」
「ピアノのものもあるのですか」
「はい、そうです」
「まさかピアノもあるとは」
「彼は天才でした」
そのモーツァルトについて話す。
「あらゆる音楽を作曲できたのです」
「あらゆるなのですね」
「しかもどの音楽も素晴しいものです」
モーツァルトに駄作はない。歌劇においては端役もない。それが彼なのだ。
「それが彼なのです」
「モーツァルトですね」
「はい、彼です」
また話す義正だった。
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