緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
~Confession~
その後―俺は自室で頭の痛みと闘いつつ、眠りに着いた。そして......午後1時辺りか。ぶわん、という音がしたのでそっちを見ると。
「ん......?」
虚空にスキマが出き、そこから手が伸び、ビニール袋をドアノブに掛けた。
「............誰だ?」
俺が思ったまま、そう言うと―その手がビクッと震えた。直後、聞こえてきたのは、
「あー...... ついに見られたか。元々隠す必要も無かったけどな」
彩斗の声だ。それと同時にスキマが大きく開き、彩斗が出てきた。
「特濃葛根湯を買ってきてくれたことは感謝する......が、何だその超能力は」
俺は風邪を引いていることも忘れ、ただ思ったことだけを口にする。
「時空間移動だが?ほら、これ飲め 」
と、彩斗が特濃葛根湯を手渡してくれる。
「チートか。......サンキュ」
俺は買ってきてもらった葛根湯を飲み、ベッドに横たわる。
「詳しい説明は帰ってきてからしてもらうからな」
「...ああ、分かったよ。白雪にも、アリアにもな」
そう言った彩斗は、スキマを潜り―学校に戻って行った。
~彩斗side~
俺はキンジに葛根湯を渡しに行った後、5時間目の授業を受けて、今年初の強襲棟へとアリアと歩を進めている。
「何気にアンタと一緒に強襲科に行くのって初めてね」
「あー…そうだな。初めは|狙撃科に行ったりしてたし。強襲科に特に用は無かったから」
別に行っても良かったんだが、卒業出来るだけの単位は取れてるしな。やることと言ったら任務受けて金稼ぐくらいか。
「ノーマル状態のアンタの実力、楽しみにしてるわよ」
唐突に、アリアがそう言ってきた。
「どうぞご自由に」
まぁ…普通の状態の俺でも、Aランクはあるらしい。強襲科顧問の蘭豹先生より。.....本当か?それ。
そんな話をしていると、強襲棟が目の前に。
黒い体育館みたいな形状で、中では銃撃・斬撃の音が耐えない。通称、『明日なき学科』だ。
―ガララッ
扉を開けると…あれ?視線が......
「…皆、よく聞け!生ける伝説が降臨したぞ!!」
強襲科の中の1人が突然に声を上げた。
「…誰?生ける伝説って」
アリアがキョトンとしながら、呟きつつ見上げてくる。
「…俺にも分からん」
「―え!?あの伝説のSランク武偵が!?」
「彩斗が!彩斗が来たぞ!!」
お前らの中での俺の存在はどうなってるんだ......?
戸惑い、呆れていると―見慣れた顔が出てきた。
「やぁ、如月君」
「…不知火か。何だこの騒ぎは」
「伝説のSランク武偵、如月君が来たってことで…皆興奮してるんだよ。皆で如月君の銃技の腕を見てみたいって話してたところ」
「まぁ、ちょうどいいな。久しぶりに練習しようと思ってたから」
すると、強襲科の女子が―
「如月君、跳弾射撃やってくださいっ!」
『おぉ............!!!』
何だこの団結力。
「別に構わんが」
『やったー!』
「やれややれやぁッ!!」
さっきの荒々しい声は、蘭豹か―2年C組の担任で、クッソ長いポニテが特徴。
香港マフィア貴蘭曾グランフィ)の幹部の愛娘。
かつては無敵と恐れられていたそうだが―その凶暴さ故に、各国を入国禁止になったそうだ。
愛銃はM500(象殺し)。口癖は「死ね」
ていうかなに先生まで便乗してるんですか。
―で、ご要望に答えるため…俺はミッドα波とγ波になるよう、脳波をちょいと弄った。
これならばESSには達せずとも、跳弾射撃くらいなら問題なく出来る。
俺は射撃レーンに立ち、左手にベレッタ。右手にはDEを構えた。
後ろにはギャラリー。勿論アリアと蘭豹先生もいる。
ターゲットの的を跳弾で撃ち抜くには、入射角反射角及び弾の運動エネルギー云々を考える…のだが。
さすがミッドα波にγ波だ。ESSより少し時間はかかるが、すぐに結論は出た。
…跳弾射撃には、2パターンあるのだが。床・壁で跳弾、銃弾同士で跳弾するかだ。今回は後者でいく。
銃をクロスするように構え、まずはベレッタを発砲する。弾道はターゲットの左腕。
そしてすぐさまDEを発砲し、ベレッタの9mm弾に.50Express弾を当てる。そうすることで、9mm弾はターゲットの右腕に―Express弾は左腕に当たった。
―ほんの一瞬の出来事だった。
ギャラリーは皆驚きに声も出ず、対するアリアはそれをさぞ当たり前のように見ていた。
『パチパチパチパチ!!』
強襲科の皆からの拍手が沸き起こる。
「じゃあ…これでいいか?俺は帰るが」
俺がそう言うと、ギャラリーの中からアリアが出てきた。
「あたしも一緒に帰る」
まぁ…別にいいけどさ。
「―そういうことだ。じゃあな、皆」
俺はそう言い残し、強襲科棟を後にする。
そして、ぶわん。家への境界を開いた。
「ほらアリア、ここ潜れ」
俺は―すっ。境界を指さして、アリアに言う。
まぁ、見られてもいいでしょ?どっちにしろこの後話すもん。
「えっ?ちょ、何よそれ」
いいから、と俺は強引に境界へと押し込む。
「ただいまー…」
俺とアリアは境界を潜り、家のリビングへと戻った。
テーブルに座っていたキンジと白雪が、突然出てきたことに驚いている。
「あのー…あっくん、それって......」
白雪が境界を指さしながら言う。
「ん?時空間移動の超能力だが」
『えっ!?』
キンジを除く他2人は、俺が超能力者だったことにものすごく驚いている。
「ちょっと彩斗!詳しく説明しなさいよっ 」
言われなくてもするよ。
―少年説明中―
さて、やっと説明が終わったワケだが。
「よーするに、チートってワケか」
「まぁ、そういう解釈でいいな」
SSR所属の白雪によると―俺の時空間移動の能力は、第lV超能力というジャンルに入るらしい。
…何が何だか全くもって分からない。
ただ、時空間タイプの超能力者は―世界でも未だにいなく、恐らく俺(とその母の家系)が初めてらしい。
「それにしても、乗能力者・Sランク・超能力者って......ホントにチートね。アンタ 」
「俺だって好きでチートキャラやってんじゃないんだぞ......?」
「お前の二つ名、歩くチートキャラでいいんじゃないか?」
良くない。
「あら、それいいじゃない!」
はぁ............全くコイツらは。
~Prease to the next time!
ページ上へ戻る