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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1930話

 予想通り……と言うべきか、職員室での一件を終え、森山を引き連れて戻ってきた俺達の話を聞いた有里は、怒った。
 それはもう、普段はそこまで活発に動く訳でもない有里が、江古田に対して苛立ちを露わにして口汚く罵っているのを見れば、どれだけ有里が怒っているのかという事の証明になるだろう。
 そして有里が怒っているとなると、当然のようにそれはファンクラブにも漏れ聞こえる筈であり……さて、江古田がどうなるのか。ちょっと楽しみだな。
 また、有里のファンクラブ以外にも、本来行方不明である筈の山岸を両親と共謀してとはいえ、病欠扱いにしていたのだ。
 教師として、それは明らかにやってはいけない事であり、何らかの罰が下されるのは間違いない。
 また、大勢の教師がいる前で生徒に無能呼ばわりされ、更にはそれを他の教師に聞かれているというのも、江古田にとっては大きな失点だろう。
 教師を無能呼ばわりすれば、普通ならそれを叱る。それこそ生徒の方に何らかの処分が言い渡されてもおかしくはない。
 だが、そのような真似をすれば江古田は何故そのような事になったのかをきちんと説明する必要があり、自分が何をやったのかの説明もする必要がある。
 ……いや、その件については既に処分が下ると決定してるのだから、知られても困らないのか?
 まぁ、恥の上塗りになるという点では大きいし、何より相手が桐条だというのも大きい。
 月光館学園を実質的に経営している桐条一族の令嬢。
 正直なところ、この月光館学園で江古田は出世はまず無理だと考えてもいいだろう。
 だからって、他の学校に転勤という形を取ろうにも、当然のように転勤先の学校では江古田の前歴を調べる。
 月光館学園での失態や……何より、それによって桐条グループに睨まれるという可能性を考えれば、江古田を雇いたいと思う者はいないだろう。
 いや、それは教師だけに限らない。
 もし教師以外の仕事……それこそ塾の講師とかそういうのや、あるいは教育に全く関係のない仕事に就こうとしても、当然のように履歴書とかに書かれていれば、前歴を調べるという事はやる筈だ。
 で、桐条グループは世界的にも大きな企業であり……普通ならそんな相手との関係を悪くしたいとは思わない。
 結果として、江古田の取る道は2つ。
 このまま周囲からの厳しい視線をそのままに、現状を維持するか……もしくは履歴書等を必要としない、日雇いの仕事とかをやる。
 そんな風に俺が考えている間に、話は進んでいた。
 森山が山岸を苛めていた事を認め、どこか自分と似ているようで気にくわなかったとか、そんな感じで。
 当然そんな話を聞いて、有里が納得出来る筈がない。
 いや、有里だけではなく、ゆかりや桐条といった面々も同様だった。

「そのような身勝手な真似をして、その上で尚且つ体育館倉庫に山岸を閉じ込めた、と?」
「……うん」
「そうか。まぁ、いい。森山だったな。お前の仲間が無気力症になったのは、自業自得だ」
「……うん」

 桐条の責める視線に、森山は下を見る。
 本当に反省しているのかどうかは、俺にも分からない。
 だが、こうしてあからさまに反省しているのを見れば、桐条もこれ以上責める事は難しいだろう。
 ゆかりの方は、それでもまだ何か言いたそうだったが。
 俺と山岸は顔見知り程度という事もあり、そこまで親しい訳ではなかった。
 だが、同じ女という事で、ゆかりと山岸はそれなりに仲が良かったのだろう。
 だからこそ、まだ森山に色々と言いたい事があったのは間違いない。
 だが……桐条の、時間がないという言葉を聞けば、我慢せざるを得ないのも事実だ。
 職員室でのやり取りもあり、休み時間はもうすぐ終わる。
 であれば、今は少しでも事情を聞き出す必要があった。

「それでは改めて聞くが、先程森山が言っていた通り、山岸を体育館の倉庫に閉じ込めたのだな?」

 つい先程同じ事を言っていたと思うのだが、それでも念には念を入れての問い。
 もっとも、その気持ちは分からないではない。
 昨日の時点で行ける場所を可能な限り探し、それでも山岸を見つける事が出来なかったのだ。
 そして出た結論が、エントランスからタルタロスの中に入ったのではなく、校舎にいる状態で影時間となり、直接タルタロスの中に転移したのではないかと、そういう事だ。
 勿論それはあくまでも予想であり、可能性でしかなかった。
 だが、そう考えれば辻褄が合うのも間違いはない。

「分かった。この件については昼休みに話そう。森山、君にも昼休みには付き合って貰うぞ。君の下らない浅慮が原因でこのような事になっているのだからな」
「それは……はい、分かってます」

 桐条の言葉に、森山は少し戸惑いながらも頷き……何かを決意した目で口を開く。

「その、風花は一体どこにいるんですか? もし私のせいで行方不明になっているのだとしたら……」
「君に与えられる情報はない。もし少しでも自分が悪いと思っているのであれば、いらない詮索はしないで大人しくこちらの指示に従うように」

 有無を言わさない言葉。
 人に命令するのに慣れている、支配者としての雰囲気……といったところか。
 桐条グループの令嬢としての教育の成果といったところか。
 周囲を見回すと、他の者達もそんな桐条の雰囲気にやられたのか、それ以上何を口にする事も出来なくなっていた。
 もっとも、俺の場合はこの程度でどうにかなるような事はないが。
 これまで俺が渡り合ってきた相手の中には、それこそ神と呼ばれている者すらいるのだ。
 言っちゃ悪いが、桐条程度の持つ空気や雰囲気でどうにかなる筈もない。
 そして聞こえてくるチャイムの音。
 どうやら、タイムアップか。

「では、昼休みになったら朝の会議室に集まるように。森山、君の証言も必要だから、君にも来て貰うぞ」

 そう告げる桐条に、森山は黙って頷く事しか出来なかった。
 いや、自業自得と言えばそれまでなんだけどな。





 昼休み、食事を素早く済ませた俺達は、朝と同じ会議室に来ていた。
 違うのは、朝のメンバーに森山が追加されているところだろう。
 その森山は、朝から今まで色々と考える事があったのか、かなり疲れている様子が見て取れる。
 まぁ、その辺りは自業自得なのだが。

「さて、早速だがこれからの予定について話そう。森山が言うには、山岸を閉じ込めた場所は体育館の倉庫。それに間違いはないな」
「はい」

 朝の件も含めれば、これで聞かれたのは3度目。
 それだけに、何故そこまで聞くのか分からないといった様子で、森山は桐条や俺達の方を見ている。
 その気持ちも分からないではない。
 そもそもの話、もう体育館倉庫に山岸がいない以上、今更それを聞いたところでどうする……といった感じなのだろう。
 その辺りの判断は、影時間について知っているかどうかで大きく違ってくるのだろうが。
 ともあれ、そんな訳で桐条の質問に答える森山だったが、朝とは違うところもある。

「山岸を倉庫に閉じ込めたのは、どのような服装でだ?」
「……どのような?」
「そうだ。例えば運動着だったのか、それとも制服だったのか」
「制服です。学校が終わってからだったので」
「そうか。となると、動きにくいと考えるべきだろうな」

 制服……スカートと運動着のどちらかが動きやすいのかと言われれば、普通なら後者を選ぶだろう。
 別に制服だからといって決して動きにくい訳ではないだろうが、それでもやはり運動具に比べれば劣るといったところか。
 そして、シャドウと遭遇する可能性を考える以上、制服と運動着というのでは、生き残れるだろう確率に大きな違いがある。
 まぁ、山岸の運動神経は決して優れている訳じゃないだろうから、制服と運動着の差は誤差でしかない可能性もあるのだが。

「分かった。……他に何か持っていたのかどうかは分からないか?」
「他に……鞄とかは持ってたと思いますけど」
「その鞄の中には何が入っていたのか分かるか?」
「分かりません」
「そうか。せめて何か食料や飲み物といった物が入っていればいいのだが」

 桐条の心配も理解出来る。
 影時間のみ姿を現すタルタロスの中にいたとしても、20時間以上経っているのだ。
 腹が減り、喉が渇き……といった具合に山岸が陥っている可能性は否定出来ない筈だ。
 その時、食べ物や飲み物の類があるのであれば、何とかなる可能性もあるだろう。
 だが、空腹と乾きに襲われてしまえば、ただでさえ決して身体が丈夫だとは思えない山岸だ。
 あっさりと動けなくなり、シャドウに襲われて殺される可能性は決して否定出来ない。
 いや、その可能性はかなり高いだろう。

「えっと、それはどういう意味なんですか? やっぱり風花は誰かに連れ去られたとか、そういう事なんですか?」
「その可能性も決して否定は出来ないな。だが、生憎と君にそれを言う事は出来ない。君の用は済んだので、もう部屋から出てくれ」
「ちょっ、な、何でですか!? 私だって風花の事は……」

 桐条の言葉にそう反発する森山だったが、そんな森山に対して桐条は特に感情を露わにしたりもせず、口を開く。

「君の行動の結果が、今の状況だ。もしこの場で君をここに置いておけば、それこそ自分のしでかしたことの証拠を消すべく、妙な動きをしかねない。その心配がある以上、これからの話に君を混ぜるのは危険だと判断したのだ」
「そんな! 私がそんな事を……」
「しない、と? だが、一体誰がそれを証明出来る? そもそも、今回の騒動は君が原因だ。そうである以上、君を疑わざるを得ない」
「……でも……」

 桐条の言葉に、何か言おうとする様子を見せる森山。
 だが、今はそれに対して何を言う事も出来なかった。
 自分でもまだ疑われていると、分かっているのだろう。

「ま、自分のしでかした結果がこの騒動を巻き起こしたんだ。今は大人しくしてるのが一番いいだろうな」

 桐条の味方をする訳ではないが、純粋にそう思ったので口にする。
 だが……江古田もそうだが、森山もこれからの学校生活は色々と厳しいものになるのは間違いない。
 ましてや、進学をするにも内申点で今回のような一件を起こしたとなると、普通の大学に進学するのは難しいだろう。
 勿論2流、3流といった大学や、試験の類がなく、金だけで入学出来る専門学校といった場所であれば話は別だが。
 就職に関しても、しっかりと面接をするような場所は、内申書について調べるだろうから、難しい。
 可能性としては……森山のような奴等は、横の連帯とかは結構強いので、知り合いがやっている店とかがあれば、そこに潜り込めるかもしれないが。

「……分かったわよ」

 俺の言葉に納得したのか、森山は会議室から出ていく。
 それを見届けると、俺達はすぐに本来の話題に戻る。
 当然だろう。昼休みも、決して無限ではないのだ。
 まだ20分くらいは残っているが、それだけになるべく早く今夜の行動を決めておく必要がある。

「まぁ、普通に考えれば体育館の倉庫に俺達がいる状況で影時間に突入する。それだけだろうな」

 俺の言葉を聞いていた面々が頷く。

「それが一番手っ取り早いのは間違いない。だが、本当に同じ場所にいれば、山岸だったか? その女と一緒の場所に出られるのか?」
「真田先輩の言いたい事も分かるっすけど……けど、アクセルの言ってるのが一番手っ取り早いのも間違いないっすよ?」

 順平の言葉に、真田は頷きを返す。

「それは分かっている。実際、山岸だったか? その女が体育館倉庫にいれば、恐らく同じ場所に行けるだろう。だが……影時間に閉じ込められてから1週間近い。つまり影時間の中だけでも20時間以上経っている訳だ。なら、山岸が同じ場所にいると思うか?」
「あ」

 その言葉に、順平が惚けた声を出す。
 いや、それは順平だけではない。真田の話を聞いていた全員が同様だった。
 体育館の倉庫が、タルタロスになった時にどのような場所になるのかは、俺も分からない。
 だが、もしシャドウのいる場所に転移しようものなら……いや、そこまで最悪ではないとしても、同じ場所に留まっていられるのかと言われれば、微妙なところだろう。
 臆病だから、もしかしたら……そんな可能性がない訳でもないが、逆に臆病だからこそもっと安全な場所を探してタルタロスの中を移動しているという可能性もある。
 もっとも、シャドウがいるタルタロスだ。どっちが安全なのかというのは、正直なところ微妙なのだが。

「明彦の言いたい事は理解した。だが、山岸がそこにいないとも限らないだろう?」
「だろうな。まぁ、ちょっと気になったから言っただけだよ。それで、どうするんだ?」
「そうだな。やはり、私達もその体育館倉庫にいる状態で影時間を迎える……というのが、最善の選択だろうな。アルマーはどう思う?」
「俺もそれでいいと思う。ただ、今日は満月だ。つまり……」
「イレギュラーシャドウ、か」

 俺の言葉に、桐条が深刻そうに呟くのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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