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オズのトト

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第一幕その五

「凄いでしょ」
「はい、偉大なる魔法使いにしてですね」
「発明家であるのよ」
 魔法使いさんはそうだというのです。
「あの人にこれまでどれだけね」
「発明品を頂いて」
「助けてもらってるかわからないわ」
「そうなんですね」
「ええ、とてもね」
 こうも言うドロシーでした。
「あの人がいて、って思ったことはないわ」
「そこまでなんですね」
「ええ、あとシューズは昔はなかったわ」
「ドロシーさんが最初にオズの国に来られた頃は」
「そう、なかったのよ」
「そうだったんですね」
「スパイクはあったけれど」
 野球の時に履くそれはです。
「シューズはなくてね」
「ドロシーさんもですね」
「履いてなかったの、けれどね」
「今はですね」
「こうして履いてるわ」
 実際にというのです。
「それも気楽にね」
「シューズって履きやすいですよね」
「そして動きやすいわ」
 そうしたこともお話します、マンチキンの青い世界をどんどん進みながら。
「だからいいのよ」
「そうですよね」
「靴も変わったわ」
「ドロシーさんはよく冒険に出られますし」
 オズの国一の冒険家であるだけにです。
「だから余計にいいですね」
「そう、履きやすく動きやすい靴はね」
「そうですよね」
「だからよくね」
「シューズもですね」
「履くわ」
 そうしているというのです。
「実際にね」
「そうなんですね」
「ええ、ただ服に合わせているの」
 履いている靴はです。
「シューズを履かない時も多いわ」
「そういえばドロシーさんの服って」
「昔ながらの服が多いから」
「ベッツイさんやトロットさんにしても」
「だから」
「そう、ジーンズやミニスカートは履かないでしょ」 
 このことはオズの国では皆そうです、服装だけはドロシーが最初に着た時から変わっていないのです。
「私達は」
「ラフな格好にはならないですよね」
「だからですね」
「ドロシーさんもですね」
「シューズを履かれない時も多いんですね」
「履いている靴は服に合わせるから」
「そうなの、シューズは好きでも」
 それでもというのです。
「履く靴はね」
「考えておられるんですね」
「お洒落もね」
 恵梨香に言うのでした。
「気をつけているから」
「合わない靴ですと」
「お洒落じゃなくなるでしょ」
「はい、どうしても」
「だから気をつけているの」
「ドロシーさんのファッションにですね」
「そうなの。私がジーンズを履いたらどうかしら」
 恵梨香にくすりと笑って尋ねるのでした、もうエメラルドの都に入っていて周りも青から緑になっています。
「似合うかしら」
「何が想像出来ないです」
「そうよね、今もね」
 治部から言うドロシーでした。
「自分でも思うけれど」
「合ってないですか」
「そう思ってね」
 それでというのです。 
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