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レーヴァティン

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第三十五話 北の大地その八

「なっても曹候補の方が早いし」
「そうなんだな」
「士官、幹部になるのも」
「曹候補の人の方が多いか」
「断然ね、候補の人って制服も違うし」
「どんな制服なんだよ、その人達は」
「予科練の服なんだ」
 それだというのだ。
「うちの学園の高等部とか中等部の制服にもあるけれど」
「あれだね、七つボタンの詰襟だね」
 源三も言ってきた。
「あれだね」
「そうそう、あれだよ」
「あの制服なんだね、候補の人達は」
「航空学生と一緒でね」
「航空学生が昔の予科練だね」
「そう、予科練で」
 それでとだ、淳二も源三に答えた。
「曹候補の人もなんだ」
「七つボタンなんだ」
「もうこれだけでわかるね」
「海自さんは入り口社会なんだね」
「陸自さん空自さんと比べてね」
「今もそうなんだ」
「これがね」
「いや、何か」
 ここでこう言った源三だった、淳二の話を聞いて。
「当時の海軍ってそうしたところもあるんだね」
「そうなんだよ、これが」
「それでのらくろもか」
 久志はあらためてこの漫画の話をした。
「陸軍だから大尉にまでなれたか」
「そうなんだ」
「それは意外だな、しかしな」
「しかし?」
「いや、狼からのらくろの話になるなんてな」
「思えば話が流れているでござるな」
「そうだよな、というかのらくろの話なんてよく知ってるな」
 久志は進太に応えつつ淳二に問うた。
「相当古い漫画だろ」
「いや、実は昔の漫画も興味があってね」
「それで読んでか」
「知ってるんだ」
 そののらくろのこともというのだ。
「あとイガグリ君とかも知ってるし」
「確か柔道の漫画だよな」
「杉浦茂先生の漫画もね」
「名前杉浦忠さんと間違えそうだな」
 こちらは南海ホークス、今の福岡ソフトバンクホークスのエースだった。シリーズ四連投四連勝で球界の癌巨人を成敗したことで有名だ。
「何か」
「うん、確かに似てるね」
「その人の漫画も知ってるんだな」
「そうなんだ、赤胴鈴之助とかもね」
 この作品もというのだ。
「知ってるし読んでるし」
「集めてるのかよ」
「集めるにはお金がね」
 淳二は少し苦笑いで応えて述べた。
「アルバイトと麻雀で稼いでも」
「それでもか」
「他にもお金を使うし」
「他にもかよ」
「ゲームセンターとかにもね、麻雀もいつも勝つ訳じゃないし」
「六分だな」
「多くて七分ね」
 また博打の勝ち方の話になった、ここで。
「鬼みたいな、雀鬼も来るし」
「鬼か」
「本当に嘆きの竜みたいな人いるから」
「そうした人に遭うと負けるか」
「おいら位じゃね」
「麻雀も上には上がいるか」
「いるよ、もうそうした人達は六分とか七分とか意識しないで」
 そうした勝ち方でなく、というのだ。
「十分狙ってくるから」
「相手を徹底的に破るんだな」
「そうしてくるから」
「そうした人に遭うとか」
「もう諦めるしかないから」
 負けるしかないというのだ、要するに。
「それこそね」
「そうした意味で麻雀も運か」
「強い相手はとことん強い世界だから」
「そんなに強弱がある世界か」
「そうなんだよ、それで食べている人達だし」
 麻雀、それでだ。 
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