FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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シリルvs.ナツ
前書き
原作を読みながら書いていくってあまりなかったからちょっと疲れますね。ゆっくりと進めていこうと思うのでよろしくお願いします。
シリルside
「もう二度とあんな恥ずかしいことしません/////」
「もう生きていけない・・・」
顔を真っ赤にしているウェンディと俺は椅子に座り頭から湯気が出ている。こんな屈辱、一体何回目だろうか・・・
「すごく可愛かったよ、いやー愛されてるね、ウェンディもシリルも」
「全然嬉しくない!!」
茶化すような言い方のシェリアに思わず声を上げる。その横でトビーさんとユウカさんが俺たちが歌っていた『天使に滅LOVE』を歌い出す。
「滅LOVEって何だよ!!」
「その通りだと思います」
「キレんなよ」
トビーさんの見事な突っ込みにサクラがうなずきユウカさんが宥める。それを聞いては俺もウェンディも余計恥ずかしくなって体が震え出す。
「まぁ、シリルはこれからより恥ずかしさを体験するだろうな」
「え!?まだ何かあるの!?」
レオンの意味深な言葉に顔が強張る。感謝祭は無事に終わったはず・・・それなのにまだ何か辱しめを受けなければならないのか!?
「シリル、ウェンディ、客だぞ」
「「え?」」
尚も迫り来るという辱しめに恐怖を抱いていると、リオンさんが俺たちにそう言う。一体誰なのかと入口の方を見ていると、そこには懐かしい顔がいた。
「よ!!」
「久しぶりー」
「元気ー!?シリルー、ウェンディー」
そこにいたのは1年前に突如姿を消したナツさんとハッピー、それにルーシィさんの姿もあった。
「ナツさん!!」
「ルーシィさん!!ハッピーも!!」
久しぶりの再会に思わず嬉しさ涙が出そうになる。だが、ここで俺は先程のレオンの言葉を思い出した。
「あの・・・ナツさん?」
「ん?どうしたシリル」
「もしかしてさっきのステージ見ました?」
「あぁ!!すげー似合ってたぞ!!」
悪びれる様子もなく爽やかな笑顔を見せるナツさんだけど、こちらとしてはそれどころではない。あんな無様な様も見られたとなれば、恥ずかしさで耳まで赤くなってしまう。
「ほら、言った通りだろ?」
どうやらレオンはナツさんたちが来ていたことを知っていたらしい。確かにステージ上から見えることは見えるけど、踊るのと歌うのに手一杯でそれどころじゃなかったからな・・・
「2人とも、ちょっと背伸びたか?」
「いや・・・その・・・」
「全然変わってないです」
頭を撫でてくるナツさんにそう答えざるを得ない。俺は14歳になりウェンディは13歳になったはずなのに、まるで身長が伸びない。まさかこれで伸びきってるなんてことはないと思うけど・・・
「そっか」
屈託のない笑顔でそう言ったナツさんは俺とウェンディの体を持ち上げる。
「じゃ、連れて帰る」
「あわわ」
「え!?ちょっと!?」
「「「オイ!!」」」
何の脈略もなく背を向けてどこかに俺たちを拉致しようとしたナツさんだったけど、リオンさんたちが慌てている俺たちを急いで降ろさせる。そもそも帰ると言ったけど、一体どこに帰るというんだろうか?
「妖精の尻尾復活・・・ですか?」
「もう一度皆さんを集めて」
席に座り、ナツさんとルーシィさんから事情を聞いてみると、2人はギルドを再建するためにまずは俺たちのことを迎えに来てくれたらしい。その間ウェンディに抱えられているハッピーが羨ましかったけど、決して表情には出さないように善処する。
「うん・・・この1年マスターも行方不明。きっと解散の謎に関係してると思うの」
「マカロフ氏のことは評議院でも問題になっているらしいな」
「評議院!?イヤな響きだ」
心底嫌そうな顔を見せるナツさん。破天荒な人が多かった妖精の尻尾は何かと目の敵にされてたけど、それは俺たちに非があるから仕方ないんじゃないかな?
「なくなっちゃったんじゃないの?」
「そっか・・・あんたたちずっと山ごもりしてたから知らないのね」
「評議院がなければ魔導士ギルドは運営できねーだろ?そこで1年前、聖十大魔道が集まり評議院を再結成した」
「ジュラさんもレオンもそこに行っちまったよ!!」
「キレんなよ」
「俺は呼ばれただけだし」
「おおーん」
2人は修行のために街に降りてきてなかったみたいだからこのことを知らなかったらしい。そういえば結局人は集まったのかな?全然話題に上ってこなかったけど・・・
「聖十の魔導士が評議員か・・・強そーだな」
「じゃあマスターも」
聖十の響きにナツさんのテンションが上がる。そんな中ハッピーが口を開くが、すぐにルーシィさんからの突っ込みが入る。
「そのハズだったんだけど、行方をくらましちゃって」
「逃げたんじゃねーのか?めんどくさそーだし」
的を射てるようなナツさんの言葉に思わず俺とレオンは苦笑いをする。
「とりあえずじっちゃんはおいといて・・・俺たちと来いよ、シリル、ウェンディ」
「あ・・・あの・・・」
もしかしたらこんな日が来るかもしれないとは予期していた。だから俺とウェンディはあらかじめこの時の回答を決めておいた。
「俺たちは蛇姫の鱗の魔導士です」
「ナツさんたちとは行けません」
「「「!!」」」
俺たちの言葉に目が飛び出るほど驚くナツさんたち。これにはシェリアとレオンを初めとした蛇姫の鱗の一同も同じ反応だ。
「シリル!?ウェンディ!?」
「何で・・・!?」
「すみません」
柔らかな笑顔で答えるウェンディ。ここでリオンさんたちが割って入る。
「俺たちに遠慮することないぞ、この時が来るのはわかってた」
「おおーん!!全然寂しくなんかないし!!」
「泣くなよ」
こういうだろうとは思ってたけど、俺たちは静かに首を横に振る。それを見てナツさんが机を叩いた。
「どういうことだよシリル!!ウェンディ!!」
「私は・・・」
威圧的なナツさんに口籠るウェンディ。俺は彼同様に立ち上がるキッと睨み付ける。
「これは俺たちが決めたことなんです。そんな態度はやめてください」
「!!」
たぶんこんな態度は今までしたことがない。初めて見るであろう俺の表情にナツさんを始めとした全員が固まった。
「シリルの言う通りだよ~」
「無理強いはやめてくれる?」
「セシリー」
「シャルル」
沈黙の中部屋に入ってきたのは人の姿になったセシリーとシャルル。その後ろからラウルが飛んできて、レオンの隣に降り立つ。
「何で人間なんだー!?」
「え!?そこなの!?」
「ずいぶん今更な突っ込みですね・・・」
ラウルとサクラがナツさんの叫びにそう言う。レオンが彼らが来るのを知ってたのはラウルにあらかじめ合図を送ってもらう手筈になっていたかららしい。初めて見るシャルルたちの姿に目を点にしているナツさんたちに、2人は嬉々として答える。
「これ?変身魔法よ」
「ラウルに教えてもらったんだ~」
「この姿、ちょっとだけ魔力が上がって予知魔法が強くなるの」
「ハッピーは何か成長した~?」
イヤらしい笑みで猫のままのハッピーに詰め寄る2人。
「オイラだって修行して・・・修行して・・・
お魚を少しガマンできるようになったよ」
「何の修行してたのよ」
盛大にお腹の音を鳴らすハッピーにルーシィさんが突っ込む。ここで満足したのかシャルルとセシリーは元の姿になってテーブルに乗る。
「本当にこれでいいのね?ウェンディ」
「シリルも後悔しない~?」
「もちろん」
シャルルの問いに笑顔でウェンディはうなずき、俺もセシリーにうなずく。その際後ろを振り返ると、シェリアが暗い顔をしているのに気が付いた。
「・・・理由は?」
「「え?」」
「お前らが残ってくれるのは嬉しいが、キッチリした理由が利きたい。じゃないとモヤモヤする」
幼馴染みのその表情に気が付いたレオンは彼女の横に立ち俺たちにそう言う。それにウェンディは困った顔をするので、俺が答えることにした。
「蛇姫の鱗の皆さんにはいっぱいお世話になりました。それに・・・
突然挨拶もなくいなくなる人とは一緒に行けません」
ナツさんの顔が歪んだのがよくわかった。自分でも自覚があったのかもしれない。誰にも言わずに修行に出て、帰ってきたらすぐにギルドを復活させる。そんなわがままが簡単にまかり通る訳がないことくらい。
「ウs・・・そうか」
何か言おうとしたが、彼は俺がグッと奥歯を噛み締めたことに気が付きこれ以上は何も言わない。俺だって言いたくなかった。でも、これくらい言わないと信じてもらえない。
「でもよぉ!!俺はみんなを守るために力を付けてきたんだ!!だから―――」
「俺だってこの1年間、ずっと成長してきましたよ」
彼がいなくなったのは冥府の門との戦いで力不足を痛感したからなのはよくわかってる。でも俺だってウェンディたちを守るために、レオンに勝つためにずっと修行してきた。ならばと俺はある提案をする。
「こうしましょう。今から俺とナツさんで勝負して、俺が勝ったらキッパリ諦めてください」
「俺が勝ったら戻ってくるってことでいいのか?」
「いいですよ」
一触即発の険悪な雰囲気。リオンさんはそれで満足ならと、その場にいた全員をバトルできる場所へと案内する。
以前マーガレット祭で使用された広場。ここの中心で俺とナツさんは戦いを始めようとしていた。
「レオン、フィールドを作るぞ」
「危ないからね」
俺たちを囲むような形で透明な氷のドームを作るレオンとリオンさん。街に被害が出ないようにするための配慮らしい。
「ルールは俺たちが決める。先に気絶した方、氷のドームから出てしまった方の負け。いいな!!」
「はい!!」
「わかった」
野次馬たちも集まってくる中、俺もナツさんも気合い十分。リオンさんが試合開始の合図をすると、ナツさんが真っ先に突っ込んでくる。
「火竜の・・・鉄拳!!」
炎を纏った拳を放つ火竜。俺はそれを見切って交わすと、同様に水を手に纏い拳を振るう。
「水竜の鉄拳!!」
顔面めがけて伸びる手。それは彼の頬をクリーンヒット―――
「させるかぁ!!」
する直前で彼の足によってそれを払われる。
「くっ」
無茶苦茶な体勢から繰り出された蹴りに思わず感心する。やっぱりナツさんはすごい。この1年でさらに強くなっている。
「水竜の・・・」
それでも、俺も十分に強くなった。それにまだまだ発展途上だし、今のナツさんに勝つこともできるはず。
「咆哮!!」
頬を膨らませて水の波動を放つ。ナツさんは腕をクロスして防ごうとするが、それを軽々と呑みこみ氷の壁に激突させる。
「やるな、シリル」
フィールドにヒビが入るほどの威力の攻撃を受けたのに、彼は多少のダメージを受けただけで済んでいる。
「ナツさんこそ!!やっぱり強いですね!!」
「当たり前だ!!前よりももっと強くなってるぞ!!」
炎の魔法をこれでもかと繰り出してくるナツさん。でもそれを俺は全て回避する。魔力が高まったことで魔水晶による視力がさらによくなった。おかげでどんな高速攻撃も見切ることができる。
「火竜の・・・咆哮!!」
だがここで想定外の事態が起きた。パンチやキックなど接近戦を仕掛けてきた相手がその距離感のままブレスを放ってきた。急な攻撃だったことで防御体勢が取れない。
「うわああああ!!」
強くフィールドの壁に打ち付けられる。あまりの威力に地面に落ちたが、思いの外ダメージを受けていなかったようですぐ立ち上がられた。
「1年間修行してその程度ですか?」
「安心しろ、まだまだ本気じゃねぇぞ」
そう言われるとちょっと驚いてしまう。でも、それは俺も同じ。そもそも本気で戦うつもりなんかなかったけど、ここは負けるわけにはいかない。
「水竜の・・・」
「火竜の・・・」
拳に魔力を溜め込み両者が相手に向かって走り出す。
「「鉄拳!!」
顔面めがけて放たれた両者の拳。それがクリーンヒットしたところで、記憶が途絶えた。
「んん・・・」
目が覚めるとそこは見知った天井が見えた。その脇にいるのは同い年くらいの少女たち。
「あら?起きたわ」
「大丈夫~?」
最初に声をかけてきたのはシャルルとセシリー。俺が無理矢理体を起こすと、ウェンディたちも部屋に入ってきた。
「シリル!!よかった!!」
「もう、2人して気絶するからびっくりしたよ」
「大した一撃じゃなかっただろ」
「いいところに入ってたからね」
いつの間にやらパジャマに着替えているウェンディとシェリアの後ろから冷めたように現れるレオンとラウル。そこまで来て、俺はナツさんとの勝負のことを思い出した。
「あぁ!!もしかして俺負けた!?」
「残念。引き分けだったんだなこれが」
何が残念だったのか色々突っ込んでやりたいがここはあえてスルーする。聞いた話によると、2人とも相手の拳がクリーンヒットしたことで気絶してしまい、勝者なしになったらしい。
「じゃあ賭けはどうなったの?」
「さぁ?」
「ルーシィさんとハッピーがナツさんをどこかに連れていってたから、もしかしたら明日も来るかも」
引き分けかとガッカリしている上に、また明日も来るかもしれないと言われると余計面倒くさいことになりそうな気がしてタメ息が出た。しかも外はすでに暗くなっており、夜になっていることから明日が近いことがわかりなお憂鬱だ。
「ほら、シリル起きたからもう戻ってもらっていいぞ」
「はいはい」
「じゃあ、また明日ね」
「うん。お休み」
レオンに追い出されるように部屋から出ていったウェンディたち。ここに残されたのは俺とレオン、そしてラウルの3人。
「で?お前は本当にここに残るのか?」
急に改まった表情で問いかけてくるレオン。これに重たい話になると察したラウルは面倒くさそうな顔をするが、静かにベッドに腰かけた。
「そりゃあ残るよ。ずっと言ってるじゃん」
「シェリアのためにか?」
そう言われてわかった。彼がギルドで俺たちに質問をして来た理由が。シェリアのいとこのシェリーさんは、先日青い天馬のレンさんと結婚してギルドから出ていった。そのためウェンディが、シェリアを1人にしたくないと残ることを希望して、俺たちも残ろうということにしたのだ。
「うん・・・シェリアには言わないでね?」
「さっきウェンディが言ってたから、あいつも知ってるぞ」
俺が気絶している間に、2人は着替えながらそんなことを話していたらしい。女子の部屋に聞き耳を立てるのはいかがなものかと思うが、ここはあえてスルーしておこう。
「でも、はっきり言うけどそれはお節介としか言いようがない。シェリアには俺もラウルも、リオンくんたちもいる。お前らが心配するような、1人になることなんてないんだぞ」
それには何も言い返せない。まさしく彼の言う通りだ。シェリアにはギルドの仲間たちがいて、幼馴染みがいる。
「俺はウェンディの意志を尊重するよ」
それでもウェンディの優しい心を邪魔するようなことはしたくない。彼女の思いやりは何にも変えがたい、大切なものだからだ。
「いつも思ってたけど、ウェンディばっかりでお前の意志はどこにもないのか?」
「!!」
図星を突かれて押し黙る。俺はどうしたいのか、今まで考えたことなかった。
「俺は―――」
ドォーン
口を開いたその時、外から突如大きな音がした。
「何の音だ?」
「ギルドの方から聞こえたよ!!」
「行ってみよ!!」
その音がギルドの方から聞こえたので慌てて部屋から飛び出す。同じく部屋から出てきたウェンディたちと一緒に、俺たちはギルドへと向かった。
後書き
いかがだったでしょうか。
一度やってみたかったシリルvs.ナツを簡潔にやってみました。
久々すぎてちょっとバトルのやり方を忘れていたorz
これからゆっくりと感覚を取り戻していきたいと思います。
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