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身内のみ

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第四章

「お陰で監督候補将来不安になってきたな」
「冗談抜きで羽良の後どうなるんだ」
「あと選手の話聞けよ」
「監督の戦略とかな」
「金で何でもかんでも選手獲得していいものじゃないだろ」
「育成も大事なんだよ」
「将来も見据えてな」
 長期的な戦略もないというのだ。
「本当にどうするつもりだ、十年後とか」
「冗談抜きで監督どうするんだ」
「他チームの選手監督にするか?」
「馬鹿、虚塵がそんなことするか」
 厳密に言えばフロントがというのだ。
「あそこのフロントは伝統に五月蠅いんだぞ」
「まだ球界の盟主とか言ってるしな」
 全世界で全否定すべき妄説である。
「伝統にしがみ付いていてな」
「もう絶対の不文律だからな」
「監督は生え抜きのスター選手」
「しかもスキャンダルが少ない」
「フロントにも逆らない、な」
 こうした条件が揃っていないとなれないというのだ。
「全く、どうなんだ」
「これから監督どうするんだ」
「十年後とかな」
「候補者が多いに越したことないのに」
「ここにもFAの弊害出てるよな」
「全くだよ」
 売読独自のそれがというのだ、だが羽良は少なくともチームに愛情があり監督としてはまともでだ。
 チームを何度も優勝に導いた、だが。
 誰も何時までも監督になれない、それで羽良も監督の座を降りる時になったがこの時にだった。
 ファン達が以前から懸念していた通りになったのだった。
「次監督誰だ?」
「松居か?」
「松居はまだ早いだろ」
「じゃあ桒田か」
 彼の名前も出ていた。
「桒田になるか?」
「あんなあからさまにフロントに意見する奴なれるか」
 このチームの監督にというのだ。
「フロントの方からお断りだろ」
「二軍監督の西藤か?」
「うち二軍監督が一軍の監督になったことないぞ」
 この話がここで出た。
「八十年以上」
「つまりチームが出来てからか」
「これも不文律だったんだな、うちの」
「そうだったんだな」
 この話がここで注目された。
「二軍監督は一軍監督になれないか」
「ずっと晴れ舞台にいないと駄目か?」
「二軍監督から一軍監督って他のチームだったらあるだろ」
「神阪だってあったぞ」
「丘田とかな」
 チームを優勝させたこともある往年の名セカンドだ。 
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