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気持ち悪い

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第二章

「いや、もうです」
「俺の言った通りにか」
「はい、気持ち悪いとか」
 そう言われることはというのだ。
「全然言われなくなりました」
「それはいいことだね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「何かですね」 
 意外といった顔で河原崎にこうしたことも話した。
「女の子の目が変わって」
「恰好いいとかかな」
「そんなこと言う娘が出てるみたいです」
 脱色してセットした髪、すらりとした長身、恰好よく着こなしてアクセサリーも飾っている今の姿で言う。
「どうやら」
「それはいいね」
「いや、僕も変わったら」
 これまでとは違って明るい顔と声での言葉だった、かつての彼はそうしたものまでが暗かったがだ。
「彼女も出来るんですね」
「そうだね、よかったね」
「このままでいきます」
「スポーツをしてお洒落をして」
「明るくいきます」
「それで彼女もだね」
「出来て」
 そしてというのだ。
「楽しい学生生活を過ごします」
「応援してるよ」
「有り難うございます」
 内藤は河原崎に実際に明るい笑顔で話した、もう彼を気持ち悪いだの言う者はいなくなった。
 そしてある日だ、放課後に校舎裏に呼び出されて。
 クラスメイトの女の子に告白された、これは彼にとってははじめてのことで驚いたことだった。
 河原崎はその話を自分の店で内藤自身から聞いた、それでまずは彼に笑顔でこう言ったのだった。
「そうか、遂にだね」
「そんな娘が実際に出ました」
「それはよかったね、それじゃあだね」
 河原崎はカウンターにこれから買うファッション雑誌を持ってきて自分に話す内藤にさらに聞いた。
「彼女出来たんだね」
「ああ、断ったんですよ」
 内藤の返事は河原崎にとっては意外なものだった。
「そうしました」
「あれっ、断ったのかい」
「はい」
 内藤は自分の言葉に驚いた顔に河原崎に笑って答えた。
「そうしました」
「それはどうしてだい?」
「いえ、その娘も前に言ってたんですよ」
「君が気持ち悪いってか」
「僕そのこと忘れてないですから」
「だからなんだ」
「断りました」
 その告白をというのだ。
「悪いけれど君とは付き合えないって言って」
「そのことを言ってかい?」
「言いました」
 本人に実際にというのだ。
「君僕に前に気持ち悪いって言ったから」
「本当にそう言って」
「断りました」
「つまりあれだね」
 何故内藤がそう相手に言ったのか、河原崎は考えながら彼に聞いた。
「外見で人を判断する人とはだね」
「付き合いたくないですから」
 だからだとだ、内藤もこう答えた。
「気持ち悪いって言われていた時に思いまして」
「それでだね」
「断ったんですよ」
「惜しいとは思わないね」
「はい、内面も観ないと駄目ですよね」
 人は、というのだ。 
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