会長✖生徒会長
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第二章
「あの二人幼稚園の時から一緒だろ」
「そうそう、地元でね」
「兵庫の山の方で」
八条学園のある兵庫県は実は神戸だけではない、山も多く日本海側まである面積の大きな県なのだ。二人は神戸から少し離れた牧場のある場所で生まれ育ってきたのだ。ただし二人のコースは別だ。
「小学校中学校も一緒で」
「実家はどっちも農業関係だからここに進学して」
「それで生徒会の会長副会長になって」
「今はあんなのなのね」
「子供の頃からああなのかよ」
畜産コースの代表が言うことはこのことだった。
「顔を見合せば言い合いばかりかよ」
「そうじゃないのか?」
「あの仲の悪さ見てたら」
「子供の頃から仲が悪くて」
「喧嘩してたの?」
「そうじゃないの?」
生徒会の他の面々もコースの代表達も言う。
「まさに犬猿の仲」
「最初からそうだからじゃない?」
「クラス違うから札はどうかわからないけれど」
「それでも」
「あの調子?」
「普段から」
「絶対にそうだよ」
生徒会の書記はこう断言した。
「さもないとね」
「あそこまで仲が悪くない」
「やっぱりそうか」
「子供の頃から仲が悪くて今もそう」
「うちの生徒会でそれが出てるってことね」
「だろうね、全く二人共能力は高いのに」
書記は二人の会長副会長としての能力の高さはわかっているのでそのことをよく思いながらもその仲の悪さを無念に思って言った。
「どうして仲が悪いのか」
「仲がいいならね」
「私達も調整の必要ないのに」
「二人の間に入ってお話まとめたり」
「そうしたことしなくて済むのね」
「けれど先生が言うには」
特にこの学園に古くからいる先生達が言うにはだ。
「今の生徒会動きがいいって?」
「それもかなり」
「順調で円滑に動いてる」
「そうだっていうね」
「例年になく」
「それ嘘でしょ」
流通コースの代表の女の子がそれを否定した。
「今の生徒会が順調に動いてるって」
「とてもそうは思えないけれど」
「どう考えても」
「あの二人が喧嘩ばかりしてるから」
「それで仲裁に入って調整して」
「そればかりなのに」
「それで順調に動いてるとか」
とてもというのだ。
「有り得ないな」
「本当に」
彼等は誰も信じなかった、その先生の言葉を。とにかく幸季と葵は生徒会室でいつも言い合っていた。
それで誰もが二人はずっと仲が悪いと思っていた、それで生徒会の仕事とは別の時にだった。
二人が学園全体での清掃でたまたま一緒になった時にだ、二人をよく知る一緒のグループの者達はうわ、という顔になった。
「あの二人が一緒か」
「これは大変ね」
「どっちか一人だけならいいのに」
「一緒のグループなんて」
自分達もそこにいてというのだ。
「これは辛いわ」
「大変よね」
「私達のグループ動けるの?」
「作業内容はもう決まってて先生の監督の下でやるけれど」
「あの二人が一緒にいたら」
「もうどうなるか」
「普段から喧嘩ばかりなのに」
生徒会ではだ。
「また?」
「お掃除の時も喧嘩ばかり?」
「うんざりだよ、そう思うだけで」
「本当にね」
こう言ってまた言い合いばかりかと思った、しかし。
二人は作業になるとだ、これがだった。
二人は実に連携が取れた作業をしていた、お互い言い合うのではなくフォローさえしてそのうえでだ。
幸季の言うことにだ、葵はこう答えた。
「わかったわ」
「じゃあね」
「それは私がしていくから」
こう言うのだった。
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