サキュバス
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第四章
「ご主人様の専属の奴隷になりますので」
「いや、奴隷って」
「ひたすらご奉仕する」
「それでお料理もなんだ」
「はい、作らせてもらってます」
尚佐紀は料理上手だ。
「どんどん召し上がって下さいね」
「それじゃあ」
「あと契約している間は儀式は他の方とは出来ないので」
「僕とだけだね」
「はい、私はずっと勇人さんだけですよ」
交際する、もっと言えば儀式を行う相手はというのだ。
「このことも安心して下さいね」
「嬉しいね、じゃあ僕もね」
「勇人さんもですか」
「佐紀ちゃん一人だから」
こう言うのだった。
「絶対にね」
「それが契約だからですか」
「いや、交際してるから」
こうした考えはしっかりしている勇人だった。
「当然じゃない」
「そうですか」
「そうだよ、しかし夢にも思わなかったよ」
「私がサキュバスであることが」
「あの時はびっくりしたよ」
まさにと言うのだった、佐紀が作ってくれたサンドイッチを食べながら。
「まさかね」
「私がサキュバスなんて」
「そうだよ、誰にもばれないよね」
「はい、人間の世界では私はです」
「あくまでだね」
「人間です」
「変身してるからだね」
「そうです、それに」
さらに話した佐紀だった。
「見たり聞いたりした人はすぐにわかりますので」
「魔族の魔力で」
「そうです、そしてその魔力で」
佐紀の話は続く、佐紀もサンドイッチを食べている。
「そうした人の記憶を消しますので」
「だから大丈夫なんだ」
「魔族の正体を知ったその部分だけを」
見たり聞いた相手の記憶の駄。
「ですから」
「そういうことなんだ、ってことは」
その話からだ、勇人は気付いて佐紀にさらに問うた。
「僕も」
「実はあの時」
佐紀の家にはじめて入れてもらったその時にだ。
「私を駄目だって言えば」
「記憶消されてたんだ」
「はい、私がサキュバスだって知ったことは」
まさにその部分だけをというのだ。
「消されてて後は」
「都合よくだね」
「私が告白を受けなかったということで」
そうしたことになってというのだ。
「終わっていました」
「そうだったんだ」
「別に何もです」
それこそという返事だった。
「なかったことになっていました」
「そうだったんだね」
「それでよかったですか?」
「まさか、佐紀ちゃんでだよ」
勇人は佐紀に真剣な顔で答えた。
「僕もよかったから」
「そう言ってくれますか」
「うん、性格凄くいいし料理上手だし顔もスタイルも僕好みだし」
そうした佐紀のサキュバスとは別の長所を話した。
「それにベッドの中じゃね」
「儀式の時もですか」
「凄いから」
勇人は佐紀しか知らないがその儀式に夢中になっている、それこそ毎日彼女との儀式を行っている位だ。それも何度も。
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