遊戯王GX~鉄砲水の四方山話~
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ターン85 鉄砲水と変幻の銀河
前書き
2017年ラスト投稿。
皆様、よいお年を。
前回のあらすじ:三沢っち帰還……を読んでいたかのような公式の三沢推しに密かにビビる。もうあれは妖怪デッキを書けというお告げだと思うことにしました。
「……どう、三沢?」
眩しいほどに明かりの灯る部屋の中、ひたすら机に向かう三沢に声をかける。少し待ってみたが反応がないあたり、こちらの声も届かないほど集中しているのだろう。
三沢がこの世界に突然帰ってきて、そうかと思えば入れ替わるようにオブライエンからの連絡を受けて童実野町へと駈けつけていった十代からは、いまだに何の連絡もない。返り討ち……なんてことは、十代に限ってあり得ないだろう。あれだけ大口叩いておいてあっさり負けた僕や、まだ異世界でのトラウマがぬぐい切れていない皆に配慮してか本人は隠しているつもりらしいけど、今の十代にはあのユベルが付いている。最初に彼……彼女?の姿をこっちの世界でまた見た時にはさすがにびっくりしたけれど、十代がそれでいいならきっとあの後で何かがあったんだろう。それに、下手に野生のSALでも拾ってこられるより食費も世話の手間もかからないから楽なもんだ。
「よし。清明、できたぞ。ちょっと動かしてみてくれ」
いきなり椅子に座ったまま振り返った三沢が、僕に向かって青い輪っかを投げてよこしてきた。三沢の解説をBGM代わりに聞きながら、ようやく返してもらえたそれを元通り腕にはめ直す。
「これまでは覇王に対抗するために突貫工事で作った間に合わせの品だったからかなり無駄も多かったが……これで、エネルギー効率はだいぶマシになったはずだ。給水機能もそっくり取り替えたから、半永久的とまではいかないがそうそうエネルギー不足になることはないだろう」
ミスターTを撃退したのち、三沢がまず取り組んだのは意外にもアカデミア生徒たちに危機を伝えることではなく、以前僕が貰った三沢謹製水妖式デュエルディスクの手直しだった。確かにやってくれるならそれに越したことはないけれど、それはちょっと悠長すぎやしませんかね。
そう聞いた僕に、なんてことはないといった風に軽く笑いながらこう返したのだ。
「そうは言うが、今この話を下手に広めてどうする?確かになまじ俺たちの代にはこれまでの不思議な経験があるから、この話も今更信じない奴はいないだろう。そしてそこから生まれる恐怖はパニックを生み、それはダークネスにとって格好の餌になる。なに、大丈夫だ。俺の計算によれば、奴らが次にこの世界に現れるまでまだ少しは時間がある。勝負に出るのはもう少し情報を絞り、戦う準備ができてからでいい」
確かに、その光景は容易に目に浮かぶ。何から何まで正論尽くしの三沢の言葉に渋々黙る僕の顔を見て、何がおかしいのかより一層笑みを大きくする。
「計算は俺がやっておくから、お前はもう少し今の時間を楽しんで来い。卒業デュエルのシーズンなんだろう?せっかくのイベントを邪魔する権利なんて、ダークネスだろうとありはしないさ。十代だって、何かあったらその時点で連絡してくるだろうしな」
口調こそ柔らかいが、要するに邪魔だから出てけということだろう。確かに、この世のあらゆる難しい話は専門外だと公言して憚らないような僕にこれから始まる三沢の膨大な計算の手伝いなんてできそうにない。
「それに、そのデュエルディスクもせっかく改造までしたんだ。戦闘データをいくらか確保しておきたいから、そのテストも頼む」
『適材適所、だな。マスター、駄々こねてないで大人しくした方がいいだろう』
追い打ちをかけるような頭脳派2人の言葉に畳みかけられ、半ば押し出されるように部屋の外に出る。よほど集中したいのか、扉をくぐった瞬間内側から鍵のかかる音がした。
「……じゃ、行こっか」
体よく締め出された感は否めないけど、ここにずっといてもどうにもならない。諦めて左の手首で輝く腕輪をひと撫でし、ふらりと曇り空の下に足を向けた。
「よし、勝った勝った。えっと、3点貰い……で、いいんだよね?」
「うぅ……」
「じゃーねー」
半ば憂さ晴らしのように倒された後輩君には申し訳ないが、もともとデュエルを挑んできたのは向こうの方だ。当たり前といえば当たり前なのだが、いまだこのアカデミアの誰もがすぐそこまで迫っている脅威には気づいていない。だからといって、それを責めることなどできるはずもない。そんなもの、普通は気づくはずもない。
むしろ、三沢から釘を刺されたとはいえこんなにのんびり卒業デュエルなんてやっていて、目の前の危機から目をそむけているのは僕の方なのかもしれない……なんて、柄でもない方に思考が飛んでしまった。
「やめだやめ。これで累計……えっと、93点か」
卒業までに必要な点数は、最低100点。最低2人、最高でもあと7人とデュエルすれば、晴れて僕にも卒業資格が手に入る。1度デュエルした相手とは点数に入らない以上、他に戦ってない相手は……なんて、そんなのもう決まってるじゃないか。2年生の彼女と、3年生の彼女。最低でもこの2人に勝ってこそ、僕も胸を張って卒業できるってものだ。考えながら歩いていたら無意識のうちに見慣れた場所、普段僕がいる1教室の前に着いていた。電気がついているということは、案の定彼女はこの中にいるのだろう。軽くノックしてから返事を待たずにドアを開けると、かすかにシナモンとバニラエッセンスの混じった甘い匂いが漂ってきた。
「やっほー、精が出るねえ」
「いらっしゃいま……自分の店放り出してどこで油売ってたんですか、先輩」
暖かく迎え入れられたかに思ったのもつかの間、冷たい視線と言葉が突き刺さる。別にそういう趣味があるわけじゃないけれど、そんな態度にどこかほっとしている自分もいた。ま、彼女の場合はこうでなくっちゃね。変にしおらしくなられると、そっちの方がよっぽど気持ち悪い。
「何かまた失礼なこと考えてません?」
「滅相もない」
「そうですか」
聞き分けのいい言葉とは裏腹に1ミリも信じていない視線に射抜かれ、適当に肩をすくめる。2年間も付き合ってきたのだからさすがにもう慣れたものだが、日頃からあの眼光に慣れていない気の弱い人ならあの眼で睨みつけられるだけでビビってあることないこと自分から白状してしまうだろう。
「まあいいです。それよりも、先輩には少し聞きたいことがあったんでした……今、時間空いてます?」
聞きようによってはなかなか過激な台詞を無自覚に吐きながら、エプロンの前ポケットに突っ込んであったらしいデュエルディスクをそっと取り出す葵ちゃん。こういう時だけ以心伝心なんだから、本当にいい後輩を持ったものだ。それとも彼女も僕もただの戦闘中毒者か、だ。
「先輩とこうしてデュエルするのは、私が入学した時以来ですね」
向かい合ったところでぽつりと言われて、ふと思い出す。確かに、彼女との出会いもこうしてデュエルが絡んでいた。僕が勝ったらこの店、YOU KNOWの看板娘兼助手になってもらう……とか、そんな感じだったっけか。それがまさかこの2年でここまではまり役になるとは、スカウトした僕にとっても予想外だったけど。
「あそこで負けたおかげで今の葵ちゃんがあるんだから、少しは感謝してもらいたいね」
「いいですよ」
「へっ?」
どうせまた憎まれ口でも叩かれるかと思っていたから、思わぬ素直な返事に完全に虚をつかれてしまった。思わず間抜けな声を上げて彼女の顔をまじまじと見返すと、してやったりといわんばかりの笑顔で迎えられる。
「先輩が勝ったら、ですが」
「……なるほど。じゃ、なおさら負けられないね。オーケイ、デュエルと洒落込もうか」
これは、発破をかけてくれたのだろうか。この大事な時に平常心を保てないだけならまだしも、それを悟られたあげく後輩に心配かけるとは、僕もまだまだだ。
でも実際、今の軽口のおかげで少しだけ気が晴れたのも事実だ。今必要なのは切り替え、後で必ず来る戦いの時に備えて心と体を静めておくことだ。
「「デュエル!」」
葵ちゃんが相手となれば、僕の手の内は割れていると考える方が自然だろう。となれば下手な小細工を狙うより、正攻法でストレートにこのデッキの持ち味を生かすのみだ。
「僕のターン。モンスターをセットして、ターンエンド」
「セットですか。リバースモンスターですか、あるいは……」
「さーてね。どう思う?」
「どちらにせよ、すぐにわかることですね。私もモンスターをセットし、カードを2枚伏せてターンエンドです」
近頃のデュエルにしては珍しく、互いにセットしたのみでターンが再び回ってくる。誘われているのか、単に様子見だけなのか……どちらも可能性としては十分あり得るだけに、余計に読みづらい。この緊張感のある読み合いは、他の後輩たちとの卒業デュエルとは一味違う。
清明 LP4000 手札:4
モンスター:1(セット)
魔法・罠:なし
葵 LP4000 手札:3
モンスター:1(セット)
魔法・罠:2(伏せ)
「僕のターン。来い、ツーヘッド・シャーク!」
ツーヘッド・シャーク 攻1200
ただまあ、彼女の意図がどちらにせよ結局最後には突撃するのだから読みもへったくれもないのだが。切り込み役としてこれまでもずっとお世話になってきた双頭のこの鮫は攻撃力こそ若干低いものの、葵ちゃんが得意とする忍者は守備力がそこまで高いわけでもない。1撃目の攻撃で破壊し、続く連続攻撃の効果でもう1撃当てる。うまくいけば儲けものだし、それだけの価値はある。
「バトル!」
「伏せモンスターは裏守備のまま、ですか。ならば、このカードでお相手しましょう。トラップ発動、鎖付きブーメラン!この忍具・鎖鎌は不用意に踏み込んできた敵の動きを封じ込め、表示形式を変更します」
「む……」
床から伸びてきた1本の鎖が、先端に付いた刃物をおもり代わりにぐるぐると回転しツーヘッドの体を絡め取る。ま、当然伏せカードが2枚もあれば止めてくるか。だけど表示形式の変更ということは、少なくとも戦闘破壊に失敗したツーヘッドが攻撃表示のまま突っ立った状態でターンを終える最悪の事態にはならずに済んだ。今はそれで良しとしよう。
ツーヘッド・シャーク 攻1200→守1600
「ターンエンド」
「いいんですか、先輩?そんなにのんびりしていて」
エンド宣言をした瞬間、背筋がぞくっと来た。あの眼は本気だ、獲物を見る目だ。間違いない、来る!
「私のターン、ドロー!セットモンスターを反転召喚、白い忍者!このモンスターのリバース効果により、先輩のセットモンスターを破壊します!白砂忍法ホワイト・ディフォーム!」
白装束に身を包む忍者が印を組むと、その足元から純白の砂が舞い上がる。風もないのに飛んできたそれがセットモンスターの上に雪のように降り注いだかと思うとみるみるうちに僕のカードが砂の中に埋まっていき、ほんの数秒のうちに完全にその姿が消えてしまった。僕のあのモンスターはグレイドル・アリゲーター、戦闘破壊や魔法破壊にこそ強いもののモンスター効果は何のトリガーにもできない。
「やってくれるね、葵ちゃん」
「やる?お言葉ですが、この程度でやってくれる、なんて評さないでいただきたいですね。やってくれる、というのは、こういうことを言うんですよ!永続トラップ発動、忍法 超変化の術!私の忍者と先輩の表側表示のモンスターを1体ずつ墓地に送り、そのレベル合計以下のレベルを持つドラゴン、恐竜、海竜族モンスター1体をデッキから特殊召喚します!ツーヘッド・シャークと白い忍者のレベルは共に4、よって私が呼び出すのはレベル8!」
「レベル8のドラゴン族、ってことは……!」
「ようやくお察しいただきましたか。お出でませ、葵流忍術最強のしもべ!銀河眼の光子竜!」
白い忍者を中心にストロボでも焚いたかのような光が走り、ほんの1瞬だけ部屋の中のあらゆるものから色が抜けて白黒の静止画となる。その中でひときわ輝いていたのが、巨大な1体のドラゴン。葵ちゃんの切り札、銀河眼の光子竜だ。
銀河眼の光子竜 攻3000
「まだ少し、打点が足りませんね?忍者義賊ゴエゴエを召喚します」
忍者義賊ゴエゴエ 攻1500
巨大なキセルを振り回し、大量の小判を覗かせる赤装束の忍者がさらに召喚される。これで僕のフィールドにはモンスターがいないにもかかわらず、葵ちゃんの場の総攻撃力は4500とこちらのライフを上回った。
「手札が4枚しかないのは少し不満ですが、まあいいでしょう。どうせオマケの効果ですし。まずはゴエゴエ、ダイレクトアタック!」
「くっ……!」
忍者義賊ゴエゴエ 攻1500→清明(直接攻撃)
清明 LP4000→2500
飛んできた小判が突き刺さり、確実にライフを削っていく。
「忍者義賊ゴエゴエが戦闘ダメージを与えた時に相手の手札が5枚以上であれば2枚のハンデスが行えましたが、そこだけは命拾いしましたね。ですがいくら手札を溜めこんでいても、それを使う機会がなければ完全に無意味!行きますよ銀河眼、破滅のフォトン・ストリーム!」
「ホント、いくらランダムとはいえハンデス持ちはなかなか危なかったよ。相手モンスターのダイレクトアタック宣言時に手札から、ゴーストリック・フロストの効果発動!攻撃モンスターを裏守備にして、さらに自身を裏守備で特殊召喚する!」
「む……一筋縄ではいきませんか」
全身に光をチャージし、今まさに放出しようとしていた銀河眼の前に、雪の壁が立ちはだかる。防寒具を着込んだ雪だるまにして稲石さん譲りのゴーストリックの一員が、今回も僕を守ってくれた。
銀河眼の光子竜 攻3000→???
「ダメージが通らなかったのは無念ですが、考えようによってはこれも感謝ですね。銀河眼が裏守備になったことで超変化の術との因果が途切れ、私もこのカードを自由に使えるようになりましたから。メイン2に魔法カード、機甲忍法ゴールド・コンバージョンを発動!私の場の忍法をすべて破壊し、デッキからカードを2枚ドローします」
内心では攻撃を防がれるのも織り込み済みだったのか、口では無念といいつつも大して痛手を受けた風もなくすぐさま次の手に移る葵ちゃん。引いたカード2枚がお気に召したらしく、わずかにその口角が上がる。
「永続魔法、隠密忍法帳を発動。このカードは1ターンに1度手札の忍者を捨てることで、デッキに眠る忍法1枚をフィールドにセットすることが可能となります。私はこのターン手札の機甲忍者エアーを捨て、デッキの忍法 分身の術を選択。これにてターンエンドです」
葵ちゃんの場に今度は巨大な巻物が現れ、結んであった紐が自動でしゅるしゅると解かれる。中には達筆でただ一言『分身の術』と書かれており、その4文字が巻物の表面から手品か何か……いや、本物の忍術のように浮き上がってフィールドに降り、1枚のカードとなってセットされる。仕事を終えた忍法帳はまたしても自動で紐が巻かれ、元の巨大な巻物に戻っていった。今はまだいいけれど、あれを長く放置しておくといろいろと面倒なことになりそうだ。
清明 LP2500 手札:4
モンスター:???(フロスト)
魔法・罠:なし
葵 LP4000 手札:2
モンスター:???(銀河眼)
忍者義賊ゴエゴエ(攻)
魔法・罠:隠密忍法帳
1(分身の術)
「僕のターン!」
氷帝メビウスでも引くことができれば完璧だったのだが、これはこれで悪くない。まずはあのセットされた銀河眼、奴から退場してもらおう。
「覚悟はいいね葵ちゃん?その裏守備の銀河眼をリリースして、僕の手札からそっちのフィールドに粘糸壊獣クモグスを特殊召喚させてもらうよ」
「私の銀河眼が……先輩、性格悪いってよく言われません?言われてないなら私が言ってあげますよ?」
「褒めてんでしょそれ?さらにグレイドル・イーグルを召喚してフィールド魔法、KYOUTOUウォーターフロントを発動!」
粘糸壊獣クモグス 攻2400
グレイドル・イーグル 攻1500
「そのモンスターを出してからウォーターフロント、ですか」
「何が伏せてあるかはわかってるからね、一応の保険みたいなものさ。さて、反撃開始!イーグルで忍者義賊ゴエゴエに……」
「止められませんし百も承知でしょうが、せめて嫌がらせぐらいはしておきましょうかね。永続トラップ発動、忍法 分身の術!私の場の忍者をリリースすることでそのレベル以下のレベルになるよう、デッキの忍者を任意の数だけ表側攻撃表示および裏側守備表示で特殊召喚します。私が呼び出すのは守備力1800、成金忍者!」
ゴエゴエがひらりと飛び上がり、足元に煙玉を叩きつけて煙幕を張る。煙の中で一体いかなる入れ替わりが行われたのか、富士山をかたどった派手な装束に黄金の小手を装着した小太りの新たな忍者が着地してすぐにかき消えた。
その成金忍者は、守備力1800。となるとイーグルで戦闘破壊できず、かといって守備表示なため自爆特攻することすらできない。僕にとって1番嫌なステータスのモンスターをピンポイントで呼び出すあたり、さすが葵ちゃんというべきか。攻撃せずに放置しておくのも1つの手ではあるが、すでにゴエゴエがリリースされ場から墓地に送られたことで自動的に壊獣カウンターがウォーターフロントに1つ乗せられている。
「だったらダメージは痛いけどリターンの方が大きい、か。イーグル、そのままクモグスに攻撃!」
グレイドル・イーグル 攻1500(破壊)→粘糸壊獣クモグス 攻2400
清明 LP2500→1600
KYOUTOUウォーターフロント(0)→(1)→(2)
墓地に2枚目のカードが送られたことで、灯台に2つ目のライトがともされる。そして破壊されたイーグルが、銀色の液体となって大蜘蛛の足元へと忍び寄る。
「戦闘破壊されたイーグルの効果で、クモグスに自身を寄生。これによりクモグスのコントロールはこっちに写って、そのまま成金忍者に攻撃!」
「まあ、攻撃するならそこまでしますよね。成金忍者は守備表示、私へのダメージは0です。分身の術はこれで、無意味にフィールドに残り続けます」
粘糸壊獣クモグス 攻2400→??? 守1800(破壊)
KYOUTOUウォーターフロント(2)→(3)
これで、やれることは全部やっておいた。そして、多少のダメージ覚悟のうえでイーグルに突っ込ませたおかげで、この効果をこのターン中に発動できる。
「メイン2にウォーターフロントのさらなる効果を発動。壊獣カウンターが3つ以上貯まっていることで、デッキから壊獣を1体サーチできる。来い、ドゴラン!」
3本に増えた灯台の光に導かれ、新たな壊獣がデッキから手札に加わる。これでよし、と。
「これでターンエンド」
「では、私のターン。先輩が私のモンスターを利用してくるのであれば、私も同じことをしてやりましょう。このターンの隠密忍法帳の効果により、ルール上忍者として扱う黄昏の中忍-ニチリンを捨て、2枚目の超変化の術をセットします」
「また超変化……」
「お互い様です」
再び巻物が自動で開かれると、その中には先ほどと同じように達筆で『超変化の術』という5文字が黒々と書かれていた。そして再びその文字が巻物から離れ、1枚のカードとなってフィールドに置かれる。
「さて。これで次のターンはいいとして、このターンは何をしておきましょうかね。魔法カード、増援を発動。レベル4の戦士族、忍者マスターHANZOをサーチしてそのまま召喚。召喚に成功したHANZOは、デッキから忍法1枚を手札に加えることができますが……」
「これ以上サーチは通せないね。クモグスの特殊効果、縛鎖!壊獣カウンター2つをコストにして召喚または特殊召喚されたモンスターの効果をそのターンの間だけ無効、さらに攻撃も封じる!」
忍者マスターHANZO 攻1800
KYOUTOUウォーターフロント(3)→(1)
縦横無尽に白い糸が走り、灰色の装束を着た忍者の全身を締め上げる。印も結べず武器も振るえず、打つ手のなくなったHANZOが全身に力を入れて強引に引きちぎろうとするも、その瞬間に隙ができたことには変わりない。
「まあ、そうしますよねえ。カードをセットして、ターンエンドです」
エンド宣言と共に、HANZOが縛鎖から脱出する。これで再びあのモンスターは自由に動けるようになったが、すでにその効果を発動するタイミングは逃している。
清明 LP1600 手札:3
モンスター:???(フロスト)
粘糸壊獣クモグス(攻・イーグル)
魔法・罠:グレイドル・イーグル(クモグス)
場:KYOUTOUウォーターフロント(1)
葵 LP4000 手札:0
モンスター:忍者マスターHANZO(攻)
魔法・罠:隠密忍法帳
忍法 分身の術
2(伏せ)
「僕のターン……」
「メインまで待つとHANZOが飛ばされますからね。このスタンバイフェズに永続トラップ発動、忍法 超変化の術!私の場のHANZOはレベル4、そして先輩のクモグスはレベル7。この2体を墓地に送ることでレベル7のドラゴン族、白竜の忍者を特殊召喚します!」
灰色の忍者が腰に差していた忍者刀を抜き、クモグスの足元めがけ投げつける。一文字に飛来したそれが大蜘蛛の本体ではなくその影に突き刺さった瞬間、クモグスの巨体が金縛りにでもあったかのように触角1本動かなくなる。先ほど縛られた礼だとばかりに動けなくなったクモグスにHANZOが悠々と近づいていき、その体に触れた瞬間夢か幻のように2体のモンスターの姿が揺らめき煙となって薄れて消えていった。どこへともなく流れていくその煙はやがて渦を巻き、渦の中心から明るい茶髪をなびかせて純白の装束に身を包むくの一が足音ひとつ立てず葵ちゃんの前に片膝をついて着地した。
白竜の忍者 攻2700
KYOUTOUウォーターフロント(1)→(3)
「最上級モンスターは立派だけど、僕の手札にドゴランがいるってことを忘れてない?せっかく満を持して出てきてもらったところ悪いけど、そのモンスターもリリースさせてもらうよ」
「お待ちを、先輩。まだスタンバイフェイズは終了していませんよ?白龍の忍者を特殊召喚したところでもう1枚の永続トラップ、2枚目の分身の術を発動!」
「しまった!」
「先ほどお見せした、ゴエゴエを成金忍者に入れ替えるような小技ではありません。正真正銘文字通り、真の分身をお目にかけてみせましょう!リリースするのは白竜の忍者レベル7、よって呼び出せる忍者のレベル合計もまた7!」
白龍の忍者が立ち上がって印を組むと、その体から竜の形をしたオーラが立ち上る。上空へと駆け上がっていった竜が頭上で4つに分裂し、フィールド上の4カ所にその頭から猛然と落下する。激しい光の爆発が4つ立て続けに起き、光が収まった後その場所にはそれぞれ別の忍者が立っていた。
「忍者マスターHANZO……」
「その通り、2体目です。そしてレベル1の青い忍者2体と赤い忍者1体、これはセット状態で特殊召喚させていただきましょう。また特殊召喚に成功したHANZOの効果により、デッキから……では、機甲忍者アースを手札に加えます」
KYOUTOUウォーターフロント(3)→(4)
『渋い忍者を呼ばない辺り、さすがにマスターの戦い方を熟知しているな。遊び半分挑発半分の、なにかと中途半端なミスターTのメタ張りとは大違いだ』
「……どゆこと?」
葵ちゃんの展開を見て、チャクチャルさんが一言感心したように唸る。なぜここで渋い忍者の名前が出てくるのかわからず困惑する僕に、これ見よがしに大きなため息とともに補足が入る。
『まだわからないのか、マスター。分身の術でレベル6の渋い忍者を裏守備で呼び出せば、そのリバース効果でさらに墓地の忍者を蘇生することもできた。だがそうしなかったのは、マスターが壊獣使いだからだ。リリースされるなどの要因でそのリバース効果を使えずともさほど痛手ではないレベル1と、特殊召喚された時点ですでに仕事を終えているHANZO。見事にリリースするほどのうまみの無いモンスターのみを選んで呼び出している』
「なるほど……」
『この程度なら自分で気が付いて欲しいものだがな』
ついさっきは僕のことを性格悪いだなんだ言ってくれたけど、彼女も彼女で大概だと思う。とはいえ、まだ手がないわけではない。ダブル忍法を駆使しての大量展開はなかなか見事だったけれど、今の作戦にはひとつ大きな欠点があったからだ。
「ありがとう、って言わせてもらうよ葵ちゃん。おかげでKYOUTOUウォーターフロントには、またこれだけたくさんのカウンターが貯まった!このターンのウォーターフロントの効果ではデッキから壊星壊獣ジズキエルをサーチして、このジズキエルをHANZOをリリースして葵ちゃんの場に特殊召喚。さらに相手フィールドの壊獣に反応して、手札のドゴランを特殊召喚する」
「これは……」
壊星壊獣ジズキエル 攻3300
怒炎壊獣ドゴラン 攻3000
足の無い体に両腕の付いた全身兵器の金属の大蛇と、体の奥から無限に溢れ出るエネルギーを炎として纏う壊獣王。2体が対峙したのち、おもむろにドゴランの炎の勢いが跳ね上がった。1瞬顔をのけぞらせて息を吸い、地面に踏ん張って火炎放射をぶちかます。
「ドゴランの効果発動、覆滅!壊獣カウンター3つをコストにして、ドゴランの放つ怒りの炎が相手フィールドのモンスター全てを薙ぎ払う!」
ジズキエルが、そしてセットされた3体の忍者が、まとめて消し飛んでいく。やがてその炎の勢いも弱まっていき、火炎放射に全力を使い果たしたドゴランが肩で息をつきながらその場に崩れこんだ。
KYOUTOUウォーターフロント(4)→(1)→(5)
「ドゴランは効果を使ったターン、自分から攻撃することはできない……だけど、他のモンスターなら攻撃ができる!魔法カード、サルベージを発動!墓地の攻撃力1500以下の水属性モンスター2体、ツーヘッド・シャークとグレイドル・イーグルを回収して、ツーヘッドをそのまま通常召喚。そしてツーヘッドは召喚時、フィールドのレベル4魚族のレベルを1つ下げることができる。さっきはこの効果を使わなかったせいで痛い目にあったからね、今度は忘れずに使わせてもらうよ」
ツーヘッド・シャーク 攻1200 ☆4→3
「ここでそのカードですか……これは、思ったより痛いですね」
「さらにさらに、こっちも忘れないで貰いたいね。ゴーストリック・フロストを反転召喚して、この子も攻撃に参加してもらうよ」
このデュエルの最序盤に銀河眼の攻撃を防いでもらって以降、ずっとセット状態のままで放置していたフロストを反転召喚する。これまで散々ダメージを受けてきたんだ、今こそ反撃の時。
???→ゴーストリック・フロスト 攻800
「バトル、ゴーストリック・フロストとツーヘッド・シャークでのダイレクトアタック。さらにツーヘッドは自身の効果により、1ターンに2回攻撃ができる!」
「致し方ありませんね……全部受けましょう」
ゴーストリック・フロスト 攻800→葵(直接攻撃)
葵 LP4000→3200
ツーヘッド・シャーク 攻1200→葵(直接攻撃)
葵 LP3200→2000
ツーヘッド・シャーク 攻1200→葵(直接攻撃)
葵 LP2000→800
あと1体何かアタッカーが居さえすれば……なんて、仮定の話をしても仕方ない。ドゴランは、先頭前の露払いという大事な仕事をよくやってくれた。
「メイン2にゴーストリック・フロストの効果を発動。自身を裏守備にして、カードを伏せてターンエンド」
ゴーストリック・フロスト 攻800→???
「先輩、今の攻撃はなかなかでした」
「なんでそんな上からなの?」
葵ちゃんと話してると、どうも向こうのペースに飲み込まれる。ちなみに以前聞いたところによると、彼女も彼女で僕と話すときは同じことを感じながら喋っているらしい。
「ですがまだ、私も負けたわけではありません!私のターン、ドロー!」
これで葵ちゃんの手札は、さっきサーチしてたアースも合わせて2枚。
「……仕方ありませんね、隠密忍法帳の効果!手札のアースを捨ててデッキから機甲忍法ゴールド・コンバージョンをセットし、そのまま発動します。隠密忍法帳、分身の術、超変化の術をすべて破壊することで2枚ドローです」
三度巻物が開くと、案の定そこに書いてあったなぜか平仮名表記の『ごぉるど・こんばぁじょん』の文字が躍る。役目を終えた3枚の忍法がまとめて破壊され、葵ちゃんの手札として生まれ変わった。
「ふむ、少しはマシになりましたね。魔法カード、ワン・フォー・ワンです。手札からモンスターカード1枚を墓地に送り、デッキからレベル1モンスターの銀河眼の雲篭を特殊召喚します」
銀河眼の雲篭 攻300
「このモンスターは自身をリリースすることで、墓地のこのモンスターを蘇生できます。再び蘇りなさい、葵流忍術最強のしもべ!銀河眼の光子竜、ここに在り!」
やはり、と言うべきか。心のどこかで、彼女なら絶対再び自らのエースを出してくると思っていた。1度や2度リリースしたぐらいでは、その闘志は折れやしない。それほど葵・クラディーと銀河眼の光子竜は、強い絆と信頼で結ばれている。
そしてそう来なくっちゃ、こっちとしても面白くないね。
銀河眼の光子竜 攻3000
「随分余裕そうですね、先輩?何か仕掛けがあるんでしょうが、だとしても正面から突破させていただきます!ツーヘッド・シャークに攻撃、破滅のフォトン・ストリーム!」
「トラップ発動、ポセイドン・ウェーブ!その攻撃を無効にして、さらに僕の場に魚族モンスターが1体いることで800のダメージを……」
「銀河眼の光子竜の効果発動、銀河忍法コズミック・ワープ!銀河眼と戦闘モンスターをバトルフェイズ終了時まで除外することで、対象を失ったそのトラップは不発になりますよ」
光のブレスを大波が水の壁となって弾こうとした瞬間、ブレスごと銀河眼の姿がサッと消える。水が引き、こちらの反撃を完全に透かしたところで再びその巨体が光と共にやってきた。
「惜しかったですね、もし私が選んだカードがこの銀河眼でなければ……まあ、言っても詮無いことですが」
「タラレバは言うだけみっともないしねー。それに僕としては、攻撃そのものを止められただけで割と満足だよ」
「ドゴラン、ですか。果たしてそううまくいきますかね?カードを1枚セットして、ターンエンドです」
僕にとってポセイドン・ウェーブが最後の守りだったのと同じように、葵ちゃんにとってもあの伏せカードが最後の頼みなんだろう。ならここはひとつ、先輩としてバシッと決めてあげないとね。
清明 LP1600 手札:1
モンスター:???(フロスト)
怒炎壊獣ドゴラン(攻)
ツーヘッド・シャーク(攻)
魔法・罠:なし
場:KYOUTOUウォーターフロント(5)
葵 LP800 手札:0
モンスター:銀河眼の光子竜(攻)
魔法・罠:1(伏せ)
「僕のターン。ウォーターフロントで多次元壊獣ラディアンを持ってきて、銀河眼の光子竜をリリースして特殊召喚。このまま攻撃してもいいけど……まずドゴランの効果発動、覆滅!消し飛べ!」
多次元壊獣ラディアン 攻2800
息を整えたドゴランが再び炎を活性化させ、破壊の爆炎がフィールドをひと舐めする。
「あれ?意外とあっさり?」
「無論トラップ発動、リビングデッドの呼び声!たとえ刀折れ矢尽きようと、私に戦う意志ある限り!銀河眼の光子竜は、何度でも蘇ります!」
なるほど。破壊を防ぐのではなく、破壊即蘇生か。ドゴランはこのターン攻撃できない、だから攻撃できないだろうと言いたいのだろう。
銀河眼の光子竜 攻3000
だけど葵ちゃんには、1つ見落としていることがある。一体葵ちゃんと銀河眼の光子竜の間に過去に何があったのか、どんな歴史がその信頼の間に刻まれているのか、それは僕にはわからない。だけど、それを言うなら僕だって同じだ。ずっとずっと、最高の相棒が。葵ちゃんの象徴が銀河眼であるのと同じように、僕にもずっと戦ってきた切り札が、この手の中にはすでにいる。
「ドゴラン1体をリリースして、アドバンス召喚!さあ行くよ、霧の王!」
再び全力の1発を放ち動けなくなったドゴランを霧の渦が足元から包み込み、その全身を濃密な白の中に隠していく。必然的に巨大になった渦はそのまま中のドゴランの質量を無視したかのようにみるみる圧縮されて人型サイズにまで縮み、その流れを断ち切るようにして1人の全身鎧を着こんだ魔法剣士が中央からドゴランと入れ替わりに登場する。
「それ、引きましたか……」
さすがの葵ちゃんもこれ以上の回避手段はなく、若干その表情がこわばる。刀折れ矢尽きようと、何度でも蘇る……なるほど、その言葉に嘘はないだろう。だがそれも、葵ちゃん本人に戦う力が残されている限りのことだ。
「霧の王の攻撃力は、リリースしたモンスターの元々の数値の合計。今回は1体だけだから、ドゴランの攻撃力が丸々コピーされて3000!」
霧の王 攻3000
「じゃあ葵ちゃん、これで終わらせるよ!バトル、霧の王で攻撃!」
「先輩、ゴーストリック・フロストもツーヘッド・シャークもいるのにあえてリリースを1体にして銀河眼と攻撃力を並べてきたのが最高に厭らしいですね。そんなの、銀河忍法で逃げの一手なんて私のプライドが許しません。その挑戦、正面切って受け止めるしかないじゃないですか!銀河眼の光子竜、破滅のフォトン・ストリームです!」
霧の魔法剣と、目も眩むような光子のブレス。1瞬の交差の後、その剣が深々とドラゴンの胸を切り裂き、光が霧の王の鎧を貫通して腹の部分に風穴を開けた。
霧の王 攻3000(破壊)→銀河眼の光子竜 攻3000(破壊)
「くっ……!」
「今だ、ツーヘッド・シャーク!」
双頭の鮫の牙が空を裂き、とどめの一撃を与える。これで、終わりだ。
ツーヘッド・シャーク 攻1200→葵(直接攻撃)
葵 LP800→0
「……結局、先輩には最後まで勝てませんでしたか」
ソリッドビジョンが消えていく中、葵ちゃんがぽつりとつぶやく声が耳に入った。その声がかすかに震えているように思えたのは、僕の気のせいではないだろう。こういう時に何か気の利いた言葉のひとつでもかけてやれるのが、いい先輩ってもんなんだろうけど……あいにく、僕はそんな柄じゃない。でも、こんな状態の葵ちゃんは僕も初めて見る。せめてできるのは、それなりに美味しいであろう紅茶の1杯でも淹れることぐらいだ。親父には敵わずとも、商売人として一通りのコツは僕も抑えている。
黙って立ったまま悔しさと泣きたいであろう気持ちをかみ殺す葵ちゃんを椅子に座らせ、沸騰させない程度にお湯を沸かす。時械神の炎を出せるようになったおかげで、この辺の手順はだいぶ楽になった。本来は茶葉から淹れるのが正しいスタイルなんだろうけど、個人的には最近のKC印のティーパックがかなり性能が良いのでそれで十分。こっちの方が楽だし、デュエルアカデミアは海馬コーポレーションのお膝元だから若干余所より安く買える。葵ちゃんは砂糖とかは入れないストレート派だったっけか、と思いながら3日前に焼いたばっかりのシナモン入りクッキー(売り物)の封を適当に開ける。あとでこれ一袋分は給料から天引き……は、可哀そうだから勘弁してあげよう。餞別代りの僕からの奢りだ。
「ほい、どうぞ」
「いただきます」
小声とともに、一礼してカップに口をつける。ちゃんと返事ができるあたり、こちらで作業している間に多少は気分も晴れてきたようだ。向かいの席に座り、葵ちゃんの整った顔立ちを見ながらクッキーをつまみ、僕の分もついでに用意した紅茶を飲みつつのんびりと飲み終わるのを待つ。
「ごちそうさまでした。先輩、これは1つ貸しにしておいてください……それと」
1杯ひっかけてだいぶ復活したようで再び声にも張りが出て、目にも光が戻ってきた。テーブルにバンと手を付いて勢いよく立ち上がり、強気な笑みを浮かべる。
「来年、私が卒業するまで首を洗って待っていてください。葵流に不可能の文字はありません、次こそはリベンジしてみせます」
「ふーん……いいねいいね、その意気やよし。なんべんだって返り討ちって洒落込んだげるから、いつでもかかっておいで」
「約束ですよ?」
「二言はないよ」
葵ちゃんの笑みに応えるようにこちらもニヤリと笑い、手元のカップを持ち上げる。葵ちゃんも何がしたいのか気がつくとすぐに自分のカップを持ち上げ、2人でそれをテーブルの中央で軽く合わせる。中身のないカップ特有のカチンと硬質な音がして、その音が奇妙に大きく店内に響いた。
約束、か。ならそれを守るためにも、ダークネスには負けてられないね。
後書き
出来る限りヒロインらしく、でも決してヒロインではなく。
ガルドニクス型、黄昏カオス型と様々な型の忍者を使ってきた彼女。今回はどうするか迷いましたが、結局最後はシンプルな銀河眼入り忍者という彼女の原点に立ち返るようなデッキに落ち着きました。
思えば葵・クラディーというキャラクターは……いえ、まだ少し気が早いですね。この話はまた本編が終わった後にでもつらつらと後語りとして書いていこうかとぼんやり思っていますので、もし本当に書くときはまた、そちらの方でお付き合い下さい。
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