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ドリトル先生と春の花達

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第十二幕その五

「こうしたお花見の時はやっぱり」
「日本酒だよね」
「桜には」
「うん、このお酒が一番合うよ」
「不思議な位合いますね」
「日本のお花だからね」
 桜はというのです。
「何といっても」
「だからですね、ただ」
「ただ?」
「原産地は違いますよね」 
 トミーは桜のそのことについてもお話しました。
「そうですよね」
「うん、原産地はヒマラヤだよ」
「やっぱりそうですね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「日本に入ってね」
 それでというのです。
「日本のお花になったんだよ」
「そうですよね」
「こうしたことはよくあるね」
「そうですね、どの国も」
「日本はそうしたことが多いけれどね」
 他のお国以上にです。
「どうにも」
「それはお国柄でしょうか」
「何でも受け入れてね」
「日本のものにアレンジしてですね」
「完全に日本のものにしていくんだ」
「イギリスのものもそうですし」
「そうなんだよね、紅茶も」
 先生が毎日飲んでいるこのお茶もというのです。
「すっかり日本のものになっているね」
「アレンジされていなくても」
「そうなったね、しかも」
「日本の紅茶の方が美味しいですね」
「びっくりしたよ、最初飲んだ時はね」
 先生は微笑んで王子にお話しました。
「こんなに美味しいのかって」
「本格的で」
「お水もよくてね」
「お水はどうしようもないですからね」
「その場のお水があってね」
 そしてというのです。
「変えられないから」
「葉以上に」
「その葉もね」
 紅茶の葉もというのです。
「日本の紅茶はいいんだよ」
「だからですね」
「イギリスの紅茶を越えたよ」
「特に葉がよくて」
「そう、完全に日本のものにしたよ」
 その通りだというのです。
「紅茶にしてもね」
「イギリスの他のことも」
「そして桜もなんだよ」
 このお花もというのです。
「日本のものになったんだよ」
「そういうことですね」
「そもそもお米もね」
 日本酒の原料であるこのお酒もというのです。
「最初は日本になかったしね」
「弥生時代に入ったんですね」
「そして日本のものになったんだ」
「日本酒もですね」
「そうだよ、お米のない日本は考えられないけれど」
 それでもというのです。
「元は日本になかったんだよ」
「そして日本に入って」
「こうして日本酒にもなったんだ」
「桜も然りで」
「そうだよ、いやこうしてね」
 お酒をどんどん飲みつつお話する先生でした。 
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