提督はBarにいる。
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変わり揚げでマンネリ脱出?・その2
さて、お次もシーフード……というか魚のフライと行こう。割と定番に近いが、一風変わった『鮭のフライ』をご紹介。
《マヨネーズ不使用!?アボカドタルタルで食べるサーモンフライ》※分量2人前
・サーモン(刺し身用):1サク(160g)
・塩、胡椒:少々
・小麦粉:適量
・卵:1個
・パン粉:適量
(アボカドタルタルソース)
・アボカド:1/2個
・玉ねぎ:1/4個
・塩:小さじ1/3
・ブラックペッパー:少々
・レモン汁:小さじ1
・粉チーズ:大さじ1
・にんにく(すりおろし):小さじ1/2
さて、作っていこう。このレシピのポイントは2つ。フライする魚に刺身用のサーモンを使っている所と、マヨネーズを使わずに作るタルタルソース……まぁどちらかといえばワカモレソースに近い物なんだが。まずはタルタルソースの方から作っていこう。
アボカドは皮と種を取り除き、フォーク等を使って細かく潰し、そこに塩、黒胡椒、刻んだ玉ねぎ、レモン汁、粉チーズ、すりおろしたにんにくをくわえてよく混ぜる。その際、よく練った方がアボカドがペースト状になって『それらしく』なるぞ。
お次はサーモンをフライにしていくぞ。刺身用のサーモンに塩、胡椒で下味を付け、少し馴染ませたら小麦粉、卵、パン粉で衣を付けて180℃に熱した油でサッと揚げる。揚げ時間は約1分。これが刺身用のサーモンを使った理由だ。刺身用だからこそ、生でも食える。つまりは揚げ時間の短縮にもなるし、生焼けで腹を壊す心配もない。何より、揚げ時間はわざと短くしてあるのさ。
何度も言っているが、今回使ったサーモンは刺身用。言い換えれば生でも食べられるサーモンだ。そいつにサッと火を通す事で、鰹のタタキのように火の通った部分と生の部分の両方が楽しめるって寸法さ。なので衣が軽く色付いたらそれでいい。
後は油を切って、食べやすい大きさに切り、野菜を添えてアボカドタルタルソースを乗せれば完成だ。
「へいお待ち、『サーモンフライ~特製グリーンタルタルソースを添えて~』だ」
天龍は皿を受け取るが、凝視したまま手を付けようとしない。
「どした?喰わねぇのか」
「……なぁ親父、これ本当に食って大丈夫なんだよな?」
「あん?」
「いや、たま~によ?とんでもねぇイタズラ仕掛けたりすっから……もしかしてワサビ大量のタルタルソースなんじゃないかと」
「アホか!俺がそんな真似するわけ……無いとは言い切れねぇな」
過去の事例から思い返せば、返す言葉がない。
「だろ!?だからガラにもなくビビっちまってよ」
「なら、こうすりゃ安心だろ?」
俺はカウンターの向こうから手を伸ばし、適当な大きさに切られたフライを1切れ摘まんで口に放り込む。サクサクの衣を噛み砕けば、途端に広がるのはサーモンの脂の旨味とアボカドのクリーミーさ、そこにタルタルソースの具として入れられた玉ねぎの辛味とレモンの酸味がアクセントになり、絶妙なコンビネーションを魅せる。
「うん、美味い」
俺が普通に食べているのに安心したのか、天龍も普通に箸を伸ばす。
「おっ、マジで美味い!これならビールってよりスパークリングワインとか、そっちでもイケそうだな!」
気に入ってもらえたようで何より。ならもう一丁、魚のフライを出すとしますかね。
《和風サルサで食べよう!鰹のチーズ挟みフライ》※分量2人前
・鰹(刺身用):1サク
・スライスチーズ:3枚くらい
・小麦粉:適量
・卵:1個
・パン粉:適量
(和風サルサソース)
・トマト:1/2個
・玉ねぎ:1/4個
・生姜:1片
・ポン酢:大さじ1
・オリーブオイル:大さじ1
さて、作っていこう。今回使う鰹も刺身用の物だ。……まぁ、鰹の身なんてタタキ用か刺身用、もしくは鰹節の状態でしかほとんど見ないけどな。先に他の物を下準備してしまおう。
スライスチーズは正方形になるように4等分し、トマトは1cm角にカット。玉ねぎはみじん切りにして、生姜はすりおろしておく。
鰹の身を2cmの厚みにカットして、厚みの半分の所に切れ込みを入れる。そこにスライスチーズを挟み、小麦粉、卵、パン粉で衣を付ける。
揚げる前に和風サルサソースを仕上げるぞ。ポン酢、オリーブオイル、刻んだトマトと玉ねぎ、すりおろした生姜を加えてよく混ぜる。この時、トマトを軽く潰すように混ぜるとよく馴染んで美味しくなるぞ。普通のサルサソースならポン酢じゃなくてバルサミコやワインビネガーを使い、唐辛子なんかも入ってくるんだろうが、今回は辛さ控え目の和風サルサだ。辛さよりも旨味重視で、魚のフライにも合うがサッと茹でた牛の薄切りにかけたり、茹でたシーフードの入ったサラダ、冷奴なんかにも合うぞ。割と万能ソースなので試してみて欲しい。
フライパンに油を深さ3cm程になるまで入れて、170℃まで熱する。油が十分に温まったら衣を付けた鰹を油に入れ、揚げ焼きにしていく。揚げ具合は衣が狐色になればOKだ。油から上げても余熱で火が入るし、何よりさっきのサーモンフライ同様刺身用の鰹だからな。生でも問題ない。
しっかりと油が切れたら、千切りキャベツやカットレモンを添え、和風サルサを器に入れて添えれば完成。
「ほいさ、もう一丁魚のフライだ。『鰹のチーズ挟みフライ』だ。添えてあるサルサソースで召し上がれ」
今度は疑う様子もなく、天龍はガブリとフライに噛みついた。フライの中程まで歯を入れると、そこからムニュ~っと引っ張ってわざとチーズを引き延ばす。そしてそれを舌で絡め取っていく。
「……行儀悪いぞ?お前」
「別にいいだろ~?折角のとろけるチーズなんだから、これやらなくっちゃ勿体無いぜ」
なんつうか、こういう所が天龍のガキっぽい所というか、憎めない所というか……。
「それよりさぁ、親父」
「何だよ、改まって」
「龍田ってさ……恐いよな」
唐突にポツリと、そう呟く天龍。その顔は若干ではあるが、青褪めているようにも見える。
「実の姉だから言うけどよ、なんつーか……こう何を考えてるか解んねぇ時があるんだよな、たまに」
「そうかぁ?」
「そうだよ!それに、怒るとスゲー怖いし」
「サドっぽい所とかか?」
「そう!なんかこう敵とか親父にも容赦ねぇ時があるじゃんか」
「天龍、そりゃ考えすぎだ。少なくとも、龍田のドSキャラは演技だと思うぞ?」
「えぇ~?まっさかぁ……」
「だってこの間な……」
~これより回想シーン~
龍田「提督、おはようございます~」
提督「へいへい、おはようさん」
暁「うにゅ……おはようございましゅお母さん」←寝起き
龍田「あら~?あらあらあら~?私暁ちゃん位の娘がいるくらいのオバサンじゃないわよ~?」
提督「別に良いじゃねぇか、最近若く見える女なんざゴマンといるしな。なっ、お母さん?」ニヤニヤ
龍田「ちょっと提督~?怒りますよ~?」
神風「そうね、龍田さんは優しいし面倒見がいいから、とってもいいお母さんだと思うわ」
龍田「か、神風ちゃん!?」
電「い、電もそう思うのです!」
龍田「電ちゃんまで!?」
そこからあれよあれよと駆逐艦が集まって来てなぁ。龍田を囲んでお母さんコールの大合唱よ。そしたら龍田の奴、赤くなってプルプルし始めてなぁ。
『か、勘弁してくだひゃいぃ~』
って甘噛みしながら逃げてったんだよ。
~回想終了~
「天龍、どう思う?」
「……なんだよその可愛い龍田!俺は見た事ねぇぞ!?」
「恐らくだが、お前の前だと恥ずかしくて出せないんだろ?自分の素が」
「なんか、それも寂しいなぁ……」
少し悲しそうに呟いて、ビールを煽る天龍。そこでドアベルがカランカランと音を立てた。
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