歌集「冬寂月」
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九
冬風に
生くるよすがも
なかりける
枯れたる花は
朽ちて還らじ
冬の凍てつく風は、生きるに何の助けにもならない…。
歳をとり…寂しさに振り返れど、そこには何もなく…。
花は枯れれば枯れたままに…私もまた老いてゆき、虚しく消え逝くのだろう…。
一体…私が消えた後には、何が残るだろうか…。
思ひ侘び
仰ぎし星の
ため息に
こゝろ痛みて
小夜そ眺むる
寂しさに想わずにはいられず…振り切るように星空を見上げれば、星々の瞬きがまるでため息をついているようで…。
そう簡単に忘れることが出来るのならば…こんなに胸が痛むこともあるまい…。
夜更けの風景は…眺めれば眺めるほどに寂しさを募らせ…私もため息をついた…。
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