美味い水
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第二章
それでだ、草魚は水道局の人達に難しい顔で言った。
「浄水器しかないか」
「それをそれぞれの家の蛇口につけてもらってですか」
「それで飲んでもらいますか」
「そうしますか」
「それしかないかのう」
難しい顔で言う草魚だった。
「やはり」
「少しお金がかかりますね」
「ですがこれしかないですか」
「水道水にカルキは欠かせないですから」
「これはどうしてもですから」
「そうじゃな」
知恵はない様に思われた、だが。
ここでだ、草魚は自分達が今いる部屋の温度についてこう言った。
「少し暑くないかのう」
「あっ、暖房きかせ過ぎですね」
「ちょっと温度下げますね」
「頼む、まあヒーターはな」
水道局の人がリモコンで温度設定を下げるのを見て言うのだった。
「そうした調整が楽じゃな」
「これがストーブだったら難しいんですよね」
「ついつい暑くなり過ぎますよね」
「特に昔ながらのダルマストーブだと」
「石炭なんかを燃やすから」
「そうじゃな、まあ今時石炭は日本では使わんな」
時代が変わったと言う草魚だった、だが。
ここでだ、石炭のことを言って彼はすぐに閃いた顔になった。そのうえで水道局の人達にその顔で言った。
「方法があったぞ」
「方法?」
「方法といいますと」
「水を美味く飲む方法じゃ」
まさにそれがというのだ。
「あったぞ」
「といいますと」
「どうされるんですか、一体」
「それで」
「炭を入れるのじゃ」
水道水の中にというのだ。
「そうすればよいのじゃ、木の炭をな」
「ああ、それですか」
「炭もカルキ分解しますしね」
「じゃあカルキで消毒して」
「その後で炭のところに入れて」
水道局の人達も草魚の言うことを理解して頷いた。
「そうすればいいですね」
「確かに。それならですよ」
「いけます」
「じゃあそうしていきましょう」
「これで大阪の水道水が美味しくなります」
カルキの匂いや味が消えてだ。
「しかも消毒されたままですし」
「いいアイディアです」
「それじゃあそれで」
水道局の人達も乗ってそうしてだった。
すぐに水道水の中に炭も入れられる様になった、するとだった。
水道水の味は格段によくなった、しかも消毒されたままでそちらも合格だった。それで老人達は草魚に笑顔で言った。
「いや、今はですよ」
「水道水をそのまま飲める様になりました」
「夏でも普通にです」
「水道水をそのまま飲める様になりました」
「これも草魚さんのお陰です」
「本当に有り難うございます」
「いやいや、これはな」
草魚は人間の姿で彼等に笑顔で応えた。
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