ドリトル先生と春の花達
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第十一幕その十一
「あるにはあっても」
「それでもね」
「日本では羊あまり食べないね」
「日本人牛肉もお刺身にするけれど」
「馬刺しもあって」
「けれど羊だとしないわ」
「山羊は沖縄にあったけれど」
そうしたものはあってもなのです。
「本当に羊肉は馴染みなくて」
「安いのに、日本でも」
「あまり食べないわね」
「どうにも」
「このことは謎かな」
先生から見てもです。
「羊肉の馴染みの薄さは」
「どうにもね」
「そこも研究対象にしてみる?」
「僕達もどうにもわからないし」
「それなら」
「そうだね、考えてみるよ」
こう答えた先生でした。
「それで論文も書くかな」
「何でも論文書けるんだね」
「あらゆるものが学問で」
「特に先生はそうね」
「どんな論文も書くよね」
「うん、僕は色々な学問を楽しんでいるからね」
それだけにというのです。
「羊料理の文化についても書けるよ」
「日本でどうして浸透しないのか」
「そのこともだね」
「書けるんだね」
「書こうと思えば」
「それも出来るよ、まあ今の論文と次の論文を書いて」
そしてというのです。
「その後は予定がないからね」
「論文を書く予定は」
「それはだね」
「そう、ないからね」
だからだというのです。
「書くことも考えておくよ」
「じゃあ今度の論文はそれかな」
「日本における羊料理のこと」
「それを書くのかな」
「そうなるかもね、けれどね」
それでもと言う先生でした。
「羊のお肉も食べたくなったよ」
「暫く振りにね」
「トミーにお願いしてね」
「皆で食べようね」
「そうしようね、ラムでもマトンでもね」
そのどちらでもというのです。
「香辛料を効かしたのを焼いて」
「いいね、涎が出そう」
「いい感じね」
「じゃあそれ作ってもらおう」
「そうしよう」
「トミーに作ってもらおう」
皆も先生のそのお言葉に頷きます、ただここで。
先生は周りの夕暮れの桜達を見てこうも言いました。
「十二支、干支は日本にもあるけれど」
「そこに羊もあるよね」
「ちゃんとね」
「干支も国によって違うけれど」
「あるよね」
「うん、日本に中国にモンゴルにベトナムにね」
先生は干支がある国を挙げました。
「ロシアもあるし最近はアメリカもだね」
「アメリカも中国系の人多いしね」
「だからだよね」
「アメリカも干支が浸透してね」
「ちゃんとあるんだね」
「そうだよ、けれど日本には羊はね」
やっぱり桜を観つつ言うのでした。
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