真田十勇士
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巻ノ百十六 明かされる陰謀その十四
「ではな」
「はい、それではです」
「これで」
「また縁があればお会いしましょう」
こう言ってだ、そしてだった。
彼等は山を降りた、するとだった。
すっかり寂しくなりだ、幸村は残った者達に笑って言った。
「静かになったのう」
「はい、随分と」
「多くの方が去られ」
「それで、です」
「静かになりましたな」
「確かに」
「全くじゃ、しかしな」
それでもと言うのだった。
「これも仕方ない、ではな」
「これよりですな」
「修行に励み」
「そしてそのうえで」
「時を待ちますか」
「そうする」
こう言うのだった。
「よいな」
「わかり申した」
これが残った者達の返事だった。
「それでは」
「その様にしましょう」
「そして時が来れば」
「その時は」
「その力を全て出してだ」
そしてというのだ。
「いいな」
「はい、目的を果たしましょう」
「戦のそれを」
「必ず」
十勇士達も他の家臣達も幸村に応えた、残った者達は少なかったがその心は一つになっていた。
そしてだ、幸村は我が子である大助に声をかけた。
「お主もな」
「はい、これからも」
「文武で鍛錬をしてな」
「強くなり」
「そしてじゃ」
「時が来れば」
「思う存分戦ってもらう」
こう言うのだった。
「わかったな、そしてな」
「何があろうともですな」
「生きよ」
このことも言うのだった。
「真田家の考えはわかっておろう」
「はい、無暗に死ぬのではなく」
「最後の最後までじゃ」
「生きる」
「それが当家の考えじゃ」
このことも言うのだった。
「武士ではあるがな」
「忍の様に」
「忍ぶべき時は忍ぶものじゃ」
「それは真田家が忍の家でもあるからですな」
「その通りじゃ、ならばな」
「はい、それがしもまた」
「忍べ」
無暗に命を捨てる様なことはせずにというのだ。
「わかったな」
「わかり申した、それでは」
「頼むぞ、そしてな」
「我等親子、家臣達と共に」
「生きてな」
「戦を終える」
「そうしようぞ、望みは諦めず」
そしてというのだ。
「必ずじゃ」
「すると決めたことを」
「果たすのじゃ」
生きてというのだ、こう話してだった。
幸村は大助に優しくはあるが確かに文武を授けていくこともした、昌幸は死んだがそれでもだった。彼等は戦に備えていっていた。来たるべきそれに。
巻ノ百十六 完
2017・7・25
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