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緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~

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~Durandall~
  ~The room Great War of first, me ~

―シャーロック・ホームズ。1世紀前に、イギリスで活躍した名探偵。拳銃と格闘技(バリツ)の達人で、我々武偵の基礎となった人物。

そして、理子はアルセーヌ・リュパン4世。
探偵科(インケスタ)のキンジに連絡をとって聞いたところ、初代ホームズとリュパンはフランスで戦っているて……そして、引き分けている。
因みに、『ホームズ』はフランス語で『オルメス』と発音するらしい。

だとしても、だ。
拳銃ぶっぱなして、刀を振り回すホームズがいるか?
ありえんだろ。明らかに。

こんなちっこかわいいホームズ4世がいるか?
……いや、別に俺が幼児体型とかロリっ娘が好きなワケではなく。純粋に、かわいいと。

―なお、

「遅いっ!ももまん買うだけに何分かかってんのよ!」

かわいいのは見た目だけだ。

っていうか、境界でワープしてコンビニでももまん買って、ワープして家に戻るまでのタイムは2分くらいだったハズなんだが。

―神崎・ホームズ・アリア。ホームズ4世にして、強襲科(アサルト)のSランクエリート武偵。ホームズの曾孫とはいえ、推理のほうはからっきしだが。


「なぁ、理子のことなんだが」

少し気にかかっていたことを聞いてみる。

「―生きてるわよ。今度会ったときは絶対にとっちめてやるわっ」

理子―アリアをオルメスと呼び、様々な方法で俺たちを追いつめた…『イ・ウー』のメンバー。
武偵殺しこと、理子・峰・リュパン4世。

表方、武偵殺しの件は一段落したが―他にも多くの謎が残ったままだ。
理子が事あるごとに言っていた金一さんのこと、イ・ウーのこと。そして、ANA600便を撃ったミサイル……

―となると、まだ一件落着とはなってないのか…………

そんなことを考えつつ、ふとケータイを見る。

「あれ?メールだ……」

送り主は……星伽白雪。しかも10件以上送られてきていた。ここの部屋はなぜか男子寮の中でも電波が悪く、メールが溜まりに溜まった状態で送られてくることが多々ある。隣のキンジの部屋も同様らしい。

さて…文面は、

『神崎・H・アリアって子と一緒に住んでるってホントですか?』

に始まり、

『お返事は?』

『すぐ行きます!』

と、だんだんとエスカレートしていくのが見てとれる。
何だこれ、怖っ!

「……アリア…逃げろ!」

「何よ、いきなり。とうとう頭沸いたの?」

「違うっ!とにかく早くしないと、武装巫女が―」


―ジャキィンッ!


(き……来たっ!!)

っていうか普通にドア開けろ!切るな!

「やっぱり―いた!神崎・H・アリア!!」

「ちょっ……何だ!?待て、落ち着け、白雪っ!」

俺の制止も虚しく、

「あっくんは黙ってて!―この泥棒ネコ!貴女があっくんをたぶらかしたって聞いたの。その罪……死んで償え!!」


星伽白雪。青森県に位置する星伽神社の巫女さんで、遠山・如月家とも色々と関係が深い星伽家の長女。
小さい頃の長い休みの時は、青森の星伽神社まで家族で遊びに行ったりもした。そのため、俺とキンジ共に幼なじみという関係だ。

炊事洗濯が上手く、誰にでも優しい良妻賢母のタマゴである。……本当は。だから―

「ア、アリアを殺して私も死にますぅー!」

―なんてことは、言わない子だ。普段は。

「だいたい!いつ、どこで、あたしが彩斗をたぶらかしたっていうのよっ!」

確かに。たぶらかされた覚えは無い。…たぶん。

「たぶらかしてなければっ!女子が男子寮で寝泊まりはしないハズです!」

「白雪!何勘違いして―うわっ!?」

「天誅ぅーっ!!」

白雪が手にしていた日本刀を振りかぶり、アリアに斬りかかった。……ちょっとそれはヤバイと思うぞ!?

「みゃっ!」

―バチィッ!

(し、真剣白羽取り!?初めて生で見た―!)

なんて感心してる場合じゃないだろ、俺。

「この―バカ女!」

アリアは刀をホールドしつつ―だんっ!がしっ!思いっきりジャンプして、白雪の右腕を両足で挟んだ。
そして、締め上げにかかる。

「バリツね―!?」

アリアの流派を一瞬で見抜いた白雪は―カツンッ!即座に床を蹴り―バスンッ!アリアを腕に絡ませたまま、バックドロップを決めた。

おいっ、床が思いっきり凹んだぞ!?

「早くいなくなれっ!わたしとあっくんの前から消えろ~っ!!」

さらに、両足でアリアを蹴っ飛ばす。

対するアリアは、ごろごろごろっ、がしゃっ!
ソファーを一瞬にしてガレキに変えやがり、その下に埋もれた。

バギュギュン!!

とうとうアリアがブッ放したガバメントの、.45ACP弾が俺の眼前を通りすぎていく。

ギギンッ!!

それを白雪は、当たり前のように刀で弾く。

「…お前ら、いい加減にしろ!」

なんて、俺の話は聞いてくれるワケでもなく。

「キレた!も~キレた!風穴開けてやる!!」

「かかって来なさいっ!」

「…………勝手にしろ。後片付けは頼んだぞ」

と言って、俺は自室に籠る。
あんな凶暴女2人の第一次・俺の部屋大戦が今の俺には収められる気がしない。



―星伽の巫女は、武装巫女だ。
どこの神社でも、神主や巫女は多かれ少なかれ御神体を守るものだが―星伽神社は、長い歴史の中でどこをどう間違えたのか、それを武装して守っている。

さっきの白雪を見てもらえば分かるように、星伽の巫女は―強い。平然と銃弾を刀で弾いたしな。
どうやらその力の源は……鬼道術とかいう『超能力(ステルス)』の一種らしい。

にわかには信じがたいが、超能力者は存在する。
超能力者は、各国の特殊機関で密かに研究・育成されていて、武偵高でいえば……超能力捜査研究所(SSR)、通称S研がそれにあたる。白雪はそこでも優等生として、目下、超能力を開発中らしい。
なお、超能力を有する武偵は『超偵』と呼ばれ、うさんくさがられつつも……日々、武偵業界で存在感を増していっている。


やっとアクション映画みたいな音が止んだので、リビングへと顔を出すと、

「はぁ、はぁ、なんてしぶとい……どろぼう…ネコ………」

「あ、あんたこそ……さっさとくたばりなさいよ…………」

決着ついたのか……?見たところ、引き分けっぽいが。

「どうだー、勝負の行方は?」

「あっくんっ!し、死んでお詫びしますっ!あっくんが私を捨てるんなら、アリアを殺して―」

「物騒なことをサラッと言うな。っていうか捨てるとか殺すとか何言ってんだ」

「だ、だってハムスターもオスとメスを一緒に入れとくといつの間にか増えてるんだよぉー!」

「色々飛躍し過ぎだ!」

「アリアはあっくんのこと遊びのつもりだよ!絶対そうだよ!!」

「遊び云々は今は置いとけっ!っていうかお前の相手はキンジだろうが!」

「キンちゃんもだけどっ!あっくんもです!どっちもどっちで選べないのー!」

…… だめだコイツ、早く何とかしないと。
っていうか俺とキンジ両方って…せめてキンジでお願いします白雪さん。

「だいたい、俺とアリアはただのパートナーで……恋仲とかそんなんじゃない。だろ、アリア?」

「あっ、当たり前でしょ!コイツはただのパートナーで―ドレイよ!!」

…その言い方は語弊があるぞ、アリア。

「ド、ドレイ!?そんなイケない遊びまであっくんに教えてるなんて……!」

「ちーがーうー!!そういうのじゃないっ!」

顔を一気に真っ赤にさせて白雪に殴りかかろうとするアリアを、俺は手で制する。

「……ホントに恋仲じゃないんだね?」

「当たり前でしょ!」

「じゃあ…2人で、そういうことはしてないんだよね?」

「そういうことって何だよ」

「き、キス……とか…」

その言葉に、俺とアリアは硬直する。

キス、ですか。

キスですか。

「―っとそれはだな、したかしないかで言えばした方に入るんだがあれはハイジャック解決の為の救済処置であって決して恋愛感情から来たものではないからノーカンと言うか―」

早口でまくし立てる俺に―強烈な殺気が寄せられてきたのを現在進行形で感じています、ハイ。
どうか白雪さん、その殺気をお収め下さい。

「あ、あのね!大丈夫よ!」

この状況の何が大丈夫なんだ、アリア。

「大丈夫って…どういうこと?」

白雪が、アリアに問い返す。殺気を俺に向けたまま。

「昨日分かったんだけど―子どもは出来てなかったから!!」

「…………………………………………」

俺は無言でアリアに近付き、床が凹む勢いで背負い投げをかます。

「ちょっと痛いじゃない!何するのよ、いきなり!」

ギリギリのところで受け身をとりやがったアリア。
やはりバリツの達人だな。チッ。

「痛いもこうもあるか!何で子どもなんだよっ」

「だって小さい時にお父様がキスしたら子どもが出来るって―!」

…娘の性教育くらいキチンとしてくださいホームズ家の皆さんっ!!

「出来るワケないだろ!今どき小学生でも知ってるぞ、そんなこと!」

「だったら今すぐあたしに教えなさいよ!」

「んなこと出来るか!救護科(アンビュラス)にでも聞けっ!」

「どうせ知らないんでしょ!」

「知ってるよ、んな事!」

なんて言い争っている間に―あの武装巫女は消えていた。
ハァ…どうなる事やら。




不可解な出来事から月日がたち。
あれから2人はどうなったかというと―ハッキリと明暗が分かれた。

『何事も自分で調べ、自ら学ぶ』がモットーらしいアリアは、救護科には頼らず…図書館で日々、生命誕生の神秘を『おしべめしべ』レベルから学習し直したらしい。
『そしてキスをしたら子どもが出来る』等というあり得ないホームズ家の教えが―天動説並みに間違っていることに、やっと気付いたそうな。

その一方白雪は―俺たち2人を見るたびに、俺たちをあからさまに避けるようになってきた。
これで良かった…のか?よく分からん。

そんなある日の昼休み―

「彩斗、隣良いか?」

突然にキンジが相席を要求してきた。

「別に構わん」

「それじゃあ僕も失礼するよ、如月君」

「不知火までいたのか」

不知火亮。強襲科(アサルト)のAランク武偵。Aランクにも色々なのがいるが―コイツはバランス型、とでも言おうか。格闘・ナイフ・拳銃と全てに信頼がおける。
拳銃はレーザーサイト(LAM)付きのSOCOMだ。
因みに―モテる。

「なぁ、彩斗…白雪とケンカしたって?」

さすが武偵高。情報の回りが速いな。

「ケンカはしてない 」

「え?でも…星伽さん、今朝温室で花占いしてたよ?僕に見られてるのと一時間目の予鈴が鳴ったとで占い自体は中断しちゃったけど。…涙ぐんでるみたいだった 」

白雪、俺とアリアがくっついてるのがそんなに嫌か。

「で?何で別れたんだよ。愛が冷めたとか言うんじゃないだろうな?」

「どこをどうしたらそうなる。だいたい白雪はなー… 」

…キンジのことが好き、と言おうとしたけど―色々めんどそうだから伏せておこう。

「そういえば。ウワサでは神崎さん、星伽さんに発砲したって聞いたよ?だから僕の読みだと……如月君と神崎さんが上手くいって、女子2人が決闘して…ってセン。どう?」

どう?じゃねえよ。知るかんな事。

「それに、神崎さん強襲科でも如月君のこと話してるよね?それもすっごく楽しそうに」

きゅうきゅうもきゅっ!

アリアは食べていたももまんを一気に口の中へ詰め込むと―ゴスッ!どういうわけか、俺の顔面にグーパンしてきた。…殴るべきは不知火だろうが。

「だが、不知火。俺は一般校区の予鈴の時に白雪に出くわして、挨拶もせずに女子トイレに逃げ込んでるんだ。だから見間違いとかじゃないのか?」

「そうかもしれないね」





「―そういえば、あんたアドシアードどうするの?」

はむはむとももまんを食べ終えたアリアが聞いてくる。

「そういえば……どうするか」

アドシアード―年に1度行われる武偵高の国際競技大会で、インターハイ・オリンピックみたいなものだ。
武偵高では強襲科や狙撃科が出場している。

「如月君、強襲科と狙撃科(スナイプ)きっての麒麟児だからね。もちろん出るでしょ? 」

「どっちか片方なら構わない、と思う。精神的に」

「精神的、かぁ。神崎さんは?」

拳銃射撃競技(ガンシューティング)でもやりそうな気がするが……どうなんだろ?

「あたしは出ない。拳銃射撃競技の代表に選ばれたけど辞退した。けど、閉会式のチアだけやる」

ごちそうさま、とそれだけ言ってどこかへ行ってしまった。

「あれ、行っちゃったぞ……いいのか彩斗?」

「よくない。じゃあ、またな」

と言って、俺はアリアの後を追いかける。

「ハァ……やっと追い付いた…………」

「ご苦労様~。…あ、ちょっとこれ見て」

アリアの指差す先には、教務科(マスターズ)からの貼り紙。その内容は―

「―生徒呼出 2年B組 超能力捜査研究所 星伽白雪…」

珍しいな、白雪が呼び出しか。
偏差値75の優等生で生徒会長で園芸部部長の(ry

…アリア殺人未遂事件さえなければ完璧な白雪が、呼び出しとはねぇ。何か気にかかるな。


~Please to the next time!




 
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