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レーヴァティン

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第三十三話 野獣征伐その二

「御前さんは御前さんでな」
「いい戦い方だったよね」
「ああ、身の軽さを素早さと機転を活かしてな」
 この三つをというのだ。
「それでな」
「トリッキーな戦い方だったね」
「相手の死角に入ってそこから攻める」
「それがおいらの戦い方なんだ」
「いい感じだったぜ、そっちもな」
「兜も使うし」
 彼の持つ神の宝であるハーデスの隠れ兜だ。
「それで姿も消して」
「それ音や匂いも消せるのか?」
「わかる?」
「モンスターがあんたに全然気付かなかったからな」
 そこからわかったというのだ。
「見えないどころかな」
「音も匂いもしなくて」
「完全に虚を衝かれてる感じだったからな」
「そう、ハーデスの兜はね」
「姿を消せるだけじゃなくてか」
「音も匂いもね」
 被った者のそうしたものまでだ。
「全て消えて術もね」
「通じなくなるんだな」
「まさに完全に隠れてしまうんだ」
「そうしたものか」
「だからハーデスも持っていたんだ」
 元々はティターン神族とオリンポスの神々との戦いの時にゼウスがティターン達に幽閉されていたキュクロプス達がオリンポスの神々に解放してくれた礼として造ったものだ、ゼウスの雷とポセイドンの三又の矛も同じだ。
「そしてそれを使って」
「絶大な力を持っていた」
「ギリシアの三大神の一角のね」 
 そのゼウス、ポセイドン、ハーデスだ。三柱共それぞれ天界、海界、冥界を治めて完全に掌握していた。
「それだけにね」
「その兜はか」
「うん、匂いや音もね」
「隠すんだな」
「そうだよ、あとね」
「あとか」
「気配も消すけれど」
 それでもという口調だった、今の淳二のそれは。
「気配はおいらも消せるから」
「そちらはか」
「あまり意味がないよ」
 そうだというのだ。
「おいらこれでも凄腕のシーフだから」
「気配も消せるか」
「そうなんだ、まあとにかくね」
「あんたの戦い方はか」
「トリッキーでね」
「それがかなりの域に達してるな」
「おいら力はないけれど」
 それでもというのだ。
「技と素早さならね」
「誰にも負けないか」
「手先の器用さも」
 こちらもというのだ。
「負けないよ」
「そうなんだな」
「それでその戦い方もだね」
「よかったぜ」
 こう彼自身に言うのだった。
「本当にな」
「それは何よりだよ」
 淳二は久志に笑って応えた。
「おいらもね」
「二人共正反対だけれどな」
 進太と淳二、二人の戦い方はというのだ。
「それがいいな」
「ああ、同じタイプばかりだとな」
 正も言う、彼はこれまで通り弓矢を使って戦ってそのうえでモンスター達を倒してきている。それも何度も。 
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