銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十四話 スパイ大作戦
今夜は夜勤で居ない為UP出来ない為、いまUPします。
更に真っ黒テレーゼ。
********************************************
第四十四話 スパイ大作戦
帝国暦479年2月25日
■オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋 テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム
20日に行われた、父様戴冠23周年記念と叛徒軍撃退記念の宴は、
思惑道理首尾良く終了した。
本日も定例連絡会、相変わらず皆がバラバラに集まる。
父様が開講一髪話をし始めた。
「先だっての宴での儂の演技はどうであったかな?」
「お父様素晴らしい演技でしたわ」
「はは、陛下ババリア映画村で俳優が出来ますぞ」
「陛下の御演技、誠に素晴らしく存じました」
みんなニヤッとしながら話していく。
「さてテレーゼのアイデアを元に今回の謀を行ったが首尾はどんなモノじゃ?」
ケスラーが厚い資料を捲りながら応対です。
「僅か4日間でございますが、非常に興味深い動きが多数有りました」
「第一に内務省と社会秩序維持局が帰還予定兵のリストを手に入れようと暗躍を始めました」
「第二に諜報部門が叛徒俘虜の身体的特徴、家族構成等を調べ始めています」
「第三に救恤品下賜と帰還兵に対する恩赦の話が軍及び市井に流れ始めております」
「第四に皇帝陛下のお慈悲に感謝する流れが出来ております」
「第五に官吏に帝国騎士叙爵の話が流れております」
「第六にテレーゼ様の自称婿候補として数人が名乗りを上げております」
「第七にグリューネワルト伯爵夫人と弟に対して貴族、軍の間で非常に悪い噂が流れまくっております」
「第八に市井においてもグリューネワルト伯爵夫人と弟の悪い噂が流れております」
ちょー、気になる話もありますが、だいたい予想した通りの動きが始まったようです。
一番は最初から予想していたモノで帰還兵と家族は、
殆どはローエングラム領へ移住させて安全を守ります。
そして父様の勅命を守らずに恩賜を無視して動いた、
内務省と社会秩序維持局《ゴキブリ》の首根っこを押さえられるので、
後々に両組織を牛耳る為の準備と成ります。
二番は判りますよ、帰還兵の中から死亡者や亡命希望者に成りすまして、
諜報員《スパイ》を紛れ込ませて行こうって腹ですね。
原作でも実際に同じ事していますから、其れは普通なんですけどね、
今回はご遠慮願いたいです
第三と第四は予定道理、父様の優しさを下級貴族や平民に見せてフリードリヒ4世は下々の事を考えて下さるお方だと、刷り込みすればラインハルトが、
いずれ何かしても下級貴族や平民の支持を得られないからね。
此は第五と第八も関係してくるからね。
まあ第五はぶっちゃけキルヒアイス対策なんだけどね。
身分が違うからアンネローゼと釣り合わないと思う、
しかし自分が貴族だったら釣り合うんじゃないかと、
淡い期待を心に持ちながらもだえ苦しむキルヒアイス絵になるじゃないですか。
しかもその事で、ミスを起こす可能性も出てくる訳です。
第七は私と母様に対する危険度を減らす為です、
更にラインハルトに協力する貴族が出た場合でも原作より少なくなる可能性が高くなる事。
ラインハルトに対する敵意が凄まじくなりますね。
第六はまあ何とも言えませんが、味方を多く作っておけば其れなりに役に立つと言う事ですね。
さて父様や爺様、ケスラーの話を聞きながら、考えを纏めたので発表しますかね。
「お父様宜しいでしょうか?」
「テレーゼどうした、ケスラーの報告に何か有るのか?」
「はい、先ほどの報告を元にして、お聞き頂きたい事がありますのでお願いします」
皆聞く準備を整えましたね、ケスラーはメモの用意をしましたね。
「三、四、五、七、八については、そのまま現在の方向で動けば良いと思います」
「六についてはまあ、いま8歳ですから追々と言う事で」
「歯切れが悪いの」
父様、じい様、ケスラー笑いを堪えてるじゃないですか。
笑うなら笑って下さい。
「もっとも注意すべきは二番です」
やはり、一番が大事じゃないのかと見てますね、違うんですよ今回はね。
「一番ではないのかの?」
「違います、軍や諜報部門そして此処もですが動きを見るに、
叛徒共に帰す俘虜の中に諜報員《スパイ》を紛れ込ませようとしているようですね。
其れを全て止めて下さい。
100万人1人残らず叛徒共の俘虜にして下さい」
「テレーゼ様俘虜交換は双方が工作員や諜報員を進入させるチャンスなのです」
そう思うよね、けど敵も同じ事考えてるなら、捕まる確率も上がるじゃない。
「確かにそうでしょう、しかし捕まる可能性が有るのです」
「以前のような少数であれば捕まりますが、今回は100万人です紛れ込むのに容易と存じますが」
ケスラー確かにそうだよ、けどね今回は駄目なんだよ。
「そうです其れは判ります、だからこそなのです、
今回の俘虜交換の大儀を考えて下さい」
皆考えてますね。
「もしや陛下のお慈悲として陛下の人間性をアピールなさると言う事かな」
爺様正解ですよ、頷きます。皆判ったみたいです。
「つまりです、折角お父様がお慈悲を持って救恤品下賜と俘虜交換で帰還兵を恩赦するのにもかかわらず、其れを諜報員潜入の手段としてつかったと判れば折角の努力も水の泡です、
下級貴族や平民の支持を受けられなくなります」
考えて無かったような顔してますね。
「そして此は大事な事ですが、叛徒共の俘虜の生活は悲惨きわまりないそうですね」
「ご存じでしたか」
原作知識で知ってるんだけどね。
「ええ、この為に調べました、叛徒の俘虜は食料も少なく死者が出ても食料を減らされるのを嫌がり、
死者を生きている事にして誤魔化しているようですね、
其処へ100万人帰れるとしたら、そして死んでいる者が帰還リストに載っていたら、
彼らはどうするでしょうか?」
「死者に成りすます訳じゃな」
「お父様正解ですわ、死者に成りすまし帰還する、
当然帰還後に行われる、IDや網膜チェックに引っかかりますよね、
すわ思うでしょう此奴等こそ諜報員だと、
そして取り調べをしても元々諜報員では無いので何も出ません、
出るのは嘘をついて帰国したけと言うだけです」
「必死に帰ってきた帰還兵はどう思うでしょうか、自国民すら信用しない政府や軍、
きっと彼方此方で話すでしょうね、向こうには言論の自由とやらがあるらしいので、
新聞等に書きまくられるでしょう、そうすれば叛徒共にジワジワとダメージを与えられるのです」
まあ同盟も検閲をしてるから、握りつぶされるのが関の山だろうけどね。
アッテンパパ辺りならスッパ抜きそうだけどね。
やらないより遣った方が良い。
「その為にも、わざと死者が名簿にいるように工作をして下さい、
恐らく俘虜達は思った通りに動いてくれるでしょう」
「なるほどそう言う手もあるのじゃな」
「中々に面白き手だと存じます」
「更に其の策が効いてくるのが、
その後です叛徒が我々の帰還兵の中に諜報員を入れてくるのはほぼ確実です」
「そうでしょうな、100万ならば確実に入れてきます」
「そして第一が絡まってくるのです、帰還兵は恩赦を受けたのも関わらず、
内務省と社会秩序維持局により家族諸共拘束の可能性有り、
魔の手から守る為に奴らが手が出せない、ローエングラム領へ移住させる」
「うむうむ」
「そうすれば一カ所に固まる為に監視がしやすくなります、
その結果ローエングラム領より外へ出ようにも直ぐに判ってしまします、
諜報活動しようにもローエングラム領では最新技術等は手に入りません、
その結果どうしてもローエングラム領から出るか、
最初からローエングラム領へ行かないかの選択になります」
「そうすれば、オーディンに居ても監視が非常にしやすい人数になるでしょう。
また内務省や社会秩序維持局が不安分子だと喜んで捕まえてくれるでしょう。
こういう時に利用しないで、何の為に俸給を払っているのか判らなくなります」
「内務省と社会秩序維持局まで利用するとは天晴れじゃ」
「そしてです、救恤品を叛徒上層部がネゴババしたとしても、
『其れは現場が勝手にした事です』と言い逃れをしてくるでしょう、
逆に諜報員が帰還兵に混じって居た場合、明確な敵対行為です、
此により懲罰行動をとれるのです、
更に以前言ったように臣民に叛徒共への幻想を打ち砕く事と成りましょうし、
叛徒共にも政府と軍の真義を踏みにじった行為は幻滅に値するでしょう」
まあ恐らくは偽諜報員をだして誤魔化すか言論統制すんだろうけどね、
此方の臣民に対するパフォーマンスと同盟に対する幻想を薄れさすのがメインだからね。
「最終的には叛徒に懲罰行為を行うに値する理由付けが出来、
内務省と社会秩序維持局の首根っこを押さえる事が出来るわけです、
なんと言ってもお父様の勅命を無視するのですから、
大逆罪や反乱罪も十分適用できますよ」
おー皆唖然と取られています。
「なるほど聞けば聞くほど恐ろしい策じゃ、テレーゼが我が娘であって良かったぞ」
「ホッホ、テレーゼ様はルドルフ大帝以来の大器かも知れませんな」
「この策は自分は行われたくありません、勝てる気がしません」
皆私をもて笑ってます、ええそうですよ、性格超悪いですよ、腹黒です。
まあ同盟よある意味ご愁傷様。
■オーディン ウルリッヒ・ケスラー
本日の定例会議でごく普通に時間が過ぎるはずが、
テレーゼ様の策略を聞いて自分の策略は未だ未だ全然敵わないと身に染みて自覚した。
通常の捕虜を使うのではなく、彼処まで叛徒を落とし入れるとは、
テレーゼ様を敵にした叛徒共が些か気の毒に感じてきた。
内務省も社会秩序維持局も良い面の皮だ、
我々を出し抜いたつもりが、完全に首根っこを押さえられるのだから。
とても私には彼処まで真似できない、テレーゼ様こそ謀略の天才と言えよう。
************************************************
同盟涙目。
ページ上へ戻る