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レインボークラウン

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第四百九十四話

           第四百九十四話  吸血鬼の弱点
 小田切君はゲームを一時中断して博士の向かい側の席に座ってそのうえで博士に真剣な顔で尋ねた。
「あの、本当にいいんですか?」
「吸血鬼が来てわしと戦ってもか」
「何もしないで」
「一向に構わん」
 やはり笑って答える博士だった。
「わしは一対一の闘いを楽しみたいからな」
「だからですか」
「わしの知識で闘う」
 あらゆる学問の力でだ、博士は科学や化学だけでなく錬金術や魔術、妖術や仙術陰陽道も備えているのだ。
「そうした闘いを楽しみたいからな」
「僕はですか」
「見ていてもらいたい」
「考えてみればいつも通りですね」
「君は見てもらうだけじゃ」
「そうですね、僕は」
 助手として精々付き添いだ、博士が闘う時や破壊行動を行う時は小田切君も彼以前の助手達も常にそうだった。
「何もしないで」
「見ていてもらう」
「わかりました、ただここに来たら厄介ですから」
 博士の返事を聞いたうえで小田切君は博士にあらためて話した。
「僕とタロ、ライゾウの為に」
「吸血鬼対策をしておくのじゃな」
「大蒜や十字架を飾って聖水も置いて」
 映画で出て来る吸血姫の嫌いなアイテムを全て揃えておくというのだ。
「あとおかしな人はお家に入れません」
「吸血鬼は一旦家に入らないと侵入出来ないじゃな」
「特に夜は」
 そうすると博士に話した。
「用心しておきます」
「それは全部映画の中だけじゃからな」
「実際はですね」
「わかっておるではないか」
「それでも用意しておきます」
 大蒜や十字架や聖水をというのだ。
「そうしておきます」
「気休めじゃな」
「それでもないよりましてづから、銀のナイフとかピストルとかも用意しておきます」
 勿論銀の弾丸もだ、小田切君はこの時銃刀法違反は意識していなかった。42
「一式」
「映画のドラキュラ伯爵限定の備えでもか」
「やっておきたいです」
「どうせならヴァンピールを呼ぶといい」
 吸血鬼ハンターだ、東欧には実在したという。
「その方がいいぞ」
「ヴァンピールですか」
「実は日本にもおる」
 そのヴァンピール達がというのだ。
 博士は小田切君に赤ワインを飲みつつ話していく、その赤いワインがまさに鮮血に見えると小田切君は内心思っていた。博士は吸血鬼ではないにしても。


第四百九十四話   完


                 2017・10・29 
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