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ドリトル先生と春の花達

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第十幕その一

           第十幕  サラと桜
 サラは先生のお家にお邪魔してです、その桜餅を見てまずは先生にこんなことを言いました。
「面白いお菓子ね」
「そう言うんだね」
「イギリスもお花を使ったお菓子はあるけれど」 
 それでもというのです。
「ここまでお花を使ってはいないわね」
「そうだよね」
「薔薇のお菓子はあっても」
 サラは好きなお花の名前も出しました。
「けれどね」
「こうしたものはなくて」
「食べていいのよね」 
 サラは先生に尋ねました。
「そうしてもいいのよね」
「だから出したんだよ」
 先生はサラににこりと笑って答えました。
「今ね」
「そうなのね、他のお菓子もなのね」
 桜を奇麗に使ったお饅頭に羊羹もあります。
「あるのね」
「そうだよ」
「和風ティーセットね」
 お茶は緑茶です。
「兄さんらしいわね」
「やっぱりお茶を飲む時はね」
「ティーセットね」
「そう思ってね」 
「こうしてだね
「そう、出したんだよ」 
 まさにというのです。
「こうしてね」
「日本にいて日本のお菓子を食べても変わらないのね」
「ティーセットはね」
「そこは流石に兄さんね」
「これだけはね」
 先生はちゃぶ台に向かい合って座っているサラにお話していきます、座布団の上で胡坐をかいてです。
「どうしてもね」
「欠かせないのね」
「そうなんだ、だからね」
 それでというのです。
「こうして出しているんだよ」
「お茶もお菓子も」
「セットにしてね」
 そうしてというのです。
「サラにも食べて欲しいんだ」
「成程ね」
「じゃあ食べてくれるね」
「さっき言った通りよ」
 微笑んでです、サラは先生に答えました。
「頂くわ」
「それじゃあね」
「これからね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 サラはその桜餅を手に取りました、そうしながら先生を見て再び尋ねました。
「葉っぱは取るの?」
「どっちでもいいよ、ただ葉は甘くないから」
「だからなのね」
「桜餅の甘さをそのまま味わいたいならね」
「葉は取ってなの」
「そうして食べるといいよ」
 こう言うのでした。
「そうしたらね」
「そうなのね」
「じゃあね」
「ええ、取って食べてみるわ」
 こう言ってです、サラは実際に桜餅の葉を取って食べてみました。そうしてから一口食べますと。
 するとです、先生ににこりと笑って言いました。
「美味しいわ」
「お口に合うんだね」
「餡子よね」
「こし餡だよ」
「私そちらも平気だし」
「餡子苦手な人もいるね」
「日本以外ではね」
 実はそうみたいです、日本人はよく知りませんが。 
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