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マイ「艦これ」「みほ3ん」

作者:白飛騨
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EX回:第39話(改2)<艦娘の孤独>

 
前書き
再び嵐に突入した司令たち。しかし、あの現象はなかなか起きない。全員が押し黙る中で司令考え込むのだった。 

 

「独りか」

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
 EX回:第39話(改2)<艦娘の孤独>
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 機体は大きく揺れて外の風雨も激しさを増している。
雷鳴も(とどろき)始めた。雷光がきらめく度に悲鳴が上がる。

「ぽいぃ」
ただ金髪を振り乱す夕立にも次第に慣れてきた。

「きゃぁ、お姉さま!」
「Oh、比叡は怖がりネ」
いや……半分は甘えていると思う。

 そういえば来る時の金剛とは、うって変わって意外に落ち着いているな。何か感じた世界でもあったのだろうか?

 それを言えば、あの夕立の叫びも最初より、ちょっと静かになった。
そのためか? 技術参謀も来る時よりは落ち着いている。

……もっとも、さっきの捕り物があったから彼女も、いろいろ考えているのだろう。

「なかなか……起きませんね」
夕張さんが呟く。

 彼女の言うとおり私たちが期待している、あの謎の現象は、なかなか発現しない。嵐は激しさを増している。このまま飛び続ければ機体ごとバラバラになり兼ねない。そういう面では夕立の叫びも分かる。

 そんな緊迫した状況でも技術参謀は機嫌が良いらしい。なぜかニタニタしていた。だから相変わらず機内で賑やかなのは金剛姉妹と夕立ぐらいだ。あの現象が起きれば、この姉妹を中心に、さらに大騒ぎするだろう。

 姉妹と言えば祥高さんと技術参謀もそうだったな。
私は窓の外を見ながら、ふと祥高さんが「お姉ちゃん、怖い!」……と叫ぶ光景を想像して苦笑した。だが性格的に祥高さんが嵐を怖がる事態は、あり得ないだろう。

 美保では最近、姉妹艦の着任が多い。
日向にも、お姉さんがいる。普段から気丈に振舞っている彼女だが伊勢の話をすると、ふと寂しそうな表情を見せる。

 比叡には金剛、山城さんには扶桑さん……とどめに秘書艦の祥高さんと姉の参謀が再会した。

 他の艦娘たちの姿を見て日向も少しは寂しさを感じるだろう。以前も『お姉さん良いな』とか言っていた。

 もちろん艦娘の大半には最初に建造された『長女』的な子が居る。同じ設計で生まれた艦娘たちは自然と姉妹になる。
だが向こうに居る夕張さんや、美保にいる大淀さんには姉妹すらいない。

 未来のブルネイでは量産化に成功していた。武蔵様や島風などが、そうだ。それでも量産化された艦娘と、本当の姉妹とでは感じる世界は違うだろう。

「独りか」
私は呟いた。

 そういえば母が言っていた。私には姉が居たらしいが死産したらしいと。私は高校生になって初めて、その話を聞いた。

 正直ピンと来なかった。それまでは、ずっと一人っ子だと思っていた。
もちろん姉弟関係など私には分からない話だ。

 だが両親にとって何か思うところはあったのだろう。

境港で初めて艦娘と出会ったときの母親は、ごく自然に接していた。その姿に私は何となく違和感を覚えたものだ。

もっとも私の両親は二人とも軍隊関係だった。従って軍人である艦娘たちとも違和感が無いのかも知れない。

そして私が彼女たちと縁を持ったのも、何か因縁でもあるのだろうか?

 私は改めて機内を見渡した。
「ぽいぃ」
「ひえぇ」

鎮守府にいる限り艦娘は決して孤独じゃない。家族以上の仲間たち……そうあるべきだ。そう思えば、夕立や比叡だって可愛らしく思えてくる。(もちろん変な意味ではない)

 そう思いながら私は何気なく日向の方を振り返ってみた。彼女は頬杖をついて、無言で窓の外を眺めている。

時おり光る雷光に照らされ青白く光る横顔。その陰影は、まるで彼女の孤高さを象徴しているようだ。

日向は鎮守府の中でも、あまり感情を見せない。

武人だから? それとも性格か。
(お前は、いつもそうだな)

 お互いが単なる一兵卒で横並びだった頃には、あまり分からなかった彼女の感情。それが私が美保に着任してからは実に、いろいろなことがあったように感じるのだ。

 女性と付き合った経験が無い私にとっては普通の女性ですら謎めいている。それでも何となく艦娘が限りなく人間に近い感情を持つ存在であることは理解した。

 日向も然り。今回出会った五月雨もそうだ。

一見、威圧感するら覚える武蔵様だって実は、とても繊細な印象を受けた。島風もそうだが艦娘は大概、孤独な印象を受ける。外面だけでなく内面でも戦っているのだろうか。

 大海原の戦場だけではない。艦娘という存在自体が孤独なのか。
だから妙に、はしゃいでみたり、わざとバカなことをするのか。

「ぽ・ぽ・ぽぃ」
あの夕立も……それは孤独の裏返しか?

ふと、武蔵様の言葉を思い出した。

『フフフ……お前以上に私は馬鹿だぞ』

『美保の司令殿……彼女たち艦娘の気持ちも案じてやれ。彼女らは本当に大海原で単身で闘っているのだ。その心細さは、いかばかりだろうか?』

『……だが私も今回、島風が居ただけで、どれだけ支えられたか?』

『艦娘とは、繊細な者たちなのだ』

それを治めつつ戦い、かつ鎮守府の運営も行っていくべき提督業。それもまた簡単な事ではない。女性の感情も分からない私に果たして、このまま艦娘艦隊の司令なんて務まるのか?

……急に不安になってきた。

 広瀬中佐を尊敬していると豪語したものの私自身いまだに部下のために尽くし切れていない。理想と現実は厳しい。

技術参謀に刃向かった私自身、この嵐を抜ければ、そこで提督の立場から下ろされる可能性もある。

(いや提督解任は、ほぼ確実か?)

(ただ……それも良いかな?)

何気なく前を見ると……寛代が自分の座席から振り返って、こっちをジッと見ていた。

時おり光る稲光に彼女の長髪が陰影を際立たせている。それがまるで人の心を見透かす仏像のように見えてドキッとした。
「……」

「な、何だよ寛代?」
まさか私の心情を見つめているのか?

(提督を降りるかも知れないこと? それとも艦娘たちのことか……あるいは)

ただ寛代に気づいた技術参謀は言った。
「寛代、前を向いていなさい」

彼女が大人しく前に向き直った次の瞬間だった。
静電気の強い感じの妙な電流が機体全体を再び覆った。

そして機内の、すべての金属が帯電し一部はバチバチと放電し始めている。
「ぎえええ!」

「お姉さま!」
やはり、金剛姉妹が最初に騒ぐんだな。

……だが、この電気椅子みたいなビリビリは苦手だ。

「あれ?」
私は少し妙なことに気づいた。
 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/

最新情報はTwitter
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 
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