歌集「冬寂月」
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三
還らざる
時ぞ侘しき
空寒み
想い暮れなば
月も陰りし
消えゆくだけの時間…どんなに悔やもうが、ただ過ぎてゆくだけ…。
溜め息は白く…空は冬の冷たさに震える…。
なぜ…と、問う意味もなく、切なさに暮れ行けば…月明かりもない夜道に惑う…。
そして、ふと振り向き…また、溜め息をつく…。
目を覚まし
風音に冬の
こゑ聞かば
痛みぞ返す
想い侘しき
風が窓を打ち付ける音で…目が覚めてしまった…。
暗く冷えた部屋の中…風が冬の声に聞こえ、私を揶揄しているように思えた…。
叶わぬ恋に焦がれ、得られぬ愛を求めて…一体何を手にしたと…。
そうだな…私が得たものは…この胸の痛みと寂しさと…。
愛しい人を想うことは…何と侘しいことか…。
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