ヘタリア大帝国
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95部分:TURN9 ドクツ動くその十
TURN9 ドクツ動くその十
「数は半分だな」
「向こうは国家艦隊二つを呼びに置いています」
「ドイツ妹とプロイセン妹の艦隊です」
「余裕か?数は向こうが劣っているというのに」
「そうですね。それぞれの艦隊の艦艇の数もこちらの方が多いというのに」
「それで、ですから」
「ふん、負けるつもりか」
司令官はドクツの考えを読まずにこう言った。
「ならばだ」
「はい、それならばですね」
「我等を侮っているかも知れませんが」
「それならばですね」
「ここで叩き潰してやる」
司令官は勝利を確信する笑みで言った。そのうえでだ。
己が率いるその艦隊を動かしていく。その八個艦隊をだ。奸対はセオリー通りの動きでドクツ軍に迫る。その彼等を見てだ。
巨躯、まさにそう言っていい。二メートルを越える身体に全身は筋肉で覆われている。その恐ろしいまでの巨体を灰色の軍服で包んだ灰色の髪と頬髯、四角く岩の如き顔をしたグレーの輝きを放つ目の男がだ。静かに艦橋の部下達に告げていた。
「来たな」
「はい、前から来ます」
「八個艦隊全てが」
「ではだ。祖国殿とプロイセン殿の艦隊に連絡してくれ」
男はこう部下達に告げた。
「いいな」
「はい、ではすぐに」
「モニターを開きます」
こうしてだ。ドイツとプロイセンがモニターに出て来た。そうしてだ。
彼等はすぐにだ。男にこう言ってきた。
「アイゼン=マンシュタイン元帥、ではだな」
「今から攻撃に入るんだな」
「そうだ。間も無く射程に入る」
まだかなり離れているがそうだというのだ。
「では。その時にだ」
「わかった。三個艦隊で総攻撃だな」
「そうするか、いよいよだな」
「そしてだ。祖国の妹殿はだ」
「はい」
今度はドイツ妹が出て来た。マンシュタインは彼女にも話した。
「我々が一斉射撃を行い敵軍が怯んだ時にだ」
「はい、一斉射撃に加わるのですね」
「敵が怯んだ時にさらに攻撃を加えて欲しい」
そうしてくれというのだ。そしてだ。
マンシュタインの旗艦、そのレーティアが描かれたかなり奇抜な塗装の戦艦のモニターに自分達から出て来たプロイセン妹ともう一人に対しても言った。
見ればマンシュタインとは対象的に痩せた中肉中背の姿である。細い顔は飄々とした感じで黒の中に黄金の輝きがある、不思議な目をしている。
髪は黒と白、そして赤だ。赤と白は前髪にある。その髪を砂色の略帽で包んでおり同じ色の陸戦用のラフな軍服の前をはだけさせている。その男もいた。
マンシュタインは彼等にもだ。こう告げたのである。
「ではプロイセン妹殿とエル=ロンメル元帥はだ」
「ああ、高速機動部隊でだよな」
「俺の指揮する」
「そうだ。一斉射撃を加えられた敵軍の後方に回りだ」
「派手に霍乱しながら攻撃するんだね」
「打ち合わせ通り」
「そうしてくれ。いいな」
マンシュタインは腕を組んだ姿勢で強い声で答えた。
「それでな」
「わかってるよ。じゃあ早速な」
「動くとしますか」
「この戦い、我が新生ドクツの初陣だ」
マンシュタインは重く低い、バスの声で言った。
「完勝する。わかったな」
「よし、では戦争開始だ」
「派手にやるぜ」
ドイツとプロイセンが応えてだ。そのうえでだ。
前から来るポッポーランド艦隊に照準を合わせた。
「全艦隊照準定めました」
「わかった」
マンシュタインは艦橋の部下の言葉に頷いた。そしてだ。今こう命じたのだった。
「一斉射撃!撃てーーーーーーーーっ!」
この言葉と共にだ。ドクツ軍から無数の光の帯が放たれた。
それは瞬時にポッポーランド軍を撃った。忽ち彼等の艦隊は次々に炎に包まれ多くの艦が吹き飛ばされ真っ二つになる。それを見てだ。
司令官は唖然としながらだ。艦橋でこう言った。
「何っ、まさか!」
「はい、ドクツ軍の総攻撃です!」
「今来ました!」
「それが我が軍を撃ってきました」
「かなりの艦艇が撃沈、大破しました!」
「あの距離からか!」
司令官は唖然としたまま叫んだ。
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