銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
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第三十九話 エヴァちゃんは無事
前回はしつこくしかも酷い文章で済みません、
ご免なさい。
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第三十九話 エヴァちゃんは無事
帝国暦479年1月3日
■オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋 テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム
朝餉をお母様と楽しんだ後、お父様に新しく作ろうと思う庭園の設計図を見せる為、
宮殿の何時もの部屋へ行ったところ、お父様と爺様だけでケスラーが居なかった。
2人とも何時もと違って真剣な表情で話し合っていた。
「お父様ご機嫌麗しく」
「テレーゼ大変な事が起こった」
「テレーゼ様がスカウトする予定の、
ミッターマイヤーの家族に危害が加えられる恐れが出てきました」
は? ミッターマイヤーが危機になるのクロプシュトック侯爵討伐の時だよね、
未だ士官候補生で早すぎない?
そんだけ敵を作る生真面目なのか?
「誰かに情報が漏れたのですか」
「いいえ伯爵夫人の悪評のせいで新たな寵姫を見つけようする勢力が現れ、
ミッターマイヤーの妹に目を付けたのでございます」
「そうじゃ予は新たな寵姫などいらんのに勝手に勧めようとする輩がおるのじゃ」
ぐわ、ラインハルト対策が裏目に出てエヴァちゃんに迷惑が掛かってしまう、
このままだとエヴァちゃん嫌々寵姫にされて、
ミッターマイヤーが間違えなく復讐の鬼になってラインハルトと組んじゃうよ!
そう言えばケスラーが居ない。
「それでケスラーは?」
「ケスラーは大至急ミッターマイヤー家に向かっております」
3人とも真剣な表情でお父様も爺様も苦虫を噛み潰したような状態です、
私も眉間にしわ寄せてますよ、くそっ何処の馬鹿役人だ死ね!!!
「どんな状況なのですか?」
「テレーゼ様が指摘された人材及び家族には我らの部下が張り付いております。
その者がミッターマイヤー家に宮内省の下級官吏が家に訪問するのを発見し緊急連絡してきたのです」
十中八九アンネローゼの時と同じだ。
「でケスラーが向かったと言うわけですね」
「そうじゃ向かわせた、あのような無体はアンネローゼで終わりにしたいのじゃ」
けどお父様の少女趣味《ロリコン》が元々の原因ですよ!
無理矢理連れてくるようならミッターマイヤーが何をするかわからない。
「ケスラー早く着いてお願い!」
■オーディン ライニッケンドルフ地区 ウォルフガング・ミッターマイヤー
玄関のベルが鳴り響き、姿を既に見られている為出ないわけにも行かず親父が青い顔をしてドアを開けに行った。
玄関を開けると、40代の頭の禿げた脂ぎった不快な男がこれまた不快な笑みを浮かべて立っていた。
親父が根性を見せて、どなた様ですかと多少苛つきを隠さぬ誰何を行うと、
その男が『喜びなさい貴方のお嬢様は、幸運にも、
比類なく高貴なおかのご寵愛を受ける事とになったのだ、
家族の者もそのおこぼれに預かることができるだろう』と言い、
迎えに来るのは一週間後だと言って帰って行った。
みんなの顔は真っ青だ、エヴァは泣き出してしまった、
親父は壁を殴って叫んでいる、
お袋は泣いているエヴァを抱きしめながら自ら涙を堪えている、
俺は行き場のない怒りに震えていた!
エヴァエヴァエヴァどうしてこんな事になるんだ!
皇帝だってチクショー馬鹿にしやがって、
なんでも自由に出来るのかよ!
親父が俺の怒気を感じたのかそっと肩に手を伸ばしてきた。
親父は俺の顔を見ながら、準備をしようと言ってくる。
長いものには巻かれろって言うのかと親父の手を振り払ったが、
親父は首を振って、フェザーンへ逃げるんだと言ってきた。
俺は先ほどの『ウォルフ2人で行くんだ』を思い出し、
4人で一緒だと強調した。
その直後、また自宅の前に地上車が止まった、
俺は身構えたが車を見ると宅配の車だ、
中から宅配の制服を着た若い男性と女性が出てきた、
車から大きな荷物を2人で持って玄関へやってくる、
玄関のベルが鳴る、こんな時に宅配かと思うが出ないわけには行かない、
親父が玄関を開けると、宅配員が大きな品物を持ち立っていた。
『クリムバッハ様よりミッターマイヤー様にお荷物なんですが』
この悲壮な空気を気にしないような明るい声で女性が話す。
親父の仕事仲間の名前らしい、仕方なしに親父は家に荷物を入れるように話す。
宅配員が親父の耳元で話す、すると親父の表情が明るくなっていくのが判る、
いったい何なのだ?
親父がいきなり『新年早々お疲れ様です、寒いでしょう御茶でも飲んで行きなさい』と言い始めた。
親父気でも狂ったかと俺は思い、お袋やエヴァは驚いた表情をしている。
俺は親父に意見しようとしたが宅配員が『お言葉に甘えてご馳走になります』とにこやかに話した。
親父はお袋に御茶を持ってきなさいと言う、
お袋は何か感じたらしくエヴァと共に台所へ行く、
親父が宅配員を部屋中央へと招く、そして俺も手招きする。
俺は何かと行くと少壮の弁護士風の男が俺の耳元で驚くべき話をし始めた。
『ミッターマイヤー候補生、
小官はさるやんごとなきお方にお仕えする者です、
今回の事は陛下はあずかり知らぬ事、
あの者が勝手に行いし行為で其れを知った、
そのお方が阻止する為に私を使わしたのです』
驚いた恐らく親父のように俺も驚いた顔をしているのだろう、
俺は縋るような目でその男を見る、
真剣な表情と真剣な目、
嘘を言っているようには見えない、
俺は闇夜の中に一条の光を見た気がする。
お袋とエヴァが御茶を持ってきたが相変わらず顔色が悪い、
お袋とエヴァが俺と親父の顔を見ると不思議そうな顔をし始めた、
親父も俺も少しずつにこやかな顔になっていたらしい、
親父がお袋とエヴァと俺を呼んでその男性が小声でさっきと同じ話をする、
お袋もエヴァも驚きの後、安堵し始めた様に感じた。
ゴトゴトと持ち込んだ箱が動く、驚いてみていると中から人が出てきた、
話していた男とよく似た男である、
2,3言葉をその男は少壮の弁護士風の男と話した後、
女と共に『ご馳走様でした、またよろしく』と玄関から出て帰って行った。
家に残ったのは少壮の弁護士風の男で、
みんな話を聞きたがっている、
男は集まるようにと話してきた。
俺たちは早速男の前に集まった。
男はまず深々とお辞儀し
『この度は宮内省の一部役人が勝手な行為を行いあなた方に迷惑を掛け申し訳ない、
これ以降は我々があなた方の安全を守ります』と話してくれた。
俺たちは半信半疑だったが男が胸元から出した書類を見て、
親父が驚いた、俺たちには何か判らないかったが、
その書類を親父は押し頂いて大事そうにしている。
俺は何かと見てみるとその紙には、
皇帝陛下御用の金文字と堂々たるサインが書いてあった。
親父に聞くと、貴族の屋敷で見せてもらった皇帝陛下の御辰筆と同じらしい。
皇帝陛下を怨んだ俺としては複雑な気分だったが。
親父が言うには、此が有ればあんな小役人ぐらいの命令は何の意味も持たないそうだ。
俺たちはやっとホッとしてきた、エヴァもお袋も笑顔が見えてきた。
少壮の弁護士風の男はいずれ責任者とミッターマイヤー候補生を引き合わせますので宜しくと言い、
エヴァには『皇帝陛下は決して貴方を連れて行くような事は致しません』と話し、
お袋には『あのような者が居る事を恥に思いますお許しを』と話す、
そしてこの事は誰にも言わないようにお願いしますと言われ、」
更に絶対お守りするので軽挙妄動はお慎み下さいと言われた。
亡命の事かと思ったが、エヴァの安全が守れるのなら敢えて危険な道を進む事はない。
その男の言う事にはグリューネワルト伯爵夫人も、
同じように役人が勝手に連れて来て押し付けたそうだ
来てしまった以上は追い返すと夫人の命が危ないので仕方なしに住まわしたそうだ。
其れを勘違いして弟がやりたい放題だそうだ、
そいつの為に危うくエヴァが奪われる事になるところだった、
親父も同じような事を聞いた事が有ると思い出しながら言ってくれた、
何だそのクソ餓鬼は!!ふざけるな!!
先ほどの宅配の車が来た、今度は手ぶらだベルを鳴らし今度は俺が出る、
『済みません宅配先を間違えましてご迷惑おかけしました』
なるほど此で帰える訳か、俺は『其れはご苦労様』と言い迎え入れた。
もう一人の男が箱に再度入り、少壮の弁護士風の男と女で箱を担ぎ
『申し訳ございませんありがとうございました』と声を立てて帰って行った。
俺たちは力が抜けてぐったりしながら僅か三時間余りに起こった事を考えていた。
本当に安全なだろうか俺は思う隣に座るエヴァもだろう俺の手をぐっと握り離さない、
俺も握り替えし離さない。
よし俺の言葉を言おう、今の心をエヴァにぶつけようウジウジしていられない。
俺はエヴァの方へ向き、顔をじっと見て話す。
エヴァも俺を見つめている。
確りしろウォルフ、此処で後悔するより今の気持ちを伝えるんだ。
「エヴァ」
「何ですかウォルフ様」
「エヴァ、すっ好きだ愛している、俺と俺と・・・・・けけけ結婚してくれ!!」
シーンとしているエヴァは何も言わない。
駄目か駄目なのか、俺は振られたのか・・・・・。
するとエヴァが涙を流しながら俺に抱きついてきた。
「ウォルフさま私も好きです愛しています嬉しいです、私をウォルフ様のお嫁さんにして」
「エヴァー」
「ウォルフさま」
エヴァを抱き寄せキスをした、長い長いキスだった。
はっと辺りを見ると親父とお袋がニヤニヤしながら俺たちを見ていた、
2人して真っ赤に成ってしまった。
早く安全が来て欲しいものだ、エヴァ必ず守るそして幸せにするぞ。
■オーディン ライニッケンドルフ地区 エヴァンゼリン・ミッターマイヤー
私を寵姫に絶句しました。ウォルフ様と引き離されるそんなの絶対嫌、
けど我が儘を言えばウォルフ様、お父様、お母様に迷惑を掛けてしまう、
そうして悲しみに震えていると宅配便が来た、
こんな時にも来るんだと遠いところを見る感じでお父様を見ていたら、
いきなり明るい顔になっていった、どうしたのでしょうかと思うと、
『御茶でも飲んで行きなさい』と宅配の人達を家に御上げていました、
お父様が私と母に御茶を持ってきてと言ったので何故と思いながらお母様と一緒に、
キッチンへ色々考えていましたが纏まらずに出て行くと、
お父様が私たちを集めてその宅配員が驚きの話をしてくれたのです。
「今回の寵姫話は全くの嘘であの嫌な男が勝手に行っていたと、
その為偉い人が私たちを守るように言ったと」
けど私たちそんな人の知り合いは居ないのに不思議に思うと。
『陛下ご自身がその様な行為を行うのを嫌がっていらっしゃるのです』
と言い此は絶対に秘密ですと言って帰りました。
その後ウォルフさまから嬉しい恥ずかしいプロポーズされました、
もう一生離しませんからね、あ・な・た。
■オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋 テレーゼ・フォン・ゴールデンバウム
イライラしながら待つ事3時間ケスラーから連絡が有った、
ミッターマイヤー家は無事此より保護を続けると、
エヴァちゃんは無事だった、よかったよー涙が出てきた嬉しいよー。
後はケスラーが帰ってきてからだ。
クソ小役人め!!目に物見せてくれる!!!
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