レーヴァティン
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第三十一話 アジトその四
「姿を隠す兜がね」
「だからか」
「象みたいな大きさの雛鳥もいたけれど」
言うまでもなくロック鳥の雛鳥だ、巨大な鳥なので雛鳥でもそれ位の巨大さになるのである。
「彼等にもね」
「見付からないでか」
「守備よく盗めたよ」
そうだったというのだ。
「何十個もね」
「それは何よりでござるな」
進太はまずは淳二の立場から彼に応えた。
「それだけのものが手に入って」
「千個位あったけれどね」
「千個でござるか」
「随分溜め込んでいたんだよね」
そうした宝石類をというのだ。
「それでね」
「千個のうちからでござるか」
「何十かね」
盗んだというのだ。
「それ位ならロック鳥もちょっと減ったかなって位だし」
「まあすぐに取り戻すかな」
源三も淳二の話を聞いて言った。
「ロック鳥なら」
「そうだと思うよ、じゃあね」
「今からか」
「入ろうな」
こう話してだ、そのうえで。
淳二は仲間達を通路の奥にある扉、もう一つのそこにまで案内した。そしてそこでだった。
彼は再び指を鳴らした、そうしてその扉も開けると。
そこは石造りの部屋があった、何処か城の中を思わせるが窓は一切なく閉鎖的な感じがする。
久志達をその部屋の中に入れてだ、淳二は彼等に笑って話した。
「ここがね」
「アジトか」
「その最初の部屋だよ」
「洞窟の中でも明るいでござるが」
進太は部屋の中を見回しつつこのことを言った。
「これはヒカリゴケのせいでござるか」
「そうだよ、天井にね」
見上げるとそこにだった、確かにヒカリゴケが一面にあってそれで部屋全体を照らしていた。
「こうしてね」
「そうでござったか」
「このままだと暗いからね」
ただの洞窟の中ではだ。
「だからね」
「ヒカリゴケを張ったでござるか」
「天井にね」
「そうでござったか」
「他の部屋もだよ」
淳二は進太に微笑んでこうも言った。
「こうしてね」
「ヒカリゴケを貼ってでござるか」
「明るくしているんだ」
「わかったでござる」
「トイレもあるしお風呂場もあるんだ」
「お風呂もあるんだ」
「うん、地下かわ湧くお湯を使って」
そのうえでというのだ。
「お風呂もあるよ、保存食も結構置いてるし」
「まさにアジトだな」
そこまで聞いてだ、久志は唸って言った。
「結構なものだな」
「ここに暫く隠れることも考えているからね」
「だからか」
「そこまでしているんだ」
「成程な」
「実際に何かあったら」
その時はとだ、淳二は久志達にこうも話した。
「皆ここに隠れようね」
「ああ、ただ出来るだけな」
「そうした事態にはだね」
「ならないようにしたいな」
久志はこう淳二に答えた。
「ピンチにはなりたくないからな」
「それは誰でもだね」
「そうだろ、やっぱりものごとは順調にだよ」
そうした風に進むのがというのだ。
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