ムチオトカゲ
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第三章
「一体」
「女の子同士で子供出来るの?」
「無理よ」
どう考えてもというのだ。
「男と女で出来るのに」
「女だけになったのに」
「どうして子供が出来るのよ」
「無理よね」
「どう考えてもね」
二人共これで人類は終わったと思った、そしてそれは二人だけではなく全世界で危惧されていた。
テレビでもネットでもだ、この話も為されていた。
「これからどうなるんでしょうか」
「女の子だけになったのに」
「子孫は出来ますか?」
「どうして出来るんですか」
「男がいなくなったんですよ」
「一人もね」
それこそというのだ。
「もう人類終わりです」
「子孫が出来なくなったんですから」
「私達の代で終わりですよ」
「人類は滅亡します」
「子孫が残せなくなったんですよ」
こう口々で話す、そして信長の両親もだ。
家でだ、こう話していた。まずは妻の貴子が言った。
「私達二人目もね」
「ずっと考えていたけれどね」
信秀も応えた。
「出来なかっただけで」
「そう、今もね」
「けれどね」
完全に女の声と口調でだ、信秀は言った。
「もうそれもね」
「無理よね」
「そう、無理よ」
こう言うのだった。
「女同士でね」
「赤ちゃんが出来る筈がないわ」
「折角信長の弟か妹を作ろうって思っていたのに」
「身体が完全に女だと」
「もう出来る筈がないわ」
「どうしてもね」
こんな話をしていた、信長はこの話を聞いていなかったが。
制服がスカートになってもだ、難しい顔で言うばかりだった。
「私達どうなるの?」
「もうずっと女の子?」
その信長に智昭が応えた。
「それこそ」
「そうなるのかしら」
「それで子供も出来なくて」
「人類自体が終わるのかしら」
「もう皆その話ばかりよね」
「妊娠した人が産む赤ちゃんも女の子ばかりで」
人類総女性化の後で生まれた子供達もだ、母親の胎内にいる赤子達も調べてみると全員がだった。
「もう女の子だけ?」
「女の子だけになっちゃうのかしら」
「あらゆるものが女の子向けになってきているけれど」
「おトイレだって」
風呂も男湯がなくなった、当然更衣室もだ。
「社会が女の子だけになっていて」
「下着だってね」
彼等も今ではトランクスやボクサーパンツからブラ、ショーツになっている。
「変わって」
「メイクもして」
「完全に女の子になってるけれど」
「人類どうなるの?」
「男の子がいないで」
「そうなったのに」
「皆この話ばかりしてね」
当然のことだ、全人類が女性化しては危惧するのも当然だ。
「若しそういうことしても」
「出来ないからね、赤ちゃん」
「果たしてどうなるか」
「本当にね」
誰もが人類の未来を憂えていた、中には自棄になって酒に溺れたり暴れたりして捕まる者もいた。その中でだ。
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