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マルクス通りにはならない

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第二章

 だが社会に出てだ、彼等はわかった。
「あれっ、違うぞ」
「会社は違うぞ」
「ちゃんと暮らしていけるだけのお給料貰えるし」
「自動車だって買えるし」
 マイカーブームが定着した頃だった、もう完全に。
「労働組合もあるし」
「それに会社もちょっと油断したら」
 資本投資や営業努力をしないとだ。
「すぐに落ちるし」
「独占資本どころか競争で」
「栄枯盛衰もあって」
 前川が言った通りではなくだ。
「本当にちょっと気を抜いたら」
「相手に抜かれるな」
「独占資本とかになっても」
 例えそうなってもというのだ。
「ちょっと油断したらな」
「ライバルに追い抜かれる」
「従業員の扱いも悪いと」
 つまり労働者達へのそれだ。
「すぐにな」
「従業員が待遇いいところに行って」
「それで評判も悪くなって」
「やっぱり落ちるな」
「これが資本主義なんだな」
「前川の言ってるのと違うな」
 ここであの男の言っていることを思い出した。
「全然違うわよ」
「マルクスが正しいんじゃないんだな」
「やっぱりそうだよな」 
 このことに気付いたのだった、そしてだ。
 彼等は現実を知ってその中で働いていった、そうして前川の言っているマルクス主義に基づく革命が起こるかろいうと。
「あんなの起こるか」
「独占資本なんて油断したらすぐに終わりだ」
「従業員の扱いが悪くても」
「というかマルクスって何だよ」
「あのおっさん働いたことないだろ」
 経済学者であったが現実の労働や経済を肌で知っているかというのだ。
「現場知らないだろ」
「確かに当時のイギリスって凄かったけれどな」
 現実として産業革命にもよって労働問題が世界ではじめて言われていたし環境問題も深刻であった。
「それ十九世紀だろ」
「今二十世紀も後半よ」
「当時と社会状況も違うし」
「マルクスって栄枯盛衰頭に入ってなかっただろ」
 企業は経営で油断をすれば業績が落ちるしライバルが常にいるというその現実も、ろいうのだ。
「企業も浮き沈みあってな」
「資本家、経営者は貯めた金資本投資とかに使うものだ」
「さもないとやっていけるか」
「貯めた金をさらなる資本に使うものだ」
「何で戦争に使うんだ?」
 当時資本主義について言われていたことだ、共産主義はそれはないから平和勢力だという主張もあった。
「むしろ市場守ってもらわないと駄目だろ」
「戦争で商売が出来るか」
「平和でないと出来ないだろ」
「武器売るって武器だけ売って儲かるか」
「何処の黒い幽霊なんだ」
 ある漫画の話も出た。
「武器って限られた人しか買わないわよ」
「武器や兵器の開発もかなりお金かかるし」
「いい兵器にはそれだけの研究費と開発費が」
「けれど買う人は限られてる」
 軍人やゲリラ位しかいないというのだ。
「軍需産業は儲からないだろ」
「日本なんか特に」
「それよりも歯ブラシとか石鹸とか売った方がよくない?」
「そうだよな」
「平和な場所で」
「戦争起こさせるよりも」
「そこもおかしいわよ」
 前川の主張はというのだ、彼は資本主義こそが戦争を起こすとも生徒達に力説していたのだ。
「どういう理屈だ」
「戦争をして商売が出来るか」
「工場とかも攻撃されるし」
「それじゃあ意味ないだろ」
「ものも売れなくなるし」
「むしろ」
 ここで彼等は気付いた、前川の主張のさらなる問題点に。 
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