ホームランバッター、アベレージヒッター
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第三章
「あいつが後ろにいたらいたらで俺との勝負は逃げられないしな」
「次が安全牌だと敬遠出来るからな」
ある記者がアメリカでは古い言葉を出した、麻雀がアメリカで流行ったのは一九二〇年代のことだ。
「けれどサンターナだとな」
「無理だろ、俺から逃げるのは」
「ランナーが一人増えるだけだからな」
そこで若し打たれれば余計にダメージが大きい、敬遠策は次のバッターを完全に抑えられないとダメージが倍増するリスクもあるのだ。
「それでな」
「それがないだけにな」
「あんたが三番の場合もか」
「嬉しいぜ」
ストイコビッチも笑って話した、実際にこの二人の三番四番はいい具合に機能していた。そしてだった。
その二人についてだ、ワンはまた記者達に話した。
「二人のタイプは違うだろ」
「ストイコビッチがホームランバッターでな」
「サンターナがアベレージヒッタ―で」
「確かに違うな」
「しかもストイコビッチが左、サンターナが右」
ストイコビッチは左投左打、サンターナは右投右打だ。
「全然違うな」
「ストイコビッチも首位打者獲得したことあったしな」
「サンターナも一シーズンでホームラン三十本何度か打ってるな」
「けれどやっぱりな」
「ストイコビッチはホームランだな」
「サンターナは打率だ」
そして二人共勝負強い、ただし勝負強さはサンターナのそれは神がかりとさえ言われている程だ。
「確かにタイプ違うな」
「それぞれな」
「そう思うとな」
「そこもいいよな」
「同じタイプのバッターが並んでもな」
パワーヒッターでもアベレージヒッターでもとだ、ワンが話す。
「強いことは強い」
「そうだよな」
「それでも」
「けれどな」
「やっぱりそれぞれタイプが違うとな」
「さらに強いよな」
「そうだろ、野球はどっちもあってだよ」
ホームランもヒットもというのだ。
「日本の巨人とかいうチームは違うみたいだがな」
「ああ、あの日本で三年連続シーズン百敗を達成したっていう」
「かつての盟主だよな」
「昔はそんなチームだったらしいな」
「金にあかせてホームランバッターばかり集めて」
「四番コレクションとか言われてたらしいな」
「それで巨人は毎年優勝してたか?」
野球を穢すこのチームはというのだ。
「どうだった?」
「それが難しかったみたいだな」
「ヤンキースみたいな金の使い方で集めてもな」
「それでもな」
「ヤンキースもそうだけれどな」
「毎年日本一とはなってなかったらしいな」
「それで今はあれだよ」
三年連続シーズン百敗を達成したというのだ、それを見て日本の心ある者達は爆笑している。巨人には無様な負けがよく似合うと。
「日本最弱のチームらしいな」
「それもかつてない位に」
「変な補強ばかりしても駄目か」
「ホームランバッターばかり集めても」
「そういうことさ、タイプが違うからこそな」
ワンは記者達んまた話した。
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