マイ「艦これ」「みほ3ん」
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EX回:第34話(改2)<不憫(ふびん)>
前書き
美保の艦娘たちは荒天の中、敵機動部隊と交戦するが、あまりにも不利だった。
「相手の空母まで、なかなか届かないのね」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第34話(改2)<不憫>
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外は、更に荒れた天候になり風雨も激しくなってきた。
機内の艦娘たちは押し黙っている。無線は雑音が激しくて入りが悪い。
そして、さっきから金剛がブツブツと反応している。下で戦っている比叡と交信しているようだ。
最初は機外の風の音でよく聞えなかったが戦闘状況が芳しくないのだろう。次第に交信する口調が激しさを増してきた。
「そこ! Go! ……No、No! 引いてはダメ!」
他の艦娘も断片的に戦闘中の艦娘たちの無線を拾えるようで一喜一憂している。硬い表情の技術参謀も同じだ。
「艦娘たちは大丈夫なのか?」
つい私も軍隊の指揮官として相応しくない台詞を吐いてしまう。案の定、作戦参謀は怪訝そうな顔をしていた。
霧雨となった周囲の視界は悪く戦闘状況を肉眼で確認することは、ほとんど不可能だ。艦娘たちの無線を聞けない私だけが、まるで蚊帳の外に置かれている気分だった。
天候が悪くなるにつれて、この機体も振動が激しさを増す。水平飛行を維持するのも難しくなってきた。
機長が振り返って言う。
「司令、一旦上空へ退避します!」
「分かった」
このまま荒れた海域に留まっても得るものは少ないだろう。私は空中退避を許可した。
機体が上昇して暫くすると空が明るくなってきた。直ぐに機体は真っ青な空の下に広がる雲海の上に出た。
「わぁ、明るいっぽい!」
感嘆する夕立。
緊迫した状況は変わらないのだが青空の効果だろう。機内には少し安堵感が広がった。私も悶々とした気持ちが緩んだので椅子に座り直した。
ふとポケットに手をやって驚いた。
「あれ? インカムがある」
「はい?」
秘書艦が反応する。
「まずいな。ブルネイの返し忘れていたか」
「そうですか」
祥高さんと私は互いに顔を見合わせて苦笑した。
だが、もしや? と思って頭に正しくインカムを装着してみた。
『……艦爆、右へ!』
「あ、赤城さんの声だ」
『龍田さん! 後ろから!』
「これは日向か」
『斉射ぁ!』
「比叡か……」
ときどき機内の金剛の声が被っている。意外に下で戦っている艦娘たちの声がクリヤーに入った。
「これが技術の進歩か」
だが敵の装備も私たちの時代より進化している。相手も、この程度の音質で交信してい戦っている可能性が高い。
同じ音声を聞いていたらしい参謀が言った。
「やはり押されているようだな」
「はい」
美保の艦娘たちが、どれだけ不利な状況で戦っているのかが伺えた。
「だが彼女たちの活躍で貴重なデータが持ち帰られたら決して無駄ではない」
「……」
相変わらず冷静な計算で動く人だ。
その間にも断片的にインカムに通信が入る。艦娘たちが不憫だ。
機体は同じエリアを大きく旋回している。
敵も美保の艦娘たちとの戦闘に集中し、こちらまで迎撃してこないのは幸いだ。
戦闘に意識を向けながらも参謀は、周りの気候に注意している。
「あの『現象』が起きる気配は無いな」
彼女にも気象条件が分かるらしい。
「あれが発現すれば直ぐに旋回を中止して現象が活発化する方向を探りながら直進する」
参謀は説明する。
「はぁ」
私は生返事をする。正直、私は参謀の意向とは反対に発現して欲しくないと思っていた。
来たときの「あの」現象は、まだ起きてはいない。だがもし発生したらどうする?
この状況で下の艦娘たちを回収することは限りなく不可能……私は苦悶した。
『敵機が多い……何とかならない?』
赤城さんが弱音を吐くほど戦闘は不利な状況になってきた。もとより条件が悪いうえに勢力も違う。
『だめよぉ、あの飛んでくる爆弾とか……』
通信が途切れる。
『こいつら(駆逐艦)もウザい……』
これは比叡。
「そんなの蹴散らすネ!」
金剛が叫ぶ。こいつも自分が行きたいだろうに……もどかしそうだ。
『雑魚は私が相手になるわ』
龍田さんが、そう言いながら肉弾戦を展開中らしい。ときどき何かが激しく衝突し金属が擦れる音が混じる。
『あの空母さえ叩ければ……』
搾り出すような日向の声。
『くっ、遠い……」
敵の迎撃と、この荒天下で赤城さんの航空機部隊も思うように攻撃が出来ないらしい。
「相手の空母まで、なかなか届かないのね」
夕張さんも呟く。
「チッ」
彼女だけでなく技術参謀もイライラしているのが分かる。どっちつかずな状況では待つ方も辛いものだ。
「こうなったら、残りの艦娘も出撃を……」
そう言いかけた私に技術参謀は首を振った。
「ムダだ。消耗戦になる」
「そりゃ……」
一瞬、切れかけた私だったが直ぐに口を閉じた。
青葉さんや夕張さんが、さっきから申し訳なさそうな顔をしていたのだ。
そう、二人は戦闘より情報や技術に長けている。おまけにブルネイで収集した艦娘量産化のデータを持っているのだ。参謀としても二人を戦闘に出したくはないだろう。
だが、このままで何もしないのは結局、見殺しではないか?
事情を悟った金剛が提案する。
「いっそ、このまま機体ごと、もう一度バトルフィールドに降りるネ?」
だが祥高さんが説明する。
「下の荒天では機体を安定させるのが精一杯、戦闘どころでは無いわ」
「シット」
珍しく握りこぶしで機内の壁面を叩いた金剛。その悔しさは分かる。
『雨が激しい……』
戦闘中の誰かの声が響く。
そのときだった。ゴロゴロという雷鳴のような音が響いた。
「遠雷?」
それは妙な印象だった。
そのとき寛代が呟いた。
「敵艦隊に動きあり。何かが着弾した模様」
「着弾?」
私と技術参謀は、ほぼ同時に立ち上がった。
「着弾って?」
「どういうことだ?」
私たちは、思わず寛代のところへ駆け寄った。
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ3ん」とは
「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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