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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第三十三話 同盟も慌ただしい10月


話す人がころころ変わり慌ただしいです。
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第三十三話 同盟も慌ただしい10月

帝国暦487年10月11日

■オーディン 軍務省    軍務尚書室      ハーロルト・フォン・エーレンベルク

 俘虜の交換についてリストを制作すべく部下達に指示をしていたところ、陛下からご連絡があり早速人払いをして応対した。
「エーレンベルクよ」
「皇帝陛下にはご機嫌麗しく」
「そちに頼みがあってな」
「何なりと御命じ下さい」
 
「叛徒の収容所でエコニアなる所が有るそうでな、其処におる全員を帰還させるのじゃ、
其処に第二次テァマト会戦で俘虜になったケーフェンヒラーと言う男爵が居るそうじゃ、
その者も必ず帰還させるのじゃよいな」

「その者は何か有るのでしょうか?」
「いや、テレーゼが41年間も囚われて可哀想だと申すのでな、
それに昔の時代の事を色々聞いてみたいそうじゃ、その者の帰還をするようにせい」
「御意」

ふう、殿下の気まぐれか、しかし陛下のご命令だ確りやらねばならんな。


帝国暦478年10月11日

■オーディン 国務省    国務尚書室    クラウス・フォン・リヒテンラーデ

 昨日から俘虜の対応で忙しくなってきた、ハタと思うとその費用は如何するか聞き忘れたわい、
早速連絡しようとすると、先に陛下からご連絡があった。

「国務尚書ご苦労」
「皇帝陛下におきましてはご機嫌麗しく」
「うむ」
「今日は如何様な事でございましょう」
「それよ、昨日予算に付いて言わなかったのでな」

陛下も忘れていたのじゃな。
「今回の予算じゃが予のポケットマネーから出す事にする」
「陛下、平民から取りたてれば宜しいかと存じますが」
「予がしたいのじゃそのようせい」

無駄じゃな此処は陛下の考えにのろうぞ。
「御意にございます」
「其れとじゃ、救恤品と俘虜の受け渡しはイゼルローンかエル・ファシルで行うようにするのじゃ」
「御意」
「うむ頼んだぞ」


さてフェザーンのシューレンブルクに連絡じゃな。

でおったか。
「久しぶりじゃのシューレンブルク伯」
「リヒテンラーデ侯もご機嫌麗しく」
「うむ」
「本日はどの様な事でしょうか」
「其れより会話は漏れぬか?」
「大丈夫に御座います」

「では良いな。
良いか恐れ多くも皇帝陛下が叛徒共の俘虜となっている臣民共に救恤品を下賜なさる。
其れが1月までに俘虜の元へ届くように致す、
叛徒共の政府の代表者とその方が交渉せよ。
その後俘虜の交換をする、其れが4月までには交換できるように交渉するのじゃ。
言うておくが、陛下から直接指摘された事じゃ必ず救恤品が先、俘虜交換が後じゃ、
受け渡しはイゼルローンかエル・ファシルじゃ。シューレンブルク伯よいな」

「リヒテンラーデ侯、陛下はなぜこのような事を」
「陛下の思し召しじゃ」
「御意」

宇宙暦787年10月13日 帝国暦478年10月13日  

■フェザーン  自由惑星同盟高等弁務官オフィス   ラファエル・ラ・フォンテーヌ

 昨日突然帝国の高等弁務官事務所から、会談を持ちたいとの連絡があった、
不倶戴天の敵であるが、以前サイオキシン麻薬摘発では共同行動を取った事もあり、
政府に連絡を入れ指示を待った。

数時間後やっと政府から会談せよとの命令が下った。

秘匿回線のホットラインで話し始めるシューレンブルク伯の提案内容は驚愕を持つ物であった。
「恐れ多い事なれど皇帝陛下は敢闘むなしく、
貴勢力によって囚われの身となっている我が臣民全員に、
格別なる慈悲を持って救恤品を下賜なさるとの思し召しでございます」

何だと、帝国は捕虜になった者は忘恩の徒として処罰していたのではないのか、
いきなりのこの仕打ちはどんな変化なのだ。
「なるほど、其れを政府に伝えて欲しいという訳ですな」
「左様、恐れ多くも皇帝陛下が臣民の苦しみをお聞きになり、哀れに思いお手を差し伸べられたのです
、その為其方に囚われている臣民の詳しいリストをお願いしたいのです」

ふん民衆を搾取してるのがお前らだろう。
「更にその臣民達を帝国へ帰還させよとの思し召しで御座いましてな」
捕虜を帰せと言うのか、只帰すだけではなく此方も帰して貰わないと。

「しかし只帰せと言ってもそう旨くは纏まりません」
「帝国の臣民100万を其方が返還して頂けるなら、
帝国が捕らえている其方の将兵100万を返還いたします」


うむ捕虜交換という訳か、先頃の第四次イゼルローン攻略の失敗で軍は80万近い戦死者を出している、
帰還兵全員が復帰する訳では無いが100万は魅力的だ、しかし自分の一存では出来ない其れが民主共和制だ、ハイネセンに連絡し指示を受けよう。

「ただ第1に救恤品の下賜此は来年1月までに下賜して頂きたい、
其れが臣民に行き渡って身支度が出来たら4月までに返還をお願いしたい、
返還場所はイゼルローン或いはエル・ファシルでお願いしたい、
此は皇帝陛下の勅命ですので変える訳にはいきませんのじゃ」

「シューレンブルク伯、非常に魅力的なご提案ですが、
政府に連絡をし指示を受けねばなりませんので次回にご連絡いたします」

「判ります、なるべく早い返答をお待ちしております」


 ハイネセンに早く連絡しなければならん100万の帰還なら大事だ。


宇宙暦787年10月13日 帝国暦478年10月13日

■自由惑星同盟ハイネセンポリス 最高評議会  最高評議会議長 ディオニシオ・エンリケス  

 フェザーンの高等弁務官フォンテーヌから一度目の連絡があり、
帝国が対話を求めていると聞き、委員達を集め評議した結果、
提案内容が何かを聞くようにと言うまで3時間もかかるとはな。

命令を出して2時間、フォンテーヌより帝国からの提案が知らされたとき、
我々は驚きを持って其れを聞いた。

帝国が捕虜交換を求めている、それ自体は以前にも何度もあった。
しかし今回は100万単位での交換だと言う、
僅か一月前にイゼルローンで80万近い戦死者をだした為、

我々の支持率は低下気味だが、此処で4月までに100万の捕虜が帰還できるなら支持率だけでなく家族も含めて200万票以上の票が計算できる。
財務委員長などは『捕虜には只で喰わさないと成らないが、
市民なら逆に税を納めてくれる』と積極的だ。

国防委員長も『軍の再建に帰還兵が使える』と賛成のようだ。
他の委員も自分の支持率のUPにつながるならと賛成の意向だ。
評決を取ることなく賛成で終わりそうだ。

もう一つの皇帝からの救恤品の下賜とは何が起こったのか、
フォンテーヌによれば皇帝の慈悲らしいが、帝国はよく判らない国だ。
此についても財務委員長は『財源を掛けずに済む』と言う。
情報交通委員長だけは、『各収容所に配るのに時間がかかり混乱が生じるのではないか』と言う、
国防委員長は『先に捕虜交換では駄目なのか』と言うが、勅命では変える事はできんだろう。
他の委員の反対はないようだ。

そうしていると人的資源委員長から、『我が軍の捕虜に救恤品を送らないのか』と提案が出た。
国防委員長が『帝国に送っても兵には届かんよ』と言う。
理由を訪ねると『皆途中で貴族共に搾取されてしまうようだ』とのこと。
財務委員長が『予算的にみすみす届かない物に掛ける予算は出せない』と言う。
此は反対意見が多いので却下だな。

帝国は捕虜交換をイゼルローン或いはエル・ファシルでで行いたいと言うが、
イゼルローンでは行った瞬間トールハンマーで焼かれるのではという罠説が多く
エル・ファシルでの交換を強く求めようと委員会で議決を行った。

宇宙暦787年10月14日 帝国暦478年10月14日  

■フェザーン  自由惑星同盟高等弁務官オフィス   ラファエル・ラ・フォンテーヌ

 ハイネセンからの帝国による提案受諾の連絡があり早速シューレンブルク伯へ連絡を取った。
「これはシューレンブルク伯、今日は良い天気ですな」
「誠に良い天気です、其れですと受諾できましたかな」
「自由惑星同盟政府は帝国の捕虜交換と救恤品について受諾します、
尚受け渡し場所はエル・ファシルを希望します」

返答が遅いな、やはりイゼルローンでないと駄目なのか?

「判りました、帝国政府は貴官の提案を受ける事とします」
「では詳しい話し合いを行いましょう」

帝国暦478年10月14日

■オーディン 国務省    国務尚書室    クラウス・フォン・リヒテンラーデ

 フェザーンのシューレンブルク伯より連絡があり叛徒共が受諾したとの連絡をしてきおった、
交換場所は案の定エル・ファシルじゃトールハンマーを撃たれる恐怖があろうからな、
早速陛下にお伝えしなければならん。

ノイエ・サンスーシに連絡を取り陛下にお伝えする。
「皇帝陛下におきましてはご機嫌麗しく」
「うむ国務尚書いかが致した」
「かねてより行っておりました俘虜の交換と救恤品についてエル・ファシルで交換と受け渡しを行う事を受諾いたしました」
「うむ国務尚書ご苦労で有った、シューレンブルク伯もご苦労で有ったと伝えよ」
「御意」
「此からも頼むぞ」
「御意」

 
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