歌集「春雪花」
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木洩れ日の
儚く見えし
霜見月
紅落ちし
夕の静けさ
昼の木洩れ日は弱く…とても儚く見える。
もう十一月も末…夏の暑さを懐かしく思う…。
引っ越してもう半年経つ…彼に会える訳でもなく、全てが虚しく思えてならない…。
夕になれば瞬く間に日は沈み、その静けさは寂しさを誘う…。
辺りは秋の紅から冬のセピア色へと変わり、より一層…虚しさが身に沁みる…。
小夜更けて
時雨し空の
軒先の
雨垂れ落つる
音ぞ侘しき
夜更けに雨が降り始めた…。
いつもは気にもしない雨音が…今夜はなぜか耳に響く…。
久々に彼がメールを寄越したからだろうか…。
然したるメールではなかった…当たり前だ。
それでも…嬉しかったのだ…。
だが…また、暫くメールは来ないだろう…。
軒先から落ちた雨垂れが、なぜか大きく聞こえる…。
眠れない…雨垂れの音に、心が寂しいと嘆く…。
私はこんな時に…何に寄り掛かれば良いのだろうか…。
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