テールスープ
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第一章
テールスープ
この日天神橋由美は交際相手である大学の後輩牧田君に朝彼の部屋に着てすぐに満面の笑顔で言った。
「今日の晩御飯私が作ってあげるからね」
「今朝の九時半なんですが」
朝御飯を食べて休日の朝の特撮番組を観つつ返した牧田君だった、背は高いがまだあどけない顔をしている。
「晩御飯のお話ですか」
「そうよ、テールスープ作るから」
「テールスープって何ですか?」
「私の好きなお料理で牛の尻尾の部分を入れたコンソメスープよ」
「そんなお料理があるんですか」
「お野菜も一杯入れてね」
そうしてというのだ。
「じっくりとことことと煮て作るの」
「じっくりとことこととですか」
「何時間もね」
「ラーメンのスープみたいに」
「そんな感じよ」
実際にと答えた由美だった。
「今日はそれを作るから」
「晩御飯にはですか」
「だから今からスーパーに行って食材買って、ついでにお昼御飯も買って」
「お昼も食べて」
「そうしてなんですね」
「晩御飯それを作るから」
「何時間も煮てそうして」
時間をかけてとだ、牧田君も言った。
「それでなんですね」
「そうなの、だからスーパーが開いたらね」
「十時になったらですね」
「行きましょう、食材とお昼御飯を買いにね」
「わかりました、ただ本当に」
「早いっていうのね」
「まだ九時半ですからね」
それでというのだ。
「晩のことなんて考えてなかったです」
「私もさっき思いついてなのよ」
「来られたんですか」
「そう、じゃあ作るわよ」
こう話してそしてだった、由美は牧田君を連れてスーパーに行って食材そしてお昼御飯も買ってだった。
お昼を食べるとすぐにだった、由美は包丁を手にして人参や白菜や大根、生姜や大蒜を切って牛肉の尻尾のところもあった。
家で一番大きな鍋に入れて茹でだした、由美はそうしつつ牧田君に言った。
「これで夜までね」
「煮ていくんですね」
「お野菜も入れてね、あくも時々取って」
そうしてというのだ。
「何時間も煮込むから」
「物凄く時間かかりますね、これから夜までって」
牧田君は時間を見た、まだ一時半だった。
「長いですね」
「そこまで煮込むとお肉は柔らかくなって」
「お肉は煮込めば煮込む程柔らかくなりますからね」
「そう、だしも出るから」
「何時間も煮込むんですか」
「そうするから、これからね」
「大体五時間半位ですね」
七時に食べると考えての言葉だ。
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