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ヘタリア大帝国

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207部分:TURN20 エルミーの来日その八


TURN20 エルミーの来日その八

「だがよりよい兵器にする自信はある」
「では」
「一度試作型を造ってみる」
 平賀は言った。
「そしてそのうえでだ」
「はい、実戦配備ですね」
「それを目指す。早いうちにな」
「試作型空母は見せてもらった」
 東郷はこう平賀に述べた。
「まさかあれ程のものとはな」
「あくまで試作型だ」
「ではまだまだか」
「これから通常空母も大型空母を設計、開発していく」
 平賀はまた話す。
「楽しみにしておいてくれ」
「頼む。魚で何時までも戦えないからな」
 魚達での戦いにもだ。東郷は見切りの時を考えていたのだ。
「第三世代の艦から配属していきたいな」
「わかった。そしてだ」
「開発費や建造費の軽減も計るか」
「そちらも研究していく」
 平賀は東郷に述べる。久重の口を通じて。
「あとは航路の研究もだな」
「どうもガメリカの方にあるみたいだな」
 東郷はその航路の話もした。
「ハワイからガメリカ本土に向かう航路とは別にか」
「ある様だな」
「若しあればガメリカ戦で戦略の選択肢が拡がるな」
「いいことだな。君にとっても」
「ああ、あれば見つけておきたいな」
 航路のこともだ。東郷は話した。その話の途中もだ。
 彼は艦内を見回っていた。厨房を見れば。
「狭い厨房だな」
「はい、極限まで狭いものにしました」
 エルミーはそのことを恥じることなく答えた。
「潜水艦は小型でなければならないので」
「その為だな。それでか」
「それで?」
「ここを開ければだな」
 座る場所のクッションの部分を手で開けるだ。その中からだ。
 ジャガイモが出て来た。見れば中に一杯である。
 そして天井にはソーセージが鍾乳洞の様にある。ザワークラフトの壺も壁に埋め込まれる形である。東郷はそうしたものを見て言うのだった。
「コンパクトにかつ合理的にか」
「そうしています」
「考えたものだな。そしてドクツだな」
「我が国だというのですか」
「ジャガイモにソーセージにザワークラフト」
 どれもドクツで非常によく食べられるものだ。特にジャガイモは主食と言っていい。
「そしてパンは」
「乾パンです」 
 エルミーはそれだと答えた。
「コーヒーもあります」
「質素だな、それはまた」
「質素なのはいいことだ」
 山下もいる。彼女は東郷をやや剣呑な目で見ながら言うのだった。
「海軍がそもそも贅沢過ぎるのだ」
「いや、国民の平均的な食事だが」
「平均では駄目なのだ。仮にも国家の基幹を預かる者ならだ」
 どうかとだ。山下はその右手を拳にして力説する。
「質素であるべきだ。だから陸軍もだ」
「玄米と少しのおかずか」
「それで充分の筈だ。だからこそデーニッツ殿の考えやよし」
 エルミーを褒めもする。
「軍人は常に質素でなければならないのだ」
「はい、その通りです」  
 生真面目なエルミーもだ。山下の力が入った言葉に応える。
「総統閣下も非常に質素な方ですので。ドクツ軍人である我々もです」
「質素なのだな」
「ドクツ人はジャガイモとパンとソーセージ」
 まずはこの三つだった。
「ザワークラフトとアイスバインがあれば戦い抜けます」
「あとビールもだな」
「ビールは必須です」
 エルミーは東郷の突っ込みに迷うことなく答える。
「ビールがなければ何ができますか」
「じゃあこの艦内でもか」
「勿論ビールも積んでいます」
 これは忘れていなかった。ドクツ人らしく。
「ビール製造機もあります」
「そうか。ビールは欠かせないか」
「当然ではないでしょうか」
 エルミーはドクツ人の考えから東郷に尋ね返す。
「それは」
「まあ日本ではまた違うがな」
「日本ではビールはあまり飲まれないのですか」
「飲むことは飲むがドクツさん程沢山飲まないな」
 東郷がこう言うとだ。日本も言う。
「私も。日本酒が主ですね」
「日本帝国のお酒ですか」
「デーニッツさんもどうでしょうか」
 日本はエルミーに自分の国の酒を勧めてきた。
「和食も。どうでしょうか」
「和食ですか」
「どうでしょうか」
「はい、機会があればお願いします」
 そうするとだ。エルミーも少し微笑んで日本の申し出に応えた。
「和食にも興味があります」
「ではこの見学の後に」
「えっ、今ですか」
「駄目でしょうか」
「いえ、お願いします」
 より後のことだと思ったので日本のいきなりの申し出に驚きはした。だがすぐに気を落ち着かせてだ。エルミーは日本に対してまた応えた。
 
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