ヘタリア大帝国
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204部分:TURN20 エルミーの来日その五
TURN20 エルミーの来日その五
「負けたらさっさと降伏すりゃいいのによ」
「私もそう思います。ですが」
「オフランスは生き残りました」
秋山は事実を淡々と述べた。
「そうして連合が結成されました」
「つまりあれだね」
南雲は秋山の話を聞いて言った。
「枢軸対連合の戦いになるんだね」
「構図は一次大戦と同じですね」
小澤は先の大戦のことから話す。
「ただ。枢軸の顔触れが変わっていますが」
「連合の顔触れは先の世界大戦と同じですね」
エルミーはその連合の顔触れにはこう話した。
「やはりあの五国です。しかしです」
「はい、ドクツには及ばずながら我々がいます」
秋山が真剣な面持ちでデーニッツに言ってきた。
「ではこれからはです。友軍としてです」
「宜しくお願いします」
エルミーは秋山の言葉にまた敬礼で返した。こうして彼女は己の潜水艦隊と共に日本帝国軍に加わった。そのうえで秋山を潜水艦のところに案内しようとする。
だがここでだ。エルミーはふとこう言ったのだった。
「あの、それでなのですが」
「はい、何でしょうか」
「秋山少将は参謀総長ですね」
「その役職を仰せつかっています」
「では連合艦隊司令長官は」
「もうすぐ来られると思いますが」
「ますがとは?」
エルミーがその不明瞭な言葉に首を捻るとだ。二人のところに日本が来た。
「あっ、こちらにおられましたか」
「日本さんでしょうか」
「はい、そうです」
その通りだとだ。日本はエルミーに敬礼をして応えた。
「私が日本です」
「この国ですか」
「ドイツさんからお話は聞いていると思いますが」
「はい、自分でも調べさせて頂きました」
返礼をしながらだ。エルミーは日本に答える。
「そうさせてもらいました」
「では私のことは御存知ですね」
「人類最古の歴史を持つはじまりの八国の一つ」
エルミーは日本をこう表現した。
「その中でもとりわけ古い国家ですね」
「生まれたのは同じ頃です」
はじまりの八国の生まれた頃はだ。同じだったというのだ。
「ですが柴神様と共に今の国家を築いたのは」
「人類ではじめてでしたね」
「政府のある国家になったのはそうですね」
「その日本さんですか」
エルミーは無意識のうちに神秘を見る目になっていた。眼鏡の奥のその目は少女の、好奇心に満ちた目だった。その目になっていたのだ。
そしてその目でだ。エルミーは日本にまた言った。
「御会いできて光栄です」
「いえ、そう言われますと」
「何か?」
「気恥ずかしいので止めて欲しいののですが」
「そうなのですか」
「はい、そうお願いできるでしょうか」
「それでしたら」
エルミーが日本のその言葉に応えるとだ。ここでだ。
軍服の前をはだけさせ紅いマフラーを出している青年が来た。その隣には奇麗な女性、日本帝国海軍の士官の軍服を来た女性がいる。その彼を見てだ。
エルミーは今度はその顔をやや曇らせてだ。こう言った。
「東郷毅長官ですね」
「如何にも」
東郷は女性同伴のまま陽気に返す。
「俺のことも知っているみたいだな」
「お話は常々窺っています」
警戒するものも含んでだ。エルミーは東郷に返す。
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