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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません

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第三十話 チシャ娘


あざといレタス娘、悪巧みする。
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第三十話 チシャ娘

帝国暦478年10月1日

■オーディン    ノイエ・サンスーシ   小部屋

 先だってのイゼルローン防衛戦の戦闘報告書や素行報告書を読みながら、お父様、爺様、ケスラー達と話し合い中。
お父様は血色の良い顔で頷きながら読んでいる。
最近はお父様も頻繁に会合に参加して生き生きとしています。

「テレーゼよお前の推測が当たったの」
「決断して頂いたのはお父様ですし、それに見合う情報を出してくれたのは皆ですから」
「よいよい謙虚じゃの」

「ケスラーよ、ミュッケンベルガーとケルトリング、シュタイエルマルクはよう働いたが、要塞の方は駄目じゃな」
「御意、調べました結果要塞司令部は未だ及第点ですが、駐留艦隊司令部は落第点でございます」
「ふむそろそろ替え時かの、のうグリンメルスよ」
「既に任地に行き5年膿んでおりましょう」
「では変えるか、後任は軍務尚書に任せようぞ」

うわー此であの味方殺しが行くのか。
考えていると、お父様が気がついたのか。
「テレーゼどうした真剣な顔をして」
「いえ、要塞の司令部同士が仲が良くないようで、
其れを是正するのはお父様の勅命しか無いかと思いまして」
「ふむそうじゃの、親任の時にきつく言い聞かせよう」

少しは良くなるか、けど平行追撃作戦対策は早くしないと駄目だな。
ケルトリング少将かクラリッサのお父様だけど意外に戦闘上手なんだな、原作には出てこないが何処かで戦死したのかも知れないが、此からのことを考えると貴重な戦力だ。

シュタイエルマルクって聞いた事があるんだけど、どこだっけか?
「ケスラー、シュタイエルマルクってなんか聞いた気がするんですけど?」
「御意、第二次ティアマト会戦で勇戦したシュタイエルマルク中将の孫でございます」
「なるほどあの勇将シュタイエルマルクの血筋ですか、祖父同様流石ですね」

いずれシュタイエルマルクもスカウトしよう。
おやおや爺様、ウツラウツラしてきてますね、日向ぼっこ提督の面目躍如ですか、
まあそれだけケスラーを信頼している証拠だし、お父様もクスクス笑ってます。

「今回は敵が此方の艦隊に圧力をかけて壊走させながら平行に追撃しようとしたみたいだけど次回以降も同じ手を使ってくる可能性があるのでは?」
「確かにその手はあります、統帥本部で研究させましょう」
「問題はミュッケンベルガー大将のように的確な戦法をとれる将帥が居ないと破綻する事だと思いますよ」
「確かにそうじゃな、そうならん様に作戦を作らせねばならぬの」
「負けた後で直ぐに攻めては来ないでしょうね、次回までに考えれば良いのでは、
いっその事ミュッケンベンガー大将をイゼルローン要塞総司令官にするのも手ですが」

「いやあの者は次期宇宙艦隊司令長官にと考えておる、
今回上級大将に昇進させ宇宙艦隊副司令長官にするつもりじゃ」
なるほどね、彼なら威厳があるしピッタリでしょう。

ラインハルトは『堂々たる者だ、ただし堂々たるだけだ』と批判していたけど、
あれは自分の物差しで言っているだけで実際各戦線では有利に戦っているから、
父様の人物評価は確実だね。

完全に爺様寝てますが、寝てるふりかも知れないのがこの爺様の凄さ。
そうそう慰問袋の事も頼もう。
「お父様、奮戦むなしく叛乱軍の俘虜になってしまった可哀想な将兵達に慰問袋を送りたいのですが、宜しいでしょうか?」
「うむ考えがあるのか?」
「兵達が可哀想ですし平民の人気取りにも使えると思います、
それに何れ帰還させたときに我々の味方としてカウントできるでしょう」
「ではテレーゼに任せよう、自由にせい」
「はいお父様、ケスラーその旨準備を手伝って下さい」
「御意」

そうだズーッと気になっていた事を聞こう。
「お父様お聞きしたいのですが、グリューネワルト伯爵夫人の父親が男爵を求めたとか、断ったとか聞いたのですが、どちらが本当なのですか?」
「あの男は男爵には自分は過ぎたる物と辞退してきおった、其れなりに矜持があるので有ろう」

なるほどね、ラインハルトは父親のことを毛嫌いしていたけど親なりの矜持があったんだな。
此処は一手撃ちますか、ケスラーなら出来るでしょうし。

「ケスラー、グリューネワルト伯爵夫人の弟ですが、最近どうでしょうか?」
「はっ、相変わらず問題を起こしております、走るトラブルと言われてるそうです」
「ハハハ、相変わらずよの」
父上楽しみますね。

「普通なら放校処分に成るのをそのまま居るられるのが、
お父様のお陰だと判ってないんでしょうね、
あの目見れば、お父様を相当恨んでいるのが判りますし」
「そうかテレーゼにも判るか」
「判りますよお父様、ギラギラした野心がだだ漏れです」

「お父様提案なのですが、爵位もない貧乏騎士の小倅と馬鹿にされるのが相当頭に来るのでしょうね、
それならグリューネワルト伯爵夫人の身内なのですから、男爵か子爵を与えてしまったら如何でしょうか?」
 
ふっいずれ、平民や下級貴族の支持を受ける時、
爵位も持たない貧乏貴族出だと言う事もある程度加味されているから、
そのフラグを折ってあげましょう。
ラインハルト・フォン・ミューゼル男爵殿、いや子爵殿かな。

「そうかのあの者が受けるかの」
そうでしょうね、お父様もそう思う出しょうね、ケスラーも頷いてるわね、
私も思うよ、けどね作戦はビッテンの様に突撃だけじゃ無いんだよ。
搦め手から攻めるのも手なんだよ。

「お父様、其処は搦め手から攻めるのが手ですよ」
「ほうテレーゼならどうする?」
「グリューネワルト伯爵夫人を使います、
まず伯爵夫人にミューゼルの幼年学校における虐めを誰かに教えさせて心配させます。
そしてお父様がその旨で彼に爵位を与えると言えば、伯爵夫人は喜んで受けるでしょう。
そうすれはシスコンのあの者の事です、一も二もなく受けるでしょう」

うわー言い過ぎたかな、お父様もケスラーも引いてるよ。

「ほほーテレーゼ様流石ですな」
やっぱ爺様起きてたか。
「うむ流石じゃ」

「お父様の子供ですし、良い師匠達が居りますからね」
「ハハハそうかそうじゃの、のうグリンメルス、ケスラーよ」
「あと今回の爵位授与のカモフラージュにイゼルローンで活躍したミュッケンベンガー大将は伯爵家の次男で爵位を継げません、取りあえず大将を男爵か子爵に叙勲した方が良いかと其れだけの武勲を立てていますし、ここで恩を売っておけば後々役に立ちます」

「他の者が不公平を感じるのではないかの?」
「その辺は大将は十分な武勲をあげてますから大丈夫ですね、
あの者については、お父様だから大丈夫でしょう」

「ハハハ儂は寵姫には甘いからの」
「そう言う訳です」
「陛下流石でございますな、テレーゼ様なれば此から安心ですな」

「自分が無能と知っている者と違い、
自分が誰よりも優れていると言い、
自分よりも劣る者は歯牙にもかけない者には、
それ相応の嫌がらせを受けるべきですからね」

フフフ、貴方がお母様に対して付けた渾名のチシャ夫人。
貴方の嫌いなチシャの様に巻き巻きしてあげますよ。
ラインハルト・フォン・ミューゼル君。

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増補しました
 
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