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ドリトル先生と春の花達

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第六幕その十

「詠いたいね」
「先生も風流になってきたね」
「イギリスにいた時とは全く違って」
「風流と優雅を楽しむ」
「そうしているわね」
「そうなったね、何かね」
 先生ご自身が思うにです。
「僕はどんどん日本人になってきているね」
「うん、心がね」
「そうなってきているね」
「浴衣や作務衣も着ているし」
「コタツもお布団も大好きで」
「もうすっかり日本人」
「そうなってきているわね」
「あのコタツはね」 
 先生が言うには。
「恐ろしいまでの力があるよ」
「どてらを着て中に入って」
「蜜柑を食べながらテレビを観ていると」
「もう出られない」
「そうなってるわね、先生も」
「一度入ればね」
 それこそというのです。
「中々出られない」
「恐ろしいものね」
「うちのはもう閉まってるけれど」
「恐ろしい暖房器具よ」
「日本人が生み出した」
「あのコタツにしても好きだし」
 もっと言えば大好きです。
「他の日本のこともね」
「好きだね」
「親しんでいるね」
「そうなっているよ」
 先生ご自身もはっきりわかっているまでにです。
「本当にね」
「そうだよね」
「和歌も日本のものだし」
「その和歌を詠って」
「そして楽しむのね」
「そちらもね、須磨の海も観たし」
 そしてというのです。
「桜も観て」
「和歌を詠おうね」
「そちらもでね」
「是非共」
「そうだね」
「あの、先生」
 ここでトミーが先生に言ってきました。
「今日の晩御飯ですが」
「うん、何かな」
「お刺身どうですか?」
「あっ、お刺身なんだ」
「はい、どうでしょうか」
「いいね」 
 先生はトミーににこりと笑って答えました。
「お刺身もね」
「はい、それじゃあ」
「お刺身楽しみにしているよ」
「今から買いに行ってきますね、それと」
「それと?」
「お味噌汁とお野菜も炒めます」
 そうしたものも作るというのです。
「もやしを炒めますんで」
「ああ、もやしだね」
「それでいきましょう」
「もやしか、いいね」
「美味しくて安くて」
「あんないいお野菜はないね」
 先生はもやしについてしみじみとして言いました。
「本当にね」
「そうですよね」
「あれも好きだよ」
「はい、ですから」
「今日はだね」
「もやしと。それに韮ですね」
 この二種類のお野菜をというのです。 
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