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DQ8 呪われし姫君と違う意味で呪われし者達(リュカ伝その3.8おぷしょんバージョン)

作者:あちゃ
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第六話:水晶玉を取って来いと言われたから、それだけを遂行させる。それ以外の事は知らん!

(滝の洞窟)
ウルフSIDE

人の話を聞かず一方的に用件だけを言い帰る魚野郎に制裁。
元から額に大きな傷があったが、更に後頭部も割れる。
陸地に上がり幹部を抑えのたうち回る魚野郎を見下ろし、ちょっとやり過ぎたかも……とビビる。

「な、何て事をするんだ貴様等!?」
あ、思ったよりは元気そうだ。
「煩い馬鹿者。俺等の話を聞かずに帰るからだ!」
元気なら俺が気に病む必要は無いだろう。

「ヌヌヌ……この滝の主であるザバン様に用があるじゃと? 何用じゃ!?」
「その水晶玉をよこせ」
罠の存在を含め面倒臭かったからアハト君に任せてたのだが、事態が一向に進まないので気付いたら俺が前面に出ていた。

「やはり貴様等が水晶玉を投げ捨てたのだなぁ!!」
「違ーってんだろ! 何で捨てた奴と貰いに来た奴が同一人物になるんだよ!? 『要らない』って捨てたんだから、捨てた奴は取りに来ねーよ。俺等は『要らなく無い』って思ったから、取りに来てるんだよ! 解れよそれくらい……馬鹿だなぁ! 額の傷から脳味噌が漏れ出てるんじゃねーのか?」

「ぐぬぬぬぬ……何と口の悪い男じゃぁ!」
後頭部が無事だと解った途端、湯水の如く罵倒の言葉が溢れ出てきた。
なので精神面は無事じゃ無さそうだ……でも後頭部は無事だから良いよね。

「口は悪いけど顔が良いから問題無いんだよ」
「性格も極悪ですよぉ~」
ザバン様とやらのささやかな抵抗を撃退してると、後方から可愛い声でイケメンを(なじ)るリュリュさん。貴女はどちらの味方ですか?

「兎も角……この水晶玉をワシの滝に投げ捨てた愚か者へ説教をするまで、手放す訳にはいかぬ!」
「本当にアホだなぁ……先刻(さっき)も言ったが『要らない』と言って捨てた奴が来る訳ねーじゃん! 本当に脳味噌が流失しちゃってんじゃねーのか?」

「……た、確かに……言われてみれば……そうかもしれない様な気が……してきた……気がしてきた」
うわぁ……どうしよう。
本当に頭が悪い子だった。

「じゃぁこうしようぜ。俺等はそれを投げ捨てたであろう人物に目星が付いている。その水晶玉をくれるのなら、俺等が代わりに其奴に説教を数時間行ってやる。どうだい?」
「う、う~む……ワシはこの滝周辺からは遠出出来ぬし……持ち主が現れる事もなさそうだし……お前等に託してみても良い様な気がしないでもない」

「おう、託せ託せ! でも何で捨てた奴に対して怒ってるの?」
「な、何でって……この額の傷を見て分からんのか!?」
まぁ……水晶玉を捨てた時に直撃したんだろうな。でも……おちょくったら面白そうだ。

「その額の傷が何? 俺はてっきり歴戦の古傷だと思ってたよ……アンタ強そうだし、凄い戦士っぽいからね。その格好いい傷が物語ってると思ってた……けど?」
尊敬の眼差しでザバン様とやらを見詰める。

「え? か、格好いいかな? え~……歴戦の戦士っぽいかなぁ?」
本当に脳味噌が流れ出ちゃったらしく、満更でも無さそうだ。
このまま褒めてれば気分を良くして水晶玉をくれるかもしれない。

「格好いいよ。なぁアハト君!」
「え? あぁ……格好いいですね。如何なる敵にも後ろは見せない的な」
「えぇ~……本当にぃ? ワシぃ~……そんな戦士とかじゃ無いんだよ、本当はぁ~」
解ってるよ、そんなの。

「いやいや格好いいっすよ。なぁラング!」
「ええ。決して引かない屈強さが滲み出てますねぇ」
「屈強だなんてそんなぁ~☆ まぁ如何なる敵にも後ろは見せないし、倒すまで引かないのも真実なんだけどぉ~……それが丸分かりになっちゃうぅ? この傷でぇ~?」

良いなぁ、この洞窟。
面白い奴が沢山居る。
グランバニアの近場にも欲しいなぁ……仕事でストレスが溜まったら、癒やしを求めて訪れたいなぁ……

「よし分かった! 本当はワシ自ら、滝に物を投げ捨てる愚か者に説教をしてやりたかったが、此処に訪れそうに無いしワシが出向く事も出来ないし、お前等に全てを託そうじゃないか!」
馬鹿は扱いが簡単で助かるぅ!



(トラペッタ)

水晶玉をアハト君とヤンガスに託し、俺等は町の外で馬姫等と一緒に彼等の帰りを待つ。
一緒に行かないのかと聞かれたが、水晶玉を捨てた張本人と思われる親父さんに『何故持ち帰ったのか!?』と厳しく聞かれ一悶着に巻き込まれたくなかったから、お前らだけの功績にしとけと断った。

しばらくの間は雑談(噛みついてくるトロデ氏をからかう)で時間を費やしてたが、流石に飽きてきた。
リュリュさんは馬姫と何やら女子っぽい会話をしている。『ミーティアちゃんはアハト君の事、好きなの』とか『え~やっぱりぃ♥』とか、何だかキャピキャピしてる。

リュリュさんが動物と喋れる事を知らない人が見たら、馬の横で盛り上がってるアブナい女にしか見えない。俺なら絶対に近づかないね。
なんせトロデ氏が『おい、あの娘は大丈夫か?』と聞いてきたから。
大丈夫である事を説明するのも面倒くさいし『容姿が凄く良いから、あれでも男どもにモテるんだぜ』とだけ言っておいた。

まぁそんなことをしている内に、アハト君等が帰ってきた。
思ってた程の時間は経過しなかったから、一悶着は発生しなかったのだろう。
それなら行けば良かったかな?

「随分と早かったね」
「ええ、ルイネロさんは俺等が水晶玉を持ってくることやユリマさんがそれを依頼したことを解ってたみたいですね。流石は凄腕の占い師ですよ……」

「それは占い師だからじゃないだろ……」
「おや? ウルフさんは何か知ってるんですか?」
俺がこれまでに入手した情報から導き出された感想を述べると、興味深そうにアハト君が食い付いてきた。

「だって……水晶玉を捨てたのが、ルイネロ本人だからだよ」
「ほほう……何故にそうなるのですか?」
アハト君の感じからして俺の推測は間違いないのだが、この答えに辿り着いた道筋を知りたいらしい。

「ユリマさんの言い分じゃ、以前は何でも言い当てた占い師だったのに、突然占いが当たらなくなって、使ってる水晶玉が偽物になったって事を被害者として声高に言い回ってないのなら、水晶玉をすり替えたのがルイネロって事だろ。自分で占いが当たらなくなる様に仕向けたから、被害者ぶって騒がなかったんだろうし……」

「なるほど……凄いですねウルフさんは。でも何故自ら占いが当たらなくなる様にしたのかまでは分からないですよね?」
「まぁ……そりゃ。何かの罰ゲームとか?」

「ゲームで生活を苦しくする訳ないでしょう。もっと深刻な理由ですよ」
「へぇ~……深刻な理由が有るんだぁ? 興味ないけど」
俺が本心を語ると、表情をシラケさせてトロデさんに向き直るアハト君。失礼じゃね?

「実はですね、ユリマさんはルイネロさんの本当の娘じゃないらしいんですよ!」
「ほほぅ……つまり“占いの腕前が凄すぎて天狗になっていた頃に、何らかの悪者の依頼で占いユリマさんの本当の両親を探し出してしまい、亡くす要因を作ってしまい、『占いなんて当たらなければ良いんだ!』って極端な結論に達して親を亡くした娘を育てる片手間で占いの信憑性を貶める行為した”って事だな」

「……流石ウルフ殿ですなぁ。自らの天才的な推理力を披露しつつ、アハト殿が嬉々として語ろうとした事柄を邪魔するなんて……性格悪すぎですな!」
「何を言うか。人様のプライベート事情を嬉々として語ろうとするが如き悪趣味な行為を、的確な推理力で押さえ付けた上に手早く物事を進めただけだ!」

「じゃぁ、もうそういう事で良いですよ。ウルフさんの推測がほぼ正解ですから」
俺の天才的推理力を前にアハト君は少しスネ気味だ。
リュリュさんからも「ホント……性格、極悪ぅ」と聞こえてくる。

「それよりも陛下……ドルマゲスの行き先をルイネロさんが占ってくれましたよ」
「なに! それは本当か? し、して……奴は何処へと逃げたのだ!?」
もう先程の話題では盛り上がらないと理解したアハト君は、このパーティーの本来の目的であるドルマゲスの事を話題に上げた。

「何故か水晶玉に傷があった為、ドルマゲスがリーザス地方への関所を突破したって事だけなんですが……それでも次の目的地の目安くらいにはなると思います」
“リーザス地方”……この世界の住人では無い俺には、それがどちらの方角なのかも分からないが、取り敢えずトラペッタ地方からは出て行く事になるのだろう。

「そうか……リーザスか。更なる行き先はリーザス村で聞き込めば良かろう」
トロデさんがアハト君と今後の事を打ち合わせしてる。
俺はそれを聞きながらリュリュさんとラングに視線を向けて頷いた。

“取り敢えず付いていこうぜ☆”って事だ。
この世界の事は右も左も分からぬ身……
分かってる連中に付いていく方が下手に動き回るよりも効果的だろう。

ラングは兎も角、リュリュさんもそこら辺の事情を理解してくれるのは助かる。
脳の栄養が胸に集まっちゃてるけど、それほど馬鹿じゃ無いからね。
利口でも無いけどね……

「そう言えば、ドルマゲスはこの町で有名だったみたいですね」
「有名? 何か情報を仕入れたのかアハトよ?」
お……またアハト君が人様のプライベート情報を嬉々として語ろうとしているぞ。
う~ん……流石に今回は邪魔しないであげようかな。

「何でも才能の欠片も無いのに魔法の勉強をしている男だったらしいです。しかもプライドだけは高かったから、魔法使いとして一向に成長しない事を人々に悟られるのが嫌で、何時も横柄にしていたそうですよ」
何処にでも居るもんだな、そう言う輩は……まぁ我が国の輩は死んじゃったけどね。

「そしてドルマゲスは、ある日……何処かの国に凄い魔力を宿した魔法の杖があると聞き、この町を出て行ったそうです。あの陛下……我が国の地下に祭ってあったあの杖って、一体何なんですか?」
え!? 国の地下に杖が祭ってあった?

「う、うむ……ワシも爺さんから……その爺さんも更に爺さんから聞いた話しなんじゃが……」
「面倒臭い言い回しすんな。先祖代々語り継がれてるって言え!」
ズバッと言えよ、ズバッとさ!

「ええい、煩いわい! 兎も角、先祖代々の言い伝えによると、大昔に暗黒界を創ろうとした闇の神を封印した杖だと聞いている」
「えぇぇ~~~……何それぇ~~……(すげ)ーヤベーやつじゃん」

「リュリュさん。俺等は貴女達が元の世界に帰れる様に最大限尽力しますから、皆さんも俺等に協力して下さいね! 一緒に楽しい冒険にしましょうね☆」
「あ、う、うん。が、頑張ろうね……アハト君」

俺がトロデさんの言葉に驚いてると、一番正義感が強そうなリュリュさんに的を絞ってアハト君が戦力確保を行った。
“利口”と言う言葉から縁遠い我が国のプリンセス様は、簡単に言質を取らせる。

これはヤバイですよ。
リュカさんが居ないのに、『闇の神』とか『暗黒界』とか単語が出てくるのは本当にヤバイですって!
如何する俺? 如何なっちゃう俺達!?

助けてパパぁ!!

ウルフSIDE END



 
 

 
後書き
今回、ウルフ君のパパは助けてくれません。
如何なるんですかね? 
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