レインボークラウン
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第四百八十六話
第四百八十六話 博士と水
華奈子が水の魔法をこれまでとは全く違う感じで出していた時に天本博士は研究室で紅茶を飲みつつ小田切君に言っていた。
「やはり紅茶はいいのう」
「さっきコーヒー飲まれていた時はコーヒーでしたよ」
コーヒーがいいと言っていたとだ、小田切君は博士に返した。
「そう言われてましたよ」
「そうじゃったな、しかしな」
「紅茶は紅茶で、ですか」
「美味い、ただな」
「ただ?」
「水もまたよしじゃ」
そちらもというのだ。
「水は水の味がする」
「だからですか」
「そちらを飲んで楽しむこともあるぞ」
「そういえば博士ミネラルウォーターもよく飲まれていますね」
「うむ、好きじゃからな」
博士は小田切君に笑顔で答えた。
「わしは美食家じゃ、だから水もな」
「こだわりがあるんですか」
「普通の水道水も飲み方がある」
「ああ、一旦沸騰させてですね」
「白湯にしてじゃ」
それからというのだ。
「飲む様にしておる」
「水道水をそのまま飲まれることはしないですね」
「今はそうではないがカルキのせいでまずくてのう」
水道水はとだ、博士は小田切君に苦い顔で話した。
「もっとも生水も井戸水も一旦沸騰させて飲んでおった」
「ああ、殺菌ですね」
「その頃の水は結構危なかった」
「井戸水でもですか」
「だから一旦沸騰させて飲んでおった」
そうして殺菌をしてというのだ。
「そうしておった」
「そうでしたか」
「味もよくなるしな」
一旦沸騰させてから飲めばというのだ。
「まあお湯だと今一つ味気ないからお茶かコーヒーにするがな」
「それがこだわりなんですね」
「うむ、わしのな」
「美食家としてのですか」
「そういうことじゃ、水もよい」
「飲まれるのはその時の気分ですね」
そうだと聞く小田切君だった。
「博士の」
「その通りじゃ、お抹茶や麦茶も好きじゃしな」
日本のお茶もというのだ。
「その時の気分次第で何でも飲むぞ」
「じゃあ僕も何かいただきます」
こう言って小田切君も紅茶を飲んだ、紅茶の中にミルクを沢山入れてそのうえでゆっくりと飲んで楽しんだ。
第四百八十六話 完
2017・9・28
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