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緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~

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prelude
  ~tragedy and encounter~

「あんなヤツしるか!」

フギャー!……と、アリア。 猫か。

……何があったんだよ、アリアとキンジ。

「そ、そうか。じゃあな」

そう言って、体育倉庫を後にする。……なんか弾が散らばってるな…… .45ACP弾か。まぁいいや、関係ないし。

-っていうか、完全に始業式に遅れたな…… ハァ……

トボトボ歩いていると、目の前にもトボトボ歩いているやつがいた。キンジだ。

「キンジ、どうした?…………アリアとなんかあったか?」

「…ッ、なんでそれを…!」

「少しアリアと話したんだが……、やたらお前に対して怒ってたぞ。何かしたのか?それとも襲ったのか?」

「襲ってない。断じてない!…違う、そうじゃない。
実はな…………」


~キンジ回想中~

「ほら、そこのバカ共!さっさと頭を下げなさい!」

バリバリバリバリッ!

俺が頭を下げるより早く、問答無用でセグウェイを銃撃してきた!拳銃の平均交戦距離は、7mと言われている。だが、少女と敵の距離はその倍以上ある。
しかも不安定なパラグライダーから、おまけに2丁拳銃の水平撃ちで。
これだけ不利な条件が揃っていたにも関わらず、彼女の弾は魔法のように次々命中していく。
反撃するヒマもなく、敵の銃座と車輪はバラバラにブッ壊されていった。

-上手い。なんて射撃の腕だ。あんな子がうちの学校にいたのか?

くるっ、くるくるっ。

2丁拳銃を回してホルスターに収めた少女は、今度は、ひらり。 スカートのお尻を振り子みたいにして、険しい表情のまま俺の頭上に飛んできた。
そして数瞬、俺と彩斗を見て迷ったような顔をした。

その直後、彩斗が、

「おい、俺のことは心配しなくていい!それより、隣のやつを救助しろ!」

-と少女に怒鳴る。

少女は彩斗を睨んだ後-こっちに向かってくる!

「く、来るなって言ってんだろ!この自転車には爆薬が仕掛けられてる!減速すると爆発するんだ!お、お前も巻き込まれるぞ!」

「-バカッ!」

俺の真上に陣取った彼女は……げしっ! 白いスニーカーの足で脳天を力いっぱい踏みつけてきた。

「武偵憲章1条にあるでしょ!『仲間を信じ、仲間を 助けよ』-いくわよ!」

女の子が気流を捉えてフワッと上昇する。華麗なパラグライダー捌きに、俺は踏まれた怒りも忘れてその光景を見上げてしまう。
なんて運動神経だ。でもスパッツぐらいはけ、とは思う。まあ一瞬で飛んでったから、何も見えやしなかったけど。
ていうか-今の言いぐさ。『いくわよ!』って、何を
する気だ。

少女はグラウンドの対角線上めがけて再び急降下し、こっちへ向けて鋭くUターンする。

そして-ぶらん。

さっきまで手で引いていたブレークコードのハンドルにつま先を突っ込み、逆さ吊りの姿勢になった。そのまま物凄いスピードでまっすぐ飛んでくる。
都合、俺はアイツに向かって走る形になった。

「-マジかよ……!」

相手の意図が分かって、俺は青くなる。こっちが気付いたことに気付いたらしく、少女は、

「ほらバカっ!全力でこぐっ! 」

大声で命令しつつ、逆さ吊りの手を十字架みたいに広げた。

-バカはそっちだ!そんな助けかたがあるか!

もう俺はやけくそでチャリをこぐ。 全速力で!

2人の距離はみるみる縮まっていく。

-上下互い違いのまま、俺は少女と抱き合った。
そしてそのまま、空へさらわれる。息苦しいくらいに顔が押し付けられた少女の下っ腹からは、クチナシの蕾のような、甘酸っぱい香りがして-

ドガアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!

閃光と轟音、続けて爆風。俺が乗り捨てたチャリが、木っ端微塵に爆発したのだ。

あの爆弾はやっぱり本物だった-!

熱風に吹っ飛ばされながら、俺たちは-引っ掛かった桜の木にパラグライダーをもぎ取られ、グラウンドの片隅にあった体育倉庫の奥に突っ込んでいった。
がらがらと音を上げ、何にぶつかったのかも分からず……

-俺の意識は 途切れた。

 
 

 
後書き
誤字脱字はコメントにて。 
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