| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

転生とらぶる

作者:青竹
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

ペルソナ3
  1882話

 ゆかりとラーメンを食べに行った日の夜……影時間に、俺はゆかりと荒垣の2人と共に15階でシャドウ狩りをしながら宝箱を探すという恒例行事を行っていた。

「イオ、ガル!」

 ゆかりの命令に従い、イオが放った風の刃……ガルが、トランスツインズの動きを止め……次の瞬間、ゆかりの放った矢が、数本2匹分の身体に突き刺さり、やがて消えていく。

「あ」

 そうして消えていったトランスツインズを見ていると、ふとゆかりが声を上げる。

「どうしたんだ?」
「アクセル、どうやらイオが新しいスキルを覚えたみたいなんだけど……」

 どこか口籠もるその様子に、首を傾げる。
 イオが新しいスキルを覚えたという事は、恐らくシャドウを倒してレベルアップしたという事だろう。
 以前であれば、俺は他人のステータスを見るという能力を持っていた。
 だが、色々とあって、今の俺が見る事が出来るのは、あくまでも自分のステータスだけだ。
 つまり、ゆかりが……そしてペルソナがレベルアップしても、俺にはそれを知る術は、本人からの申告くらいしかないのだ。
 まぁ、俺が他人のステータスを見る能力を持っていても、ゆかりの能力はともかく、ペルソナの能力までをも見る事が出来たかは……微妙なところだっただろうが。

「で? どんなスキルを覚えたんだ?」
「それが……チャームディってスキルで、仲間の魅了状態を回復するスキルなんだけど……」

 あー、なるほど。何でどこか言いにくそうにしているのか分かった。
 現在イオが使えるスキルは、ディア、パトラ、ガル。
 それぞれ体力の回復、精神的なバットステータスの回復、風の攻撃魔法という具合だ。
 つまり、回復2、攻撃1な訳で……出来ればゆかりとしては、回復2、攻撃2といった具合にしたかったのだろう。

「恐らくイオは、攻撃よりも回復の方を得意とするペルソナなんだろうな」
「……そうか? 寧ろ俺は、物理攻撃の方が得意そうに見えるがな」

 そう告げる荒垣の言葉には、俺も反対出来ない。
 実際、イオの持っている攻撃手段で一番強力なのは何かと言われれば、俺は間違いなく物理的な突進を挙げるだろう。
 巨大な牛の頭蓋骨に乗った、鎖で縛られた女。
 そんな存在が突進してくるのだから、それこそシャドウでなくても恐怖を感じて当然だろう。

「物理攻撃の件は置いといてだ。ゆかりにとっては嬉しくなかったかもしれないが、魅了状態を回復出来るってのは、結構いいと思うぞ」

 魅了に掛かった事はないから、まだ実際にどうなるかは分からない。
 だが、俺の印象で言えば、魅了状態になった奴は基本的に味方に攻撃してくるイメージがある。
 そういう意味では、魅了状態を解除出来るというのは、非常にありがたい。

「そう? 本当にそう思う?」
「ああ。それに荒垣も言ったが、攻撃手段という意味なら、イオの突進は相当の威力を持つ。遠距離攻撃という点でも、イオはガルを持ってるし、ゆかりはショートボウを持ってる。それで、今のところは問題ないだろう?」
「それは……まぁ。けど、それは今だからでしょう? もし封じられている16階よりも上に行けるようになったら、攻撃力不足になると思うんだけど」
「その時は、やっぱりイオの物理的な突進とかを主力として使うとか」
「……あのね、一応私は真面目に相談してるんだけど?」

 それを言うなら、俺だって殆ど真面目にその質問に答えてるつもりなんだけどな。

「とにかくだ。今は必要ないかもしれないが、将来的に必要になる可能性は十分にあるんだから、魅了を解除する手段はあった方がいいだろ」
「それは……まぁ、そうなんだけど……」

 俺の言葉に一理あると理解しつつ、それでも完全に納得出来る状態ではない辺り、ゆかりの複雑な思いがあるな。

「ほら、それより……新しいシャドウが出てきたぞ」

 俺とゆかりの様子を少し離れた場所で見ていた荒垣が、そう呟く。
 その言葉通り、次に姿を現したのは死甲蟲。
 狂愛のクビドなら、見かけからして魅了の魔法を使ってきそうな気がしないでもないんだが……残念。
 いや、もし魅了の魔法を使ってくるにしても、その場合は魅了されるのはゆかりだ。
 そうなると、結局意味はないのか?
 それとも、いっそ荒垣を差し出して魅了状態にするまで待つか。
 荒垣の方に視線を向けるが、その間に既にゆかりと死甲蟲は戦闘状態に入っていた。
 ショートボウを使い、次々に矢を射っては、死甲蟲の関節を狙うゆかり。
 もっとも、ゆかりの腕はかなり立つが、それでも的確に関節だけを狙える程に腕が立つ訳ではない。
 いや、これが弓道場での事であれば、じっくりと狙いを付けて矢を射り、100発100中といった事が出来るかもしれない。
 だが、今のゆかりは、激しい戦闘の中で矢を射っているのだ。
 当然弓道部の時のように、時間を掛けて狙いを付ける訳にはいかない。
 今は、とにかく一瞬で矢を射り、次の矢を番える……といった真似をする必要がある。
 しかも、当然のように1ヶ所にずっといる訳にもいかず、動き回りながらそれを行わなければならないのだ。
 そんな不利な状況であっても、ゆかりは諦めるといった真似をする事はなかった。
 死甲蟲から距離を取り、矢を射る。
 もしくは、イオに命じてガルを使ったり、時には防壁代わりに使うといった真似すらしながら、戦いを繰り広げていた。そして……

「イオ!」

 ゆかりから射られた矢が、死甲蟲の足の関節に突き刺さり、その動きが鈍った一瞬。
 その隙を見逃すような真似をせずに叫んだゆかりの言葉に、イオは忠実に従った。
 牛の頭蓋骨が真っ直ぐに突き進み、死甲蟲の身体に横から思い切りぶつかったのだ。
 もし死甲蟲が万全の状態であれば、それを回避する事も……もしくは、最悪踏ん張って攻撃を受け止めるといった真似も出来だだろう。
 だが、矢が足の関節に突き刺さってる現状では、俊敏に動く事は不可能で、同時に持ち堪えるにも、関節に突き刺さっている矢が邪魔となる。
 結果として、まさにぶちかましと呼ぶに相応しいイオの一撃は、激しく死甲蟲にぶつかり……そのまま、シャドウは消えていく。

「死甲蟲を1人で倒せるようになったのは、かなりの進歩だな」
「そう?」

 俺の言葉に若干の謙遜が入りながらも、ゆかりの口には笑みが浮かぶ。
 死甲蟲は、15階までに出るシャドウの中でも最強のシャドウと言ってもいい。
 勿論戦闘の相性というのがある以上、最強というのは人によって色々と違う。
 ゆかりにとって、もっとも相性の悪い敵が、その死甲蟲だったのだ。
 思い切りパワーファイターといった感じの敵だし、弓を使って後衛を任されているゆかりにしてみれば、非常に厄介な相手であるのは間違いないだろう。
 それだけに、ゆかりも炎獣のフォローなしに、自分の力だけで死甲蟲を倒せたのは嬉しかった筈だ。

「けど、ゆかりが死甲蟲を倒せるようになった事で、新たな問題も出来たな」
「……16階より上、か」

 俺の言葉に、荒垣がそう告げる。
 どうやら荒垣も理解していたらしいと、頷きを返す。

「そうだな。現状行ける中で一番難易度の高いこの15階で、最強のシャドウの死甲蟲を倒せるようになった」

 これは凄い事ではあるが、同時に最強の相手を倒してしまったが故に、次の倒すべき敵がいないという事も意味している。まぁ、勿論すぐって訳じゃないし、死甲蟲を相手にする場合でも今回みたいに1匹だけじゃなくて、数匹纏めて……とか、そういうのはまだ残ってるが……けど、今のゆかりの状況を考えると、早晩頭打ちになるのは間違いない。
 となると、やっぱり可能な限り早く16階の封印をどうにかしたいんだが……さて、どうしたものやら。
 俺が強引に封印を破壊するというのは、間違いなく悪手だ。
 であれば、やはり原作通りの流れにすればいいんだが……果たして、その原作の流れだと、いつ16階の封印が解かれるのやら。
 恐らくこの原作の主人公と思われる有里も来たんだし、そろそろどうにかなってもいいと思うんだが……

「いっそ、アルマーが岳羽の相手をすればいいんじゃないか? 幸い、アルマーはその辺のシャドウよりも強いんだし、特に問題ないと思うが。それに、アキにも訓練を付けてるんだから、それくらいは構わねえんじゃねえか?」
「それは構わないが、問題なのは戦闘スタイルだよな。真田の場合は、まだ前衛同士という共通点がある。……それでも拳と槍だと、間合いに相当の差があるんだが、それはともかく」

 そう言い、どこか期待の視線をこちらに向けているゆかりを見ながら、口を開く。

「ゆかりの場合、基本的には弓での攻撃だろ? 生憎と、俺は弓を使った事は殆どない。銃ならともかくな」

 そう告げ、シャドウミラーで作られた拳銃をゆかりと荒垣の前に出してみせる。
 以前俺が使うか? とゆかりに聞いた時に見せたので、ゆかりは特に驚いた表情を浮かべてはいなかったが、荒垣は俺が空間倉庫から拳銃を取り出したのを見て、驚愕に目を見開く。

「ちょっ、待て。お前、何で銃なんか持ってるんだよ?」
「何でと言っても……必要だから?」
「……お前、本当に何者だ?」
「それは今更の質問だろ。ペルソナ使いが集まっているこの地域に、ペルソナ使いじゃないにも関わらず、シャドウを倒すだけの実力を持った、正体不明の人物なんだから」
「正体不明って、自分で言うのかよ」

 呆れを込めてそう告げてくる荒垣だったが、それが実際の話なんだよな。

「自分で言うも何も、事実だからな。で、そんな俺なんだから、銃の1つや2つくらい持っていてもおかしくはない」

 もっとも、正確には1つや2つどころじゃないんだけどな。
 色々な場所から奪ってきた銃火器が大量にあるし、普通の人間では自分だけで持つのは難しい重機関銃とか、そういうのすら持ってるし。
 ……それを言うのなら、ジェネシスを忘れる事も出来ないか。
 そろそろ、本当にジェネシスをどうにかした方がいいと思うんだが。
 今なら、おまけにバルジも付いてきます的な。

「とにかく、銃とかに関しては気にするな。実際、ゆかりは気にしている様子もないだろ?」

 そう言いながらゆかりに視線を向けると、そこではゆかりが苦笑を浮かべていた。

「アクセルの場合、気にしてもしょうがないってのが大きいと思うんだけどね」

 まぁ、ゆかりの場合、俺がこのペルソナ世界の外から来た存在だって知ってるし、火星まで連れて行ったりしたしな。
 実際に火星に行ったという現実がある以上、ゆかりが俺の事について気にしてもしょうがないと思ってしまうのは、ある意味当然なのだろう。

「随分と付き合いがいいな。……だが、拳銃を人前で出すような真似は、しねえ方がいいぞ。もっとも、俺が言うまでもなくその辺りは分かってるんだろうけどな」
「俺だって、信頼してない奴の前で、こんな事をするつもりはないさ。……どのみち、銃火器の方はあまり使うつもりはないし」

 俺が今まで経験してきた物騒な世界と違い、この世界では当然のように日本で銃火器を見るような事はない。
 勿論今までにもそういう世界はあったのだが……何だかんだと、俺が戦いのど真ん中にいたせいか、あまりそういう認識はなかったんだよな。

「なら、いいさ。……それで、これからどうする? 影時間になって、それなりに経ったが」

 荒垣が話題を変えたのは、俺に取っても幸運だった。

「そうだな、そろそろ出るか。収穫もそれなりにあったし」

 15階を探索していた俺達だが、別に戦闘だけをしていた訳ではない。
 いつものように宝箱を探したりもしたのだが、それで当然のように魔法の封じ込められた宝石や、妙な飲み物、食べ物といった物も見つけてはいる。
 個人的には、そろそろ現金とかも欲しいところだが……ん? 待てよ? 15階で現金が出た事はあったか?
 いや、なかった気がする。
 だとすれば、もしかしてタルタロスってのは階層によって出るアイテムが違う……のはともかく、現金が出る階層と出ない階層ってのもあるのか?
 もっとも、タルタロスで普通に現金が出てくるという時点で、色々とおかしいのだが。
 この辺り、ちょっと真面目に考えてみた方がいいかもしれないな。
 取りあえずタルタロスで得た現金は、普通に使えるという事が判明している。
 そこからして、本当におかしいんだし。

「ま、とにかくタルタロスの中で影時間が終わればどうなるのか……気にはなるけど、それを体験してみたいとは思わないしな。そろそろタルタロスから出るとしようか」

 その言葉に、ゆかりも荒垣も反対する筈がなく……俺達は、そのままターミナルを使ってエントランスに出て、タルタロスから出る。
 ちなみに桐条パーティはタルタロスに挑んではいなかったのか、それとも行き違ったのか……エントランスで遭遇する事はなかった。
 まぁ、順平との関係を考えれば、それで良かったのかもしれないが。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧