レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二十八話 団長の依頼その九
「だからな」
「我等が怪盗を捕らえてもそれが出来なくとも」
「認める」
「有り難きお言葉」
「それではな」
こう話してだ、そしてだった。
進太が旅に出ることは決まった、そのうえでだった。
謎の怪盗から聖なる鎧を護ることとなった、それで久志達はまずは聖なる鎧を保管している場所に案内してもらうことになった。
案内役の騎士がだ、内城の廊下を久志達より先に進みつつ言ってきた。
「団長から鎧についてお聞きでしょうか」
「少しだけな」
久志は自分のすぐ前を進みつつ振り返ってきた騎士に答えた。
「聞いてるぜ」
「そうですか」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「少しだけだぜ」
聞いたことはというのだ。
「キリスト教の神様がくれたものだな」
「古の伝説の騎士に」
「それでその騎士さんは鎧を着てか」
「戦場を駆け多くの戦で騎士団を勝利に導きました」
「どんな刃も衝撃も術も弾き返してだよな」
「寄せ付けず」
それでというのだ。
「無敵の強さを誇りました」
「それで今はか」
「我が騎士団の至高の宝の一つです」
まさにというのだ。
「そうなっています」
「そうですか」
「はい、そうです」
そしてというのだ。
「その鎧にです」
「予告状が来てか」
「お護りして頂きたいのです」
「盗まれたら困るってことだな」
「そうです、ですから」
「怪盗を捕まえて欲しいか」
「宜しくお願いします」
こう久志に言った。
「その予告の時は」
「わかったぜ、じゃあな」
「はい、それでは」
「今からだよな」
「聖なる鎧のところに案内させて頂きます」
こう話してだ、一行はその聖なる鎧の前に案内された。様々な見事な身体が展示されている宝物部屋にだった。
様々な刀剣や槍、弓矢に盾に甲冑等が置かれていた。
そしてだ、部屋の中央にだった。
虹色に輝く鎧があった、その鎧を見てだ。
久志は目を瞠ってだ、こう言った。
「これはな」
「凄いですね」
「ちょっとない鎧だね」
「ああ、金属がな」
鎧のそれがとだ、順一と源三に話した。
「こっちの世界にはないやつだな」
「オリハルコンかというと」
「また違うんだな」
「オリハルコンは金色に輝くんだ」
この金属はというのだ。
「その色にね」
「ああした輝きじゃないんだな」
「凄い金属にしてもね」
それでもというのだ。
「また違うんだ」
「じゃあ何の金属なんだ」
「さて、何かな」
「錬金術師でもわからないか」
「どうもね」
源三は首を傾げさせつつ久志に答えた。
「わからないよ」
「まさに神様の金属か」
「そうとしか思えないよ」
「こんな鎧もあるんだな」
正も驚きを隠せない顔で言った。
「いや、俺もな」
「はじめてか」
「見たぜ」
そうだというのだ。
ページ上へ戻る