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レーヴァティン

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第二十八話 団長の依頼その七

 己の前に片膝を付いた一行にだ、男はこう言った。
「立つのだ」
「わかりました」
「そしてだ」 
 男は進太にさらに話した。
「話を聞きたい」
「それでは」
 進太が応えてだ、この度のことを話した。すると。
 男、団長だと進太の話の前にこのことを話したがここでだ、こう言った。
「時が来たか」
「そうかと」
 進太は団長に答えた。
「拙者が旅立つ時が」
「ではだな」
「こちらの方々がです」
 久志達四人を指し示して話す。
「その方々です」
「外から来た、か」
「はい、拙者と同じく」
「その剣か」
 団長は己の座から久志の腰にある剣を見て言った。
「あのレーヴァティンか」
「わかるか」
「聞いている、見事抜いた者がいるとな」
「それが俺ってことさ」
 久志は明るい笑みで自分自身を右手の親指で指し示して団長に言った。その表情も明るい。
「偶然か運命か知らないけれどな」
「レーヴァティンを抜いたか」
「そうさ、そしてな」
「二つの島、ひいては世界を救う為にだな」
「今は仲間を集めてる最中だよ」
「そしてか」
「こいつにも来てもらいたくてな」
 進太に目を向けつつ団長に笑みを浮かべて述べた。
「今日ここに来たって訳さ」
「そういうことだな」
「それで返事を聞きたいんだけれどな」
「いい、だが」
「それでもかよ」
「一つ頼みたいことがある」 
 団長は久志だけでなくそこにいる彼の仲間達、そこには進太もいるがその彼に対しても言った。
「それをしてから旅に出てくれるか」
「何だ?モンスター退治か?」
「いや、警護」 
 頼みたい仕事はこちらだというのだ。
「それを頼みたいのだが」
「人か、それとも宝ものか?」
「宝だ」
 それだとだ、団長は久志に答えた。
「実はこの城にある我等の財宝に聖なる鎧というものがあるが」
「聖なる鎧か」
「古にキリストの神が造られある騎士に授けられたという」
「聖剣が鎧になった感じだな」
「簡単に言うとそうなるだろうか」 
 団長も否定しなかった。
「あらゆる刃も打撃も術も通さずはね返しすらする」
「魔法の鎧ってことか」
「その鎧を盗むと予告状が来たのだ」
「初耳ですが」
 そのわを聞いてだ、進太は驚きの声をあげて団長に言った。
「その様な話は」
「当然だ、一刻程前に私が部屋にいた時にだ」
「団長のですか」
「そこにいた時にだ」
「予告状が来たのですか」
「私の窓と窓のその隙間に投げられてきた」 
 その予告状がというのだ。
「不意にという感じでな」
「そうだったのですか」
「それで今はじめて話す」
「そうでしたか」
「そしてだ」
 団長は久志達にさらに話した。
「それは今夜だが」
「今夜にですか」
「聖なる鎧を護って欲しいのだが」
「騎士団の騎士の人達だけではだね」
 源三は団長のその目を見て口元だけ笑わせて尋ねた。 
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