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ヘタリア大帝国

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157部分:TURN15 ハニートラップその七


TURN15 ハニートラップその七

 そしてそのうえでだ。こう彼に答えたのだった。
「工作員は顔が知られてはだな」
「何にもならないからな。ビッグ=ゾルゲの様な怪物でもない限りな」
「あの男は我が国にも工作を仕掛けている」
「こうした相手はゾルゲと比べれば楽だ」
 東郷は落ち着いた物腰にもなっていた。
「この写真はさらに広めよう」
「それで話が済むのならな。貴様に任せる」
「そうしてくれるか。ただしな」
 ここでだ。少し苦笑いになる東郷だった。そのうえで言うことは。
「騒ぐ面々もいる」
「秋山か」
「あとは宇垣さんだ。おそらく言った傍からな」
「長官、またですか!」
「こら、東郷!」
 部屋に秋山が駆け込んできたのとテレビ電話のモニターに宇垣が出て来たのは同時だった。まさに言ったすぐ傍から出て来た二人だった。
「貴方という人は!今度は幼女ですか!」
「ガメリカでも話題になっているぞ!貴様という奴は!」
「この二人だけが問題だ」
「それ位は何とかしろ」
 山下はこkどえは淡々としていた。東郷はこの騒動の一番の難題に直面した。
 だがそれはあっさりとかわしてだ。東郷の作戦通りだ。ツーショットは日本中、それも占領地全土にあっという間に広められた。ネットを使って。
 それは当然北京でも同じでだ。誰もがハニートラップを見て言った。
「おい、あの娘だぞ!」
「東郷長官と一夜を過ごしたのは!」
「ああ、間違いない」
「あの娘だ!」
 どんなに隠れてもだ。その顔はあまりにも知れ渡っていた。その為だ。
 ハニートラップはそれこそ国家並の有名人になってしまった。誰もが彼女を見て追っかける。
「写真以上に可愛いじゃないか」
「っていうかフリーなんだろ、フリー」
「だったら俺付き合ってみたいな」
「俺もだよ」
 妻も彼女もいない面々はこう言ってだ。彼女を殊更に追っかけた。こうしてだ。
 工作どころではなくなりだ。ハニートラップは潜伏するしかなくなった。
 北京の安アパートの一室に潜んでだ。ノートパソコンでランファに言っていた。
「もう何よ!あたしアイドルじゃないのよ!」
「まさかああしてくるなんてね」
「あいつスキャンダルに凄く強いじゃない」
 ランファに対してだ。口を尖らせて言っている。
「普通あれで失脚よ」
「樋口なんかはデート写真こっそり見せただけで寝返ったのにね」
「あいつ全然平気じゃない。そんなに女遊び派手な奴だったの」
「何か日本一の遊び人らしいわよ」
「って、そのうえで海軍長官やってるんなら」
 うんざりとした顔、とりわけ目がそうなって言うハニートラップだった。
「意味なかったのね」
「ううん、そうだったみたいね」
「とにかくね。あたしもう動けなくなったから」
 それでだというのだ。
「あんたはあんたで頑張ってね」
「ええ、そうするわ」
「そっち大丈夫なの?」 
 ハニートラップは真面目な顔になった。そのうえでランファに尋ねたのだ。
「南京の方は。香港とマカオが奪われたけれど」
「正直。日本軍は予想以上の強さね」
 ランファはその可愛らしい感じの顔を曇らせてきた。
「結構やばいわ」
「ああ、やっぱりそうなの」
「南京にはありったけの艦隊をかき集めてるけれどね」
「どれ位?」
「六十個艦隊。これで迎え撃つから」
「頼んだわよ、そっちは」
「ここで食い止めるから」
 ランファも決死の顔になっている。
「そっちはとりあえず大人しくしておいてね」
「そうさせてもらうわ。仕方ないわね」
「ええ、それじゃあね」
 こうしてだった。二人はノートパソコンでのやり取りを終えたのだった。そうしてだ。
 ハニートラップはパソコンの電源を落とすとふて腐れた顔でベッドの中に入った。そしてそのまま今のところは引き篭もるのだった。それしかないからだ。
 
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