銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
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第二十五話 脱出!いいえ放流です
第二十六話 第四次イゼルローン攻防戦が未だ書けないのに、第27〜29話が完成している。
26話を一時飛ばして掲載しようか考え中。
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第二十五話 脱出!いいえ放流です
帝国暦478年 7月10日
■オーディン 宇宙艦隊第2宇宙港 オスカー・フォン・ロイエンタール
俺は今日ほど軍務省、統帥本部、宇宙艦隊司令本部そして叛徒共に感謝することはないだろう。
あの魔王から俺を救ってくれたのだから。大神オーディンよ今日ほど貴方に感謝したことはない。
思えば二年前新学期に調子に乗り武術授業で優勝したのがケチの付き始めだった。
今日の惨状を思えばあの時、鶏冠頭に負けていれば良かったのだ。
今更思うが一生の不覚だ。
翌年の新学期は校長とシュターデン教官の尽力で魔王が来ないと知ったときは、2人に感謝したものだ。
所が魔王は卒業式にやって来た、目の前が暗くなった何故なら俺はクラスヘッドだったのだ!
魔王が恩賜の短剣授与をすると聞いたとき、俺はそのまま腹痛で逃げようとしたくらいだ。
配属先は士官学校の下馬評で魔王の侍従武官という話がまことしやかに流れたため、卒業式に無理矢理校庭に連れ出され30回にも及ぶ胴上げをしまくられたあげく最後にプールへ叩き込まれたのだ!
あの伯父も侍従武官に成るようにと運動し始めたが、俺自身が宇宙艦隊に配属されなければ任官拒否して実家経営の鉱山に住み着くと我を通しまくった。
危ういところであったが、叛乱軍がイゼルローンヘ侵攻するとの情報が入り、宇宙艦隊司令本部、軍務省、統帥本部で新規卒業士官の艦隊による研修が決まり成績優秀者は例外なく全員旗艦に乗艦するように決まったのである。
此で最低でも4ヶ月は魔王から逃れられるし、イゼルローンなら女共も噂は知らんだろう。
エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、ベヒトルスハイム元帥そして叛徒の指導者よ。
ありがとう本当にありがとう!
■オーディン 宇宙艦隊第2宇宙港 フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト
いやー良かった任官直後に仮配置とは言え宇宙艦隊旗艦に配属とは嬉しい限りだ。
本来なら新規士官は一年間デスクワークと言うのがこの所のパターンだったからな、はっきり言って俺は机に向かうのが苦手だデスクワークなんぞ、やってられるか!
所が叛乱軍のイゼルローン攻撃が有るからと旗艦勤務だ、いやはや楽しみだ。
ロイエンタールも奴らしくない機嫌の良さだな。
■オーディン 宇宙艦隊第2宇宙港 アウグスト・ザムエル・ワーレン
今回いきなりの出陣に驚いた。
本来なら一年はデスクワークでゆっくり出来ると思ったのだが当てが外れた事に成る、リーザとの新婚旅行も暫くはお預けだ、早く帰れれば良いが叛乱軍めこんな時に攻めてくるな!
■オーディン 宇宙艦隊第2宇宙港
近日中にイゼルローンに叛徒共が大規模侵攻を行う可能性大と情報部及びフェザーンなどの情報によりイゼルローンヘの増援部隊の派遣が始まった。
指揮官はグレゴール・フォン・ミュッケンベルガー大将、艦艇15500隻、兵員163万9000名である。
その艦隊の中に478年度士官学校卒業生達が配属されていた。本来ならば一年間はデスクワークすることが普通であるが成績優秀者に戦闘を感じさせるまたとない機会として旗艦勤務として上位20人が辞令を受けた。又その他卒業生もイゼルローンにて戦場の空気を感じる物として派遣される事が決まった。
そして旗艦配置の卒業生の中にオスカー・フォン・ロイエンタール、アウグスト・ザムエル・ワーレン、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルトの3名も居た。
「おうロイエンタール今回の出兵で艦隊戦はあるかな?」
一人うきうきするビッテンフェルト。
「どうだか判らんが出陣は良い物だ」
なぜかホッとしにやけるロイエンタール。
「相手が居ることだ、こちらの都合では動いてくれまえ」
一寸憮然な態度のワーレン。
「其れはそうだがワーレン、出来ればドカーンとでかいのを見てみたいじゃないか」
「花火では有るまいしそう簡単にはいかんよ」
「ロイエンタールの言う通りだな」
「そんなもんか、つまらん」
「そろそろ出発だビッテンフェルト置いていくぞ」
「ああ置いていくか」
「ちっ判った」
■オーディン グリンメルスハウゼン子爵邸
「テレーゼ様ロイエンタール達を武官就任させず前線へ向かわして宜しかったのですか?」
ケスラーが新規士官の書類を見せながら聞いてくる。
「いいのよ、私の武官としたり近衛にしたら、宇宙の気を吸えないでしょ。
実戦経験が無いと頭でっかちの養殖物に成ってしまうわ、今必要なのは天然物の人材なのよ。
シュターデンみたいに理屈だけの単細胞馬鹿は御しがたいでしょ。
それじゃ駄目なんだよね実戦で鍛えた技と勘が必要でしょう」
「其れで敢えて前線へ送るように陛下の勅命まで頂いたのですか?」
ケスラーその位で驚いては駄目だよ。
「今回は成績優秀者は旗艦で仕事その他はイゼルローン内で見学って形に命令してるから、戦場の気を知るには一番だと思ってね、所謂社会科見学ですよ」
「つまりはテレーゼ様の手の内で踊っていると」
「悪辣かも知れないけど、こうでもしないと駄目なのよ。
敢えて心を鬼にして千尋の谷に突き落とすのよね」
「そう言うお気持ちでしたか」
「そそ。半年後に帰投するから其れから本番ですね」
「諒解しました」
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