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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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6章~奇跡の邂逅~ 第137話

庭園に仲間達と共に戻ったリースが封印石を解放するとエステル達にとって見覚えのある3人の人物が光から現れようとした。



~隠者の庭園~



「あ………」

「やはり彼女も巻き込まれていたようですね。」

「そう、ですね。彼女は私達と同じ”メルカバ”に、いたのですから。」

「フム………”異なる縁”という言葉から予想はできていたが、やはり彼らだったか。だが……」

「異世界出身の御二方と共に現れたという事はレイシスお兄様も……」

「殿下………」

封印石が解放され、光の中から現れようとした人物達を見たエステルは呆けた声を出し、イオンの言葉にアリエッタは頷き、リシャールは納得した様子で呟いた後真剣な表情で考え込み、不安そうな表情をしているクローゼの様子をユリアは心配そうな表情で見守っていた。そしてそれぞれの光の中からリオン、ソフィ、レイスが現れた!

「何だ、今の光は……?まさか………襲撃か!?何の目的で僕を―――――…………何?」

「眩しかった………イオン、アリエッタ、今の光は何………?…………え。」

「くっ……今の光は閃光弾か……!?――――何者だ!……………な。」

それぞれ地面に跪いていたリオン達はすぐに立ち上がったり戦闘態勢に入ったりしたが、エステル達に気づくとそれぞれ呆けた声を出した。

「ふっ、異世界の英雄たるリオン君とソフィ君もさすがにこの状況は戸惑って当然だろうね。―――いや、”レイシス王子殿下も”というべきかな?」

「もっと他にも聞き方というものがあるだろうが………この場には王太女殿下もいらっしゃっているのだぞ?」

静かな笑みを浮かべて髪をかきあげたオリビエの言葉にミュラーは顔に青筋を立てて指摘し

「?オリヴァルト殿下、その言葉は一体どういう意味……―――いや、それ以前にこれはどういう状況なのだ……?」

「どうしてエステル達が”メルカバ”に……ううん………ここってどこ??」

「それは僕のセリフだ………おい、これは一体どういう状況なんだ?」

オリビエの言葉に反応しかけたレイスだったが周囲の状況に気づくと困惑の表情をし、不思議そうな表情をしているソフィの言葉に指摘したリオンはエステル達に問いかけた。その後エステル達は事情をリオン達に説明し、更に初対面の人物達はそれぞれ自己紹介をした。



「”影の国”………ゼムリア大陸とはまた異なる世界………やっぱり、世界を移動する方法はあるんだね。」

「人の想念によって変容しうる世界か………言葉通りまるで”夢のような世界”だね。」

「フン、”夢”どころか”悪夢”と言ってもおかしくないだろう。話に聞くところその”影の王”とやらはある意味エルレインと似た存在で、相当性質の悪い存在のようだな。」

(確かに自分の都合で歴史を改変したエルレインと共通している部分はありますね………という事は今回の件、前回の”異変”より厳しい状況と考えた方がいいかもしれませんね。)

事情を聞き終えたソフィは静かな表情で呟き、考え込みながら呟いたレイスの言葉に指摘したリオンは目を細め、シャルティエは真剣な様子で考え込んでいた。

「――――状況は理解した。リベール王家の一員として……そしてかつての仲間として、今後の探索に喜んで協力するよ。」

「勿論私も協力するよ。私もこの”影の国”からは脱出したいし、友達のエステル達も助けたいし。」

「フン、貴様らと協力しなければ、元の世界に戻る事が厳しい事くらいは理解している。仕方なく協力してやるから、ありがたく思え。」

「あ、相変わらず素直じゃないわね~………ま、いいわ。3人とも、よろしくね!」

「ハハ、3人の実力を知っている俺達からすれば、相当心強い加勢だな。」

「そうね………ソフィは一人であたし達を圧勝したし、リオンはあの”剣帝”と一騎打ちの上勝利したし、王子殿下に関しては剣を使っていた頃のカシウス先生に一本取れる程の腕前だものね。」

「ア、アハハ………どの人達もとんでもない実力者ですね……」

「へえ………という事は戦力面で言えば、相当強化されたね。」

レイス達の協力の申し出を聞いたエステルはリオンの態度に苦笑した後笑顔を浮かべ、ジンの言葉に苦笑しながら同意したシェラザードの言葉を聞いたアネラスは冷や汗をかいて苦笑し、フィーは興味ありげな表情でレイス達を見つめながら呟いた。



「うふふ、それよりもレイスお兄さんがソフィお姉さん達と一緒に解放された事で、レンの推測が正解していた事が証明されたわね。」

「………?それは一体どういう意味だい?」

「レン………」

「あら、レンはどんな推測をしたのかしら?」

レンの言葉にレイスが不思議そうな表情で問いかけている中ヨシュアはクローゼ達を気にしながら複雑そうな表情をし、ユウナは興味ありげな表情でレンに問いかけた。そしてレンは事情の知らないルーク達に自身の推測――――ルークが異世界の人物である推測の一つがかつて戦った”輝く環”を取り込んだワイスマンの絶対障壁を破った事で、ルークと一緒に絶対障壁を破ったレイスも異世界の人物である事を推測していた事を説明した。

「なっ!?そんなにも前から、俺がゼムリア大陸の人間じゃないって、推測していたのかよ!?」

「ホント、ルークの妹とはとても思えないくらい賢いかつ腹黒い妹よねぇ?」

「全くですね。ほんの一部でもレンのような思慮深さが貴方にあれば、私達ももっと楽ができたかもしれませんね。」

「フッ、そういう意味で言えばアッシュにももっと思慮深さがあるべきだったな。」

「あ~……その意見には同感だ。何だかんだ言って、あいつも結構ルークと似ていたからな……」

「そうね……今思い返してみると口の悪さに関してはアッシュの方が上だったわね。」

「みゅ~……それにアッシュさん、いつも怒っていて、怖かったですの。」

「妻の私の目の前で夫の悪口は止めてくださるかしら?とはいえ、口の悪さに関しては直して欲しいとは思っていますが……」

レンの説明を聞いて驚いているルークにジェイドとアニスはそれぞれ意味ありげな笑みを浮かべて指摘し、静かな笑みを浮かべて呟いたバダックの言葉にガイは苦笑しながら、ティアは呆れた表情で、ミュウは不安そうな表情でそれぞれ同意し、バダック達をジト目で見つめて指摘したナタリアだったがすぐに疲れた表情で溜息を吐いた。



「まさかたったそれだけのヒントで、そこまでの”答え”を出すなんてね………ハハ、相変わらずとても賢いお嬢さんだね。」

「!という事はまさか王子殿下も……!」

「異世界の方……なのでしょうか?」

苦笑しながらレンに感心しながら呟いたレイスの言葉を聞いたユリアは血相を変え、クローゼは不安そうな表情でレイスに訊ねた。

「ああ。―――とは言っても、生きた状態で異世界に来たり、死んだはずなのに生き返った状態で異世界に来た彼らの”事情”とはまた異なるがね。」

「それはどのような事情なのでしょうか?」

レイスの答えが気になったリシャールはレイスに問いかけた。

「そうだね…………バダックさん達のように、以前いた世界で死亡した事は共通しているが、私の場合このゼムリア大陸で生を受けた時から私の意識が覚醒していたんだ。」

「”転生”………」

「”転生”?何だそりゃ?」

「”転生”とは”死亡した存在が新たなる存在に生まれ変わる”事よ。七耀教会でも、”転生”は存在していると伝えられているのだけど………」

レイスの話を聞いてふと呟いたリースの言葉が気になったフレンの問いかけにアーシアが答え

「―――またの名を”輪廻転生”ね。東ゼムリア大陸の国々でもそのような考え方が伝わっている事を何度も耳にしたわ。」

「東ゼムリア大陸ではそのような考え方が伝わっているのですか………」

アーシアに続くように答えたリーゼロッテの話を聞いたロイドは驚きの表情をした。



「そう言う訳だから、私は彼らと違い、一応正真正銘のゼムリア大陸で生を受けた人物さ。……今まで隠していてすまなかったね、クローディア。」

「いえ……そのような普通に考えれば信じられない事情があったのですから、お兄様が事情を隠していても仕方ありませんし………それに、お兄様が私の兄である事は変わりありません。」

「………ありがとう、クローディア。」

クローゼに謝罪したレイスだったがクローゼに微笑まれると感謝の言葉を述べた。

「うふふ………そう言えば王子様はレン達との戦いで戦闘能力が低下していたとはいえ、ユウナ達に一太刀浴びせた上、”中枢塔(アクシスピラー)”ではブルブランの片目を奪ったそうだけど……それ程の腕前があった理由ももしかして、”一度死ぬ前の世界”で結構な使い手だったからかしら?」

「ユ、ユウナちゃん!?」

「双子だけあって、レン同様聞き辛い事を平気で聞きやがるな……」

「しかも何でそんなに仲が悪いのかって思うくらい、性格も似ているしね。」

「”同族嫌悪”じゃないですか?私達の傍にもそのような人物達がいましたしねぇ。」

「確かに二人は顔を合わせれば、いっつも喧嘩をしていましたしねぇ?」

「何でそこで俺を見るんだよ………!」

意味ありげな笑みを浮かべたユウナの問いかけにティータが驚いている中、呆れた表情でアガット共に溜息を吐いたジョゼットが呟いた疑問に呆れ半分の様子で答えたジェイドは意味ありげな笑みを浮かべたアニスと共にルークに視線を向け、視線を向けられたルークは顔に青筋を立て、その様子を見守っていた多くの人物達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「ハハ、さすが”お茶会”の”主催者”だね………まあ、以前の世界でも自分の剣の腕前にそれなりに自身があった事は否定しないよ。一応以前の世界では魔物が跋扈する世界中を一人で旅をできるくらいの剣の腕前はあったしね。」

「”魔物”……という事はゼムリア大陸にいるような”魔獣”ではなく、この”影の国”にいるようなゼムリア大陸には存在しない魔獣の事でしょうか?」

レイスの話を聞いてある事に気づいたヨシュアはレイスに訊ねた。

「ああ、一部似たような存在の魔物はゼムリア大陸にもいたが、大体は合っているよ。それどころか魔物の中には亡霊や竜もいたな。」

「ぼ、亡霊に竜って………」

「ハッハッハッ、異世界もこの”影の国”に負けず劣らずファンタジーな世界のようだね。」

「ちなみに私の世界の魔物達の中にも亡霊や竜もいるよ。」

「ハハ、俺達の世界の魔物にも亡霊や竜はいたな。」

「ああ………というか、亡霊は大した事なかったけど、竜系の魔物は色々と厄介だったよな……」

「フン、魔物の事情に関してはどの世界も大して変わらないな。」

(というか、エステル達は僕達の世界が進んでいるような事を言っていますけど、僕達からすれば魔獣避けの街道灯があるお陰で戦闘技能がない人達でも街の外を出歩けるゼムリア大陸の方が色々と進んでいますよねぇ。)

レイスの答えを聞いたその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エステルはジト目になり、オリビエは呑気に笑い、ソフィの話に続くように答えたガイの言葉を聞いたルークは疲れた表情で呟き、ソフィ達の話を聞いたリオンは鼻を鳴らし、シャルティエは苦笑し、エステル達は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。



「そう言えば、異世界の方達で気になりましたけど………王子殿下もルークさん達のように世界の命運をかけた戦いに関わっていたのでしょうか?」

「ああ………――とは言っても、私は最後の決戦まで戦い抜いたルーク達と違って道半ばで倒れてしまったがね。」

「そいつは………」

「お兄様………」

「剣を使っていた頃のカシウスさん相手に一本取った事がある程の凄まじい使い手である王子殿下が道半ばで倒れてしまうなんて、王子殿下のいた世界の命運をかけた戦いの相手はそんなにも強力な相手だったんですか……?」

カリンの質問に静かな表情で答えたレイスの答えを聞いたその場にいる多くの者達が血相を変えている中ジンは真剣な表情をし、クロ―ゼは辛そうな表情をし、アネラスは信じられない表情でレイスに問いかけた。

「ああ。とは言っても私の場合、習得していた”極光術”が中途半端だった事が一番の原因だったが……それも全て私の以前いた世界で唯一”敵”の存在に気づき、世界中が”世界を破滅させようとしている敵”がいるという彼らの主張を信じない中自らの手で世界を救おうとした彼らが正しかった事に気づく事が遅かった私の愚かさが招いた事だから、私の場合は自業自得さ。」

「殿下………」

「”極光術”………もしかして、ルークさんと一緒に”輝く環”を取り込んだワイスマンが展開した絶対障壁を破った”力”の事かしら?」

レイスの話を聞いたユリアが辛そうな表情をしている中、ある事に気づいたアーシアはレイスに訊ねた。

「ああ、”極光術”とは――――」

そしてレイスは”極光術”とは、レイスがいた世界の神の力であり、世界に存在するあらゆる種類の昌霊を体内で”フリンジ”―――干渉させ、新たな昌霊術を生み出す究極の力で、”極光術”の使い手は非常に限られた”極光術”の素質ある者しか習得できない事を説明した。



「か、神の力……!?」

「しかも世界に存在する昌霊―――恐らくこちらの世界で言う”霊力”を体内に取り込んで、新たなる”力”を生み出す技術ですか………技術としては”神降ろし”に近いように感じますが………」

「神自身を憑依させる訳ではないから、恐らく”霊力の集束技術の究極技術”と言った所だと思うわ。」

レイスの説明を聞き終えたエステルは驚きの声を上げ、信じられない表情をしているリースの推測にアーシアが静かな表情で訂正の指摘をし

「それにしても、”昌霊”ですか……話に聞くところ私達の世界で言う”音素(フォニム)”ともかなり共通していますが、何か関係があるのでしょうか……?」

「しかもレイシス王子もそうだが、ソフィやリオンの世界でも俺達の世界の”譜術”と同じ効果や名前の”術”があるとか、どうなってんだよ………」

「そうね……中には”大譜歌”や”禁譜”の術まで、他の世界では普通の術として扱えるから、色々と気になる事はあるわね。」

「中将はもしかして何か知っているんじゃないんですか~?」

「いえいえ、さすがに異世界の事になると私もお手上げですよ。いや~、今回の”影の国”の件といい、私はあまりお役に立っていませんから、寄る年波には勝てない事を今回の件で自覚させられましたよ。ハッハッハッ。」

「その年齢を詐称しているとしか思えない外見でよく言うよ……」

「アハハ……そういう所も相変わらずですね、ジェイドは。」

「ジェイドさんは”色々な意味”で何年経っても変わらないから、ジェイドさんですの!」

ナタリアの疑問に続くように疲れた表情で答えたルークの言葉に頷いたティアは考え込み、アニスに視線を向けられたジェイドは呆れ半分の様子で答えた後呑気に笑って答え、ジェイドの”寄る年波には勝てない”という答えにその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中ガイは呆れた表情で指摘し、イオンは苦笑し、ミュウは無邪気な様子で答えた。



「コホン……それはともかく、”黒騎士”の言葉を考えると次の”星層”は恐らくレイシス王子殿下達が関係してくる場所の可能性が高いだろうな。」

「ん。『まずは3つの異なる縁を開く”鍵”たる駒達を手に入れ、挑むがいい』って言っていたから、間違いなく今回”解放”した人達が関係しているだろうね。」

「それと黒騎士は『次なるは『(えにし)の道』。過去の因縁に立ち向かいながら縁の駒を揃えるがいい。』とも言っていたから、恐らく次の”星層”で解放される人達はレイシス王子殿下達と深く関わり合いがあったレイシス王子殿下達が元いた世界の人達の可能性が高いでしょうね。ただ、その後に言った言葉が気になるけど………」

「『3つの異なる縁が重なれば、新たな道が開かれ、こことは似て非なる世界にて奇蹟の”絆”を結びし”双界の太陽”と光と闇の狭間に生きし覇王の娘にして滅びし里の花の魂の継承者たる”闇の白き花”、そして”本来の道とは異なる道”を歩み続けている英雄の一人にして3つもの大戦を僅かな期間で終結へと導いた”灰の剣聖”も手に入るだろう。』、ね。うふふ、この中の人達とも関わりがある言葉も混じっていたから色々な意味で気になるわね。」

咳ばらいをして話を戻したリシャールの推測にフィーは頷き、考え込みながら呟いたリーゼロッテに続くように答えたユウナは意味ありげな笑みを浮かべた。

「フム、特に『滅びし里の花の魂の継承者』と『灰の剣聖』が気になるね。」

「……そうですね。『滅びし里』は恐らく”ハーメル村”の事を示していると思うのですが、その前の『光と闇の狭間に生きし覇王の娘』という言葉がありますから、色々とわからない部分がありますね。」

「『覇王の娘』という事は多分その人物はどこかの国の王女だと思うから、ハーメル村にそんな高貴な方はいなかった……というか、そもそも一国の王女がお城以外に住んでいるなんて普通に考えたらありえないものね。」

「そ、それに『剣聖』という言葉からして、恐らくその人は”八葉一刀流”の皆伝者の一人だと思いますど、お祖父ちゃんからも『灰の剣聖』という二つ名を授けた『剣聖』の存在は聞いた事がありませんし………」

「『(えにし)の道』………過去の因縁に立ち向かいながら縁の駒を揃えるがいい………もしかして、アスベル達に会えるのかな?」

「………………………」

(坊ちゃん、もしかしてたらスタン達やカイル達も今回の件に………)

「……………フン、この状況とこの世界の事を考えると洒落になっていないな。」

オリビエの言葉に頷いたヨシュアの言葉に続くようにカリンは苦笑しながら答え、アネラスは困惑の表情をし、ソフィは僅かに嬉しそうな表情をし、レイスは目を伏せて黙り込み、シャルティエの推測を聞いたリオンは少しの間黙り込んでいたが鼻を鳴らして静かな表情で答え

「……いずれにしても、次の”星層”は”第三星層”のように複数のチームに分かれて攻略する必要があるかもしれませんから、待機組の方達もいつでも探索が開始できるように、準備や心構えをお願いします。」

リースは静かな表情で今後の推測と方針を伝えた。



その後リース達はメンバーを編成し、リース、エステル、ルーク、ティア、レン、ソフィ、リオン、レイスのメンバーで編成して次なる”星層”―――”第六星層”に繋がる転位陣に入って、転位した。



~第六星層~



「ここは一体………?空間は”第三星層”に似ていますが………」

第六星層に到着したリースは見覚えのある空間に戸惑った。

「あ、見て!」

「転位陣が3つありますの!」

そしてエステルは何かに気付いて指を指し、ミュウは声を上げた。その時、聞き覚えのある音が聞こえてきた!

「これは………!」

音に気付いたリースは方石を出した。すると方石は光を放ち、リース達の目の前に何度も現れた女性の亡霊が現れた!

「異邦者よ………”星杯”に連なる者よ………聞こえますか…………?」

「………はい。聞こえます。」

女性の言葉にリースは頷いた。

「これより先は………3つ子にして時の回廊………同時に進まなければ………さらなる深淵へと続くこことは似て非なる3つの回廊に辿り着くことは………叶わないでしょう………」

女性が呟くと近くにあった石碑が光を放った!

「転位陣の制御を………石碑に託しました………左の転位陣には………真の極光の使い手と共に………右の転位陣には………誓いの友の意志を受け継ぎ続ける花の名の少女と共に………中央の転位陣には………英雄の親子の友であった漆黒の剣士と共に…………それぞれの道を進んで下さい………ですが………どうか気を付けて………一度転位陣に入ったら…………試練を潜り抜けなければ…………」

女性は最後まで言えずに消えてしまった。



「………どうやら、この”星層”は”第三星層”のように同時進行をしなければならないようですね………」

「それも条件付き………ね。」

「うふふ、案の定さっき解放した人達が関係していたようね。」

女性が消えた後リースは静かに呟き、ティアは真剣な表情で答え、レンは意味ありげな笑みを浮かべてレイス達に視線を向けた。

「そうだね………『真の極光の使い手』は間違いなく私の事だろうね。」

「右の転位陣は私だね。私はアスベルとリチャードの”誓いの友”で、”ソフィ”は”クロソフィ”という花の名前から貰った名前だもの。」

「………フン、”英雄の親子”、か。まだ何も知らなかった頃のあのバカ(カイル)が知れば、はしゃいだだろうな。」

(坊ちゃん………)

視線を向けられたレイスは静かな表情で頷き、ソフィも続くように答え、鼻を鳴らして静かな表情で答えたリオンの様子をシャルティエは静かな表情で見守っていた。

「庭園に戻ればかなりの人数の仲間達がいるからすぐに戻って、それぞれの転移陣に挑むメンバーを編成しようぜ。ケビンの看病に何名か残していってもまだ余裕はある人数だし。俺とエステル、リースは3手に分かれてそれぞれの試練の援護をした方がちょうどいいと思うだろうしな。」

「…………ええ。では一端拠点に戻って準備と編成をしてから進むとしましょう。」

そしてルークの提案にリースは頷き、一端庭園に戻った後仲間達に事情を説明し、何名かをケビンの看病に残して、残りは探索のメンバーとして第六星層に連れてきて、左の転位陣にはルーク、ティア、ガイ、レイス、クローゼ、ジン、アネラス、右の転位陣にはリース、ソフィ、イオン、アリエッタ、アニス、レン、フィー、中央の転位陣にはエステル、リオン、ヨシュア、ユウナ、ジェイド、バダック、ナタリアのメンバーに編成した。



「それじゃあみんな!”第六星層”の攻略を始めましょう!」

「多分この”第六星層”は相当な長丁場になりそうだが、今まで俺達に助言してくれた謎の女性の話から考えると俺達が合流する中間地点はあるだろうから、まずは中間地点を目指すぞ!」

「…………今までの経験上、”悪魔”達が立ちはだかるでしょう。無理をせず慎重に進んで行くことにしましょう。」

エステルとルーク、リースは仲間達を見回して号令をかけ

「応!」

仲間達はエステル達の号令に力強く答えた。



そしてそれぞれのメンバーは一斉にそれぞれが進む転位陣に乗り、転位した!すると転位陣の光は消えた。



~第六星層・???~



「どこだ、ここは……?」

「どこかの山脈みたいだけど………」

転位したルークとティアは周りの風景を見て首を傾げていた。

「ここは……………フッ、まさかよりにもよって”ここ”とはね。”影の王”とやらは随分と皮肉な事が好きなようだね。」

「え………お兄様はこの場所がどこか、ご存知なのですか……?」

一方周りの風景を見て苦笑しているレイスの様子が気になったクローゼは不思議そうな表情でレイスに問いかけた。

「ああ。――――”霊峰ファロース”。かつて、自らの力で世界を救おうとした彼らの事を信じ切れていなかった私が彼らと剣を交えた場所さ。…………この場所に私が指名されたという事は、道を阻む者達も自ずと予想できるな………」

「あ…………」

「王子殿下が刃を交えた”彼ら”の姿をした”グリモア”か………」

「みゅ~……」

「やれやれ……ここも、一筋縄では行かなさそうだな。」

レイスの答えと推測を聞いたアネラスは不安そうな表情をし、ジンは重々しい様子を纏って呟き、ミュウは悲しそうな様子で鳴き声を上げ、ガイは疲れた表情で溜息を吐いた。その後ルーク達は先に進み始めた。



~同時刻・第六星層・???~



一方リース達も転位をして周りの風景を見回していた。

「ここは…………!」

「知っている場所なのですか?」

周りを見回して目を見開いて驚いているソフィにリースは尋ねた。

「うん。私やアスベル達の国――――”ウィンドル王国”の地下。そして…………私と幼い頃のアスベル達の”運命”の始まりの場所。」

「うふふ、という事はこの場所とソフィお姉さんに深い関係がある人達の”グリモア”が現れるかもしれないわね。」

「……慎重に進みましょう。」

作戦開始(ミッションスタート)、だね。」

ソフィの話を聞いたレンが意味ありげな笑みを浮かべている中イオンとフィーは静かな表情で答えた後リース達と共に先に進み始めた。



~同時刻・第六星層・???~





「どうやら着いたみたいだけど………ここ………どこ??」

「どこかの工場のようですが………」

さらにもう一方ルーク達、リース達のように同じ頃に転位して来たエステルとナタリアは周辺の風景を見て首を傾げていた。

(!!ぼ、坊ちゃん、まさかここは………!)

「……………………フン、二度生き返っても”ここ”に来る羽目になるとはな。”影の王”と言ったか………こんな真似をした事、絶対に後悔させてやる……!」

一方シャルティエは血相を変え、少しの間黙り込んだ後鼻を鳴らしたリオンは怒りの表情で周辺の風景を睨みつけ

「うふふ、どうやらその様子だとここはリオンお兄さんにとって、”色々と思う所がある場所”みたいね。」

「フン……………――――”オベロン社秘密工場”。この工場の地下には海底洞窟がある。恐らく中間地点に向かう転移陣はその海底洞窟の地上へと続くエレベーターがある場所――――いや、僕が”一度目の死を迎えた場所”だ。とっとと先に進むぞ。」

「なっ!?………って、ちょ、ちょっと、待ちなさいよ……!」

意味ありげな笑みを浮かべたユウナの問いかけに鼻を鳴らしたリオンは少しの間黙り込んだが気を取り直して場所の説明をした後先へと進み始め、リオンの説明の最後にあったとんでもない事実に血相を変えたエステルだったが、制止の声も聞かずに先へと進み始めたリオンを慌てて追って行き、他の仲間達もエステルに続くようにリオンの後を追って行った。





こうしてそれぞれの”星層”の攻略が始まった――――


 
 

 
後書き
という訳でオリジナルの”第六星層”のエターニア側のダンジョンは霊峰ファロース、グレイセスシリーズのダンジョンはウィンドル王国の王都地下、そしてデスティニーシリーズは予想していた人達もいるかと思いますが、オベロン社秘密工場です!なお、それぞれのテイルズシリーズから仲間になるメンバーの数は4~5人ずつなので、場所やそれぞれのアビス以外のテイルズキャラとの関連性を考えるとある程度予想できるかと思いますww特に1と2がある為仲間キャラが多いデスティニーシリーズは相当数を絞りましたけど、ほとんどの人達は予想できるでしょうねwwなお、戦闘BGMはそれぞれのゲームの通常戦闘BGMがランダムで流れると思ってください♪



 
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